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2023/01/30

妄想・暴走・時空超絶の〝怪作〟家康やがな! デラおもろいでアカンわ! あんたも、大河ドラマ、いっぺん観たってちょう!

「どうする家康」の鬼採点! おどろき、ももの木、さんしょうの木、100点満点でどうなる?

おどろ記 第4話「清州でどうする」(1月29日)

 この前、見逃した「どうする家康」の第3回を土曜日の再放送で観て、明くる日曜の夜には第4回を観ました。で、感想はというと、全体にかなりテンポが速いという印象でしたな。それだけじゃあ、おもしろくないというんで、採点してみました。

〇新説度 200点

 家康には今川義元の姪(築山殿〈つきやまどの〉)という正室がおりましたが、NHK大河は「信長は、妹お市と家康を夫婦にさせようとしたが、成立せず」という〝びっくらぽん〟の新説を打ち出しましたぞ。当時は、同盟を結ぶと相手の息子や娘と結婚させて親戚になるのが普通でしたから、という理屈ですかな。

 そういう想像自体はあってもよいでしょうが、『信長公記』などの記録には残っておらず、いかんせん、嘘っぽすぎますわな。その分、新鮮味というか、新説度は抜群!

 家康と信長は、実際には、同盟を結んだ翌年(1563〈永禄6〉年)に、信長の長女(徳姫〈五徳〉)と家康の嫡男(竹千代)を婚約させました。幼すぎたので、実際に結婚するのは同盟から5年後の1567(永禄10)年。それでも新郎新婦はどちらも9歳と幼かったから、子どもが生まれるのは18歳になってから。ところが、徳姫が産んだのは女の子2人。

それを見て、姑のお大の方は「なぜ男児を産まぬのじゃ」と嫌味を言い続け、あげくの果てには、側室をあてがうのですな。こうして嫁姑問題は激しくなっていったというわけですな。

〇北川景子のブスメイク 80点

 信長の妹で、〝絶世の美女〟といわれたお市の方を演じるは、その役にぴったりの北川景子だが、「えッこれが北川景子!?」という、普段よくみているお顔とあまりに違う〝ブスっちい顔だち〟で登場したので、あっと驚いた。これがすっぴん顔なのかい?

 ▽お市の方 家康は6歳から8歳(数え年)まで織田家に人質に取られていたが、お市が生まれたのは1547〈天文16〉年。家康が織田家に人質にとられた年なんですな。よって、家康68歳、お市13歳というのが歴史的事実。信長は1534(天文3)年生まれなので、お市は13歳年下の妹ということになりますな。

〇タイトルバック一新 85点

 マンネリ打破の意気込みを買う! タイトルバックのチャレンジングな演出姿勢が伝わり、好感度。

〇「どうする家康」の不思議ロゴ 35点

 まるまっちいロゴマークは「ダンゴムシ」に見えてコミカルすぎて違和感がある。意外性はあるが、デザイン的にはイマイチ。〝だんごむし家康〟は子どもには受けるかもしれませんなあ……。

 10カウント「だるまさんがころんだ」に変えて、これからは「いえやすはだんごむし」ってぇのは、どうでっしゃろ? あかんか。

〇回想利用に新機軸 90点 

 NHK大河は幼少期から時系列で描くのが通例で、そのためにチンタラチンタラとなる悪弊を生んだが、それを廃して、幼少期などは「回想」という形で処理する手法を取ったのは、大進歩といえる。

〇今川義元のバカ遺児嫡男氏真(うじざね)が瀬名姫を手込め 15点

 家康は、16歳のときに、義元の姪の瀬名姫(築山殿)を嫁にしたしたが、彼女は家康より推定810歳年長で、それから3年後の桶狭間の戦いの頃は2527歳。

 一方、「霞か、雲か、はた露か」の有村架純は29歳だが、役柄が家康の嫁の瀬名だけに、そんなに違和感はありませなんだ。

 氏真は死んだ親(義元)も認めていた「暗愚」ではあったが、女に不自由はしておらず、♪カゴメ、カゴメ、籠のなかの鳥の人質の家康の嫁を手ごめにするなどということは、ありえないし、資料にもないし、NHKも描いてはならんのとちゃうのん。テレビは子どもかて観てるんやでぇ。

〇年齢詐称の大胆演出 -50点(大赤点!)

