「ドラマなんだから、嘘も方便」と開き直ったか、NHK大河「べらぼう」。「吉」と出るか? 「凶」と出るか?
「まともにやっては視聴率が下がる。だったら、『銭形平次』や『暴れん坊将軍』みたいに痛快無比な筋書きにしてやるまで!」
と思ったかどうかは知らないが、 一介の吉原の若い商人である蔦重が老中田沼意次に会って物申すなどという場面は現実にはありえないが、堂々とそういう場面を創ったのだから、これはもう立派の一言。
不思議なもので、そこまで開き直られると、
「何を馬鹿なことをやっている」
と文句をいうどころか、
「やるじゃないか」
と、かえって、褒めたくなってくるから不思議だ。
「べらぼう」は時代劇の「西遊記」で、蔦重は江戸の「孫悟空」を目指す?
平賀源内と出合う場面も、用を足して公衆便所から出てきた源内と蔦重が鉢合わせして会話するという設定だ。
蔦重が廓主たちに無断で勝手なことをしたとボコボコにされる場面も同様。
「バカさ加減もいい加減にしろ」
と、普通ならあきれ返るところだが、次から次へと堂々と嘘八百を繰り返されると、
「もっとやれ、もっとやれ、とことんやれ!」
「豚や河童を妖怪に仕立て上げた『西遊記』の孫悟空に匹敵するくらいに、〝正義の味方〟蔦重のスーパーマンぶりを見せてくれ!」
と、拍手喝さいを送りたくもなってくる。
折しも、「暴れん坊将軍」が再開されたが、将軍吉宗が江戸城を抜け出して悪をこらしめるなどということは現実にはありえず、完全なフィクション。
「これはドラマなんだ。そう割り切って、楽しく観てほしい」
というのがNHKのメッセージなのだろうか。
その思いが通じたかどうかは、第10回くらいまでの視聴率の推移が示すことになる。
Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)の下記の記事(2025年1月5日)もよろしく。
【「べらぼう」放送開始】横浜流星主演「蔦重」は“大河の新時代”を開けるか?
(城島明彦)
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