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2023/01/23

「どうする家康」第3回目、「伯父(水野信元)につれられて母が会いに来た」は嘘! 「大高城への兵糧入れ」前日に「家康がひそかに会いに行った」のが正しい! 

 体調が悪く、ずっと眠っていて第3回の放送を見逃したから、偉そうなことはいえないが、爆睡したおかげで早起きし、スポニチアネックスの記事を読んで、「またNHKの悪い癖が始まったか」と思った。

 ドラマを面白くするためには、平然と歴史を歪曲するという困った癖だ。

 どんな内容だったかが、スポニチアネックスに次のように書いてあった。傍線は筆者。

  第3話は「三河平定戦」。故郷の三河・岡崎へ戻った松平元康(松本潤)は、打倒・織田信長(岡田准一)を決意するが、弱小の松平軍は全く歯が立たない。一方、今川氏真(溝端淳平)は援軍をよこさず、本多忠勝(山田裕貴)らは織田に寝返るべきだと言い始め、駿河・駿府に瀬名(有村架純)を残す元康は今川を裏切れないと悩む。そんな中、伯父の水野信元(寺島進)が岡崎城に“ある人”を連れて来る。それは16年前に生き別れた元康の母・於大の方(松嶋菜々子)だった…という展開

 

 この記事を読んで、「へえ、そんな風にしたんだ」と思ったが、事実の改竄(かいざん)はNHK大河の常套手段。「またやったか。ひでえもんだ」である。

 家康(当時の名は元康)が三河平定に着手するのは、桶狭間の戦いで今川義元が信長に殺され、人質から解放され、岡崎城に戻ることができたからだった。しかし、今川義元の後継者の氏真が生きていて、妻子は依然として「人質」として氏真の監視下に置かれているから、完全な自由の身ではない。

 

 NHK大河では「母が家康のところへ会いに来た」としているが、実際は、その逆で、会いに行ったのは家康の方であり、会った時期も違っている。

 家康が母に会いに行ったのは、「大高城への兵糧入れ」の前日。

 NHKが母が会いに来たとするのは、その翌年。

 

 家康は、桶狭間の戦いに臨む今川義元から、信長軍に包囲されて食糧が尽きてきた「大高城への兵糧入れ」という〝危険きわまりないミッション〟を命じられ、「死ぬかもしれない。攻めて、その前に」と考えて、こっそり生き別れた母に会いに行ったのである。

 NHKがこういうことを知らなかったはずはなく、知っていて、わざと事実を歪曲したのだ。そうした大きな理由に、「お大に扮したNHK好みの女優の一人、松嶋菜々子の登場場面を効果的・印象的に演出したいとの意図があったからではないのか」と私は推測している。

 なにせ、家康の伊賀越えに江姫を同行させたNHKである。これぐらいのことは朝飯前なのだろう。

 

「そんなこと、どっちでもいいじゃないか」という人もいるだろうが、自分から「生母に会いに行く」と「生母が会いに来た」とでは、家康の考え方、性格などの解釈がガラッと変わってくる。NHK大河班の連中は、そういうことは考えないのだろうか。 

「ドラマを面白くしたい」「新しい家康像を創出したい」ということばかり考えて、歴史を都合のよいように好き勝手につくり変えてしまうのは、本末転倒ではないのか。民放ならいざ知らず、少なくとも受信料でドラマをつくっているNHKがやるべき姿勢ではない。

〝カピバラそっくり顔〟立花孝志(NHK党党首)さんよ、こういう点も追及せんといかんよ。

 

 拙著『家康の決断』(ウェッジ)のその個所を以下に引用するので、参考にされたい。

「元康は、信長との戦いで戦死するかもしれないと思い、その前日、ひそかにある人に会いに行った。3歳のときに生き別れたお大(於大)の方である。

 お大は、織田方の久松俊勝と再婚して、その居城「阿久比城」(あぐいじょう/愛知県知多郡)に住んでいた。お大は驚いたが、16年ぶりに会う、別れたわが子が立派な姿になっているのを見て涙を流し、元康もまた涙にむせんだという。

 お大は、「生家を相続した異母兄(水野信元)が従属先を今川から織田へ鞍替えした」という理由で、元康の父(広忠)に離別された関係で、そのときは実家の居城には入れてもらえず、城の近くの椎の木屋敷というところに住み、水野家の菩提寺「楞厳寺」(りょうごんじ/曹洞宗)で仏門に入った」 ※お詫び:拙著を読み返すと、ケアレスミスを犯しており、「水野信元」を「水野元信」と誤記(P34)していた。すみませんなあ。

 この文の後に、私はこう書いた。

「自立してからの家康の女性の好みは、秀吉と違って、顔や身分を少しも気にしなかっただけではなく、後家や出産経験のある者を何人も側室にしたが、その理由は幼くして別れた母お大の方への思いを心の奥で追い求め続け、母親のような包容力のある女性を追い求めていたからではないのか。私には、そう思えてならない」

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(城島明彦)

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