 超低予算番組「孤独のグルメ」で一世を風靡した松重豊の「石川数正(かずまさ)」役、これはいけませんぞ。桶狭間の合戦当時の数正の年齢は27歳ですからな。

 松重の実年齢は60歳で、どうみても青年には見えませんわな。

 いつも平気でこういうことをやるのが、NHKの悪いくせだっちゅうの。視聴者を馬鹿にしてんのか? NHK党の意見は、どうや。

 それはさておき、北川景子・松重豊共演の映画「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」は面白かった。おススメですぞ。

〇ジャニーズとの癒着度 50点

 岡田准一が信長役だが、折しも、キムタクが信長に扮した製作費22億円という超々々大作映画「レジェンド&バタフライ」がNHK大河放送の2日前の金曜日(127日)に公開された。大河の家康が松本潤、信長が岡田准一で、映画の信長がキムタクとなれば、いずれも(元)ジャニーズ。脚本が大河と同じ古沢良太という点も含めて、話題づくりを狙った〝あざとさ感〟も読み取れるわな。

 岡田准一は、2014年のNHK大河「軍師官兵衛」で主演黒田官兵衛を演じた。(個人的な感想をいえば)そのイメージがいまだに強く、信長を演じても当時の姿とダブる。そういう人物を起用すれば、NHKとジャニーズの癒着を疑われかねない。

〇信長から〝白うさぎ〟呼ばわりされた 50点

 秀吉は「猿」、家康は「狸」に対して、信長は「虎」か「狼」と呼ばれることが多いのですが、NHKは「織田家の人質時代の信長は14歳~16歳の悪ガキだったから、家康をイジメまくったに違いない」と解釈したようですな。しかし、いくら何でも8つも年下の幼児をぶん投げたり、とことんイジメたとは考えづらいですわな。

〇今川に義理をつくすか、悲願の独立かの描き方 65点

 家康は義理堅い人。今川義元は人質家康に教育を施し、武芸の稽古も積ませたが、家康の初陣でも大高城への兵糧入れでも温情は見せず、下手をすれば命を落としかねなかった。家康の心中には「恩讐」の両面が拮抗してたのだ。家康は、義元が死ぬと家臣の待つ岡崎城へ帰るが、氏真には「桶狭間の復讐戦をせよ」と何度も迫っている。

 そこが家康の義理堅いところだが、氏真のもとには依然として「妻子が人質として囚われている」という理由もあった。

 信長が家康に同盟を呼びかけたのは、桶狭間の戦いから2年後である。

〇清州同盟締結で見せた信長の横暴な態度 50点

 信長が父信秀の法要で位牌に香をつかんで投げつけたのは、19歳のとき。

 その行ないを諫めようとして、教育係を務めた家老が自決した事件が起こるんです。でもって、さすがの〝野生児〟信長も猛省して、しばらくは行ないを慎んでいたのですが、やがてまた以前のような型破りな言動が戻ったといいます。

 同盟締結についてですが、これは、家康が、桶狭間の戦いの前哨戦となった「大高城への兵糧入れ」で信長軍を圧倒したのを見て、敵に回すのは損だと考えたからでしてな。

信長の方から頭を下げて持ちかけた話なんですから、大河ドラマで描かれたような乱暴きわまりない接し方はしなかったと考えるのが常識です。つまり、対等の関係の同盟であり、そのとき29歳だった信長は21歳の家康に対して、年齢こそ8歳もへだたっていましたが、「徳川殿」「家康殿」と丁寧に接したはずです。

 しかし、その対等の関係は、同盟を結んで年月が経つにつれて、家康が愚直でおとなしい忍従タイプであるのを見て、信長は次第に上位に立つようになっていったんですな。

そうはいっても、何ごとにも真剣に取り組む家康を尊敬する気持もあり、言葉遣いなどにも気をつかっていたようで何ですぞ。

〇家康の母(お大)の描き方が異常っぽい 65点

 NHK大河では、家康の生母お大(於大の方)が「しゃしゃり出て」きて、家康にあれこれいわせましたが、そういう性格付けはどこから出てきたのかてぇと、家康の嫁になった信長の娘徳姫との嫁姑問題からでしょうかなあ。徳姫が父信長に手紙で嫁いびりの実情を訴え、信長は娘の言い分を聞き入れて、お大と徳姫の夫を殺すように家康に申し入れたことがありましてな。政治にあれこれ口を差し挟んだり、嫁をいびり倒す意地の悪い性格という描き方は、この事件に拠(よ)っているのでしょうな。

▼初夢速報! 戦国の三英傑が揃い踏みの「どうする家康」の番宣に、きれいどころの有村架純に北川景子に松嶋菜々子が、Tバックの後ろ姿で出血大サービスってか! 

 戦国の三英傑だけに、これがほんとの「三ええ尻(けつ)」やでぇ。

 そんなケツ(けっ)たいな大サービスがあるわけないやろってか。

 ――史実とドラマとの違いは、拙著『家康の決断』を読んでもらったら、たちどころにわかるでなも。よろしゅう頼んますわ。

 おいでやす、家康へ。やすうしときまっせ!

 Photo_20230130074501 (城島明彦)

2023/01/23

「異次元」の少子化対策だと? なら、見本は「岸田文雄の冷凍精子+小池百合子の冷凍卵子を高市早苗の腹で育てて出産!」で、どや!

 「異次元」「異次元」と聞いた風なことをいうなら、せめて、これくらいのことをいわんかい!

 異次元の少子化対策の決定打は、成人式以後の冷凍精子・冷凍卵子の義務化だ!

 25歳、30歳、35歳、40歳くらいまで、定期的に全国民が冷凍精子・冷凍卵子を提供し、永遠に国で保存するんや。

 

 どや、スケールがデカいやろ。

 日本の活力をよみがえらせたいなら、神の領域を怖れるな。

 

 「異次元の金融緩和」――安倍晋三のこの言葉を最初に耳にしたときは、

 「これで、日本は、アメリカに次ぐ世界第2位の経済超大国に再び躍り出せる」

 と思ったが、「絵にかいた餅」どころか、〝砂上の楼閣〟までもいかんかった。

 ええ加減にせんかい。

 

 そのほとぼりも冷めぬ昨今、岸田文雄首相は、

 「異次元の少子化対策」てなことを言いだした。

 「所得倍増」はどうなった?

 〝所得倍増+出生倍増〟ならインパクト超大やないか! 

 日本は、かつての勢いを取り戻すだろうが、問題は、その中身と実行力だっちゅうの!

 

 すると、しばらく鳴りをひそめていた〝ゆりっぺ姐さん〟こと小池都知事が、岸田外首相が外遊でいないタイミングを狙って、赤い気炎を吐いた。

 「毎月5000円の子育て支援金を給付する」

 これぞ、「鬼の居ぬまの何とやら」で、ゆりっぺ姐さんの常套手段。

 「時期は?」ってぇと、来年の話だという。

 新年早々、来年の話じゃ、鬼がわらうつうの!

 

 人工授精で、バンバン子を生み、国や地方自治体が責任をもって育てたら、あっという間に人工倍増だぁ! 

  「借り腹」も高いギャラを払って募集するんや。

  誰でも好きな相手を選べるようにするんや。

 ジジババ世代なら、吉永小百合、和泉雅子、栗原小巻……

 こんな美女が子を生まないなんて、もったいなさすぎると思わんか!

 

 天皇の後継者問題かて、一発で解消や。

 

 全国民の精子や卵子が「国立冷凍バンク」に登録してあったら、計画的にどんどん人口を増やせるぞ。

 国民投票で、誰と誰の子を20人、誰と誰の子を15人てな具合にどんどん増やせるでぇ。

 

 高倉健と吉永小百合の子を見たいと思わんか?

 大谷翔平と広瀬すずの子かて、20人、30人とつくり放題や。

 ただし、当人にも拒む権利を残しておかないとイカンけどな。

 

 北川景子のような既婚者かて、本人がOKすれば、あるいは本人が出した条件をクリアできたらOK。

 危ない遺伝子をもっていなければ、誰の精子や卵子でも頂戴できるシステムにするんや。

 生まれた子は、里親制度もありにし、国や自治体が責任をもって監視するから、安心やで。

 日本中に、超絶優秀遺伝子をもった子があふれかえるんや。

 こんなええ話を夢で終わらせたらアカンでぇ!

  

 国レベルとは別に、個々人が自分の子の親としても希望できるシステムも、併行して実施したらええ。

 子種が欲しい女は、金を出すのや。

 ただ金を積んだら、大谷翔平の精子やすずちゃんの精子をもらえるというのとはちゃう。

 高いし、抽選やで。

 

 応募資格は、当然厳しくなるわな。

 その資格は、努力次第でクリアできるようにするんや。

 頑張ったら、憧れの人の精子や卵子を正式にもらえるんやで。

 そうなったら、死に物狂いで仕事したり、才能磨きに励むようになるぞ。

 みんなが頑張ったらGNPUPし、日本はまたたく間にアメリカも中国も抜いて、世界一になれるでぇ。 

 

 なに? 

 「そんなん無茶や、あかんがな」やて?

 日本が滅ぶかどうかの瀬戸際に、なにいうてんのや。

 「異次元、異次元」ていうから、提言したまでの話やないか。

(城島明彦)

「どうする家康」第3回目、「伯父(水野信元)につれられて母が会いに来た」は嘘! 「大高城への兵糧入れ」前日に「家康がひそかに会いに行った」のが正しい! 

 体調が悪く、ずっと眠っていて第3回の放送を見逃したから、偉そうなことはいえないが、爆睡したおかげで早起きし、スポニチアネックスの記事を読んで、「またNHKの悪い癖が始まったか」と思った。

 ドラマを面白くするためには、平然と歴史を歪曲するという困った癖だ。

 どんな内容だったかが、スポニチアネックスに次のように書いてあった。傍線は筆者。

  第3話は「三河平定戦」。故郷の三河・岡崎へ戻った松平元康(松本潤)は、打倒・織田信長(岡田准一)を決意するが、弱小の松平軍は全く歯が立たない。一方、今川氏真(溝端淳平)は援軍をよこさず、本多忠勝(山田裕貴)らは織田に寝返るべきだと言い始め、駿河・駿府に瀬名(有村架純)を残す元康は今川を裏切れないと悩む。そんな中、伯父の水野信元(寺島進)が岡崎城に“ある人”を連れて来る。それは16年前に生き別れた元康の母・於大の方(松嶋菜々子)だった…という展開

 

 この記事を読んで、「へえ、そんな風にしたんだ」と思ったが、事実の改竄(かいざん)はNHK大河の常套手段。「またやったか。ひでえもんだ」である。

 家康(当時の名は元康)が三河平定に着手するのは、桶狭間の戦いで今川義元が信長に殺され、人質から解放され、岡崎城に戻ることができたからだった。しかし、今川義元の後継者の氏真が生きていて、妻子は依然として「人質」として氏真の監視下に置かれているから、完全な自由の身ではない。

 

 NHK大河では「母が家康のところへ会いに来た」としているが、実際は、その逆で、会いに行ったのは家康の方であり、会った時期も違っている。

 家康が母に会いに行ったのは、「大高城への兵糧入れ」の前日。

 NHKが母が会いに来たとするのは、その翌年。

 

 家康は、桶狭間の戦いに臨む今川義元から、信長軍に包囲されて食糧が尽きてきた「大高城への兵糧入れ」という〝危険きわまりないミッション〟を命じられ、「死ぬかもしれない。攻めて、その前に」と考えて、こっそり生き別れた母に会いに行ったのである。

 NHKがこういうことを知らなかったはずはなく、知っていて、わざと事実を歪曲したのだ。そうした大きな理由に、「お大に扮したNHK好みの女優の一人、松嶋菜々子の登場場面を効果的・印象的に演出したいとの意図があったからではないのか」と私は推測している。

 なにせ、家康の伊賀越えに江姫を同行させたNHKである。これぐらいのことは朝飯前なのだろう。

 

「そんなこと、どっちでもいいじゃないか」という人もいるだろうが、自分から「生母に会いに行く」と「生母が会いに来た」とでは、家康の考え方、性格などの解釈がガラッと変わってくる。NHK大河班の連中は、そういうことは考えないのだろうか。 

「ドラマを面白くしたい」「新しい家康像を創出したい」ということばかり考えて、歴史を都合のよいように好き勝手につくり変えてしまうのは、本末転倒ではないのか。民放ならいざ知らず、少なくとも受信料でドラマをつくっているNHKがやるべき姿勢ではない。

〝カピバラそっくり顔〟立花孝志(NHK党党首)さんよ、こういう点も追及せんといかんよ。

 

 拙著『家康の決断』(ウェッジ)のその個所を以下に引用するので、参考にされたい。

「元康は、信長との戦いで戦死するかもしれないと思い、その前日、ひそかにある人に会いに行った。3歳のときに生き別れたお大(於大)の方である。

 お大は、織田方の久松俊勝と再婚して、その居城「阿久比城」(あぐいじょう/愛知県知多郡)に住んでいた。お大は驚いたが、16年ぶりに会う、別れたわが子が立派な姿になっているのを見て涙を流し、元康もまた涙にむせんだという。

 お大は、「生家を相続した異母兄(水野信元)が従属先を今川から織田へ鞍替えした」という理由で、元康の父(広忠)に離別された関係で、そのときは実家の居城には入れてもらえず、城の近くの椎の木屋敷というところに住み、水野家の菩提寺「楞厳寺」(りょうごんじ/曹洞宗)で仏門に入った」 ※お詫び:拙著を読み返すと、ケアレスミスを犯しており、「水野信元」を「水野元信」と誤記(P34)していた。すみませんなあ。

 この文の後に、私はこう書いた。

「自立してからの家康の女性の好みは、秀吉と違って、顔や身分を少しも気にしなかっただけではなく、後家や出産経験のある者を何人も側室にしたが、その理由は幼くして別れた母お大の方への思いを心の奥で追い求め続け、母親のような包容力のある女性を追い求めていたからではないのか。私には、そう思えてならない」

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(城島明彦)

2023/01/15

ふざけてんの? 「どうする家康」はパロディ? ギャグ大河? どうするNHK!

 NHK大河「どうする家康」の初回を見て、違和感を覚えたのは、私だけではなかった。

  「日刊ゲンダイDEJITAL」(1月18日)は、こんな出だしの記事を発信した。

 筆者はコラムニストの海原かみな氏。

 

 「この8日に始まったNHK大河ドラマ『どうする家康」を見て、「あれえ、今年は青春コメディーかいな」とズッコケたのではないか。

 

 1回目・2回目を通じて私が感じたのは、「わざと、ふざけているのか」ということだった。新機軸を打ち出そうとして、意図的にそういう線を狙ったのなら、考え違いもはなはだしい。

 まず年齢設定は、いつもながらの「でたらめ」で、今回もひどいことになっている。

 

▼でたらめ、その① 42歳の岡田が14~16歳の信長を演じた不気味

 家康と信長の年齢差は8歳。竹千代と呼ばれていた家康が、織田家に金で売られて人質となったのは6歳から8歳まで。

 そのときの信長の年齢は14歳~16歳だった。

 大河では、信長が幼児の家康役の子役を何度もぶん投げる、〝いじめ〟ともみえるようなシーンがあったが、そういう想像はさておくとして、演じる役者の年齢が無理すぎた。

 信長役の岡田准一 1980年生まれで42歳。

 42歳の岡田が1416歳を演じること自体、無理を通り越して不気味である。

 役者だから縁起はうまいが、やっていることは、

 

▼でたらめ、その② 27歳の石川数正を60歳の松重豊が演じる不気味

 桶狭間の戦いは1560年。

 このとき石川数正は27歳(数え年)。

 演じた松重豊は59歳(数えで60歳)。 

  ※石川数正 1534~1609年

   松重 豊  1963年1月19日生まれ

 NHK党の攻撃材料にされかねない、こういう無茶というか、視聴者の気持ちを逆なですることを平気でやれる神経を疑う。 

 

▼でたらめ、その③ 本多平八郎忠勝が主君である家康に〝タメ口〟を叩くデタラメ加減

  家臣忠勝が主君家康を尊敬できないという理由でタメ口を聞くという設定自体、戦国時代の主従関係ではなく、現在の感覚で頭の中で想像した設定で、誰が考えても無理がある。

 

▼こんな演出では、視聴者はだんだん離れていくだろう。そうならないことを祈るばかりだ。

 ただ演出面では「救いもあった。

  

【参考】真実を知りたい人は、こちら

 徳川家康から学ぶ「忍耐力」  

 ウェッジ WEBマガジン「WEDGE ONLINEhttps://wedge.ismedia.jp

 ①「人質家康」はいかに辛抱して活路を見出したか (11日発信)

 ②戦国武将に一目置かれた「桶狭間の戦い」での徳川家康 (18日発信)

 ③徳川家康と織田信長の浅からぬ縁 出会いから別れ19日発信)

 

 天下人に上り詰めた徳川家康の「決断力」

 幻冬舎 WEBマガジン「GOLD ONLINE」 http://gentosha-go.com/ 

 【第1回】 NHK大河『どうする家康』時代が求める新しいヒーロー像は? (18日発信)

 【第2回】戦国時代の人質の半数は殺害!徳川家康はなぜ生き延びたのか? 115日発信)

 

 ▼拙著『家康の決断』

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(城島明彦)

2023/01/08

NHK大河「どうする家康」第1回放送で、気づいた点いくつか

いろいろ工夫していることは伝わったが、さあ、これからどうする

〇信長「桶狭間の戦い」の前哨戦「大高城への兵糧入れ」の家康から始めたのは賛成

 これまでの大河では、幼少期から始めることに固執してきた感がある。幼少期などは、どこかで回想シーンとして入れればいいのに、そうすることなく、毎度毎度、似たような展開にい、〝一種のマンネリ化〟を招いていた。

 その点、「どうする家康」では、19歳のときの「大高城の兵糧入れ」から始めたのは評価できる。

 大高城への兵糧入れのシーンで、初陣(2年前の17歳)のカットを回想シーンとして入れる手もあった。

 

〇桶狭間の戦いと大高城への兵糧入れの場所の位置関係・時間比較をもう少しわかりやすくした方がよかった

 桶狭間の戦いで信長が義元に討たれたのと家康が大高城の兵糧入れに成功したのは、ほぼ同時刻で、両者は少し離れた場所にいたでに入っており、兵糧を入れたとおおたか

 

〇今川義元の顔は。「武将顔」ではなく、「公家顔」のはず

 桶狭間で信長に討たれる義元の顔は、顔は白塗りで、お歯黒をした公卿顔(〝おじゃる顔〟)なのに、普通の武将の顔と同じになっていたのは史実に反している。

 野村萬斎が普通の武将のメイクで義元役を激しく演じたが、そのまま信長役になれた。

 信長役は岡田准一だが、おっとりしており、イメージとしては違う。

 

〇NHKのジャニーズとの癒着が岡田准一を信長に起用したのか?

 野村萬斎のが短い時間だったが、演じた顔・姿・声、動作は信長そのもののように私には映った。

 岡田を白塗り、お歯黒メイクにすれば、義元のイメージとピッタリになったのではないか。

 家康の松本潤、信長の岡田准一。どちらもジャニーズ。

 そこにミスキャストの生じる癒着構造があるのではないか、とゲスのかんぐりをいれたくももなるのだが……。

 

〇イッセー尾形のいつもながらのオーバーな芝居にダメ出し

 老家老(鳥居忠吉)役のイッセー尾形は、NHK大河でいつも大袈裟な演技をし、浮いている。今回も「歯が抜けていて何をいっているのかわからない」という設定だが、オーバーすぎていて浮いてしまっている。

 演出家に抑える力がないのか、尾形が勝手にそのような演技にこだわるのか。シラケるのは私だけなのか。

 歯抜けになるとスース―いう音が混じるだけで、棋士の加藤一二三も歯抜けだが、何をいっているかはわからなくはない。

 

〇有村架純演じる瀬名姫は姉さん女房(8~10歳年上)

 家康が瀬名姫と結婚したのは16歳。そのとき瀬名は2426歳。

 一方、松本潤は現在39歳。有村架純は29歳。

 どちらも若づくりはしても、その年齢差には見えないところが苦しかった。

 (個人的には、演技力があり、笑顔が似合う有村架純は嫌いではない)

 

〇家康と築山殿がラブラブの関係であったようにNHKは描いたが、後に家康は、信長の命で築山殿を斬殺させることになる。そのシーンをどのように描くのか気になった。

 一般には、家康は、嫁に行き遅れた年上の娘を義元から無理やり押しつけられた、と解釈されてきた。

 ドラマとして面白くするのは、それでは都合が悪いとNHKは考えたのだろうか。

 

〇元康(家康に改名前の名前)と瀬名姫の夫婦関係

 今川の人質時代の家康は、元信、元康だ。

 (幼名)竹千代→(元服)元信→(結婚した頃、改名)元康

 元信・元康の「元」は今川義元の「元」。

 瀬名姫は、義元の姪で結婚後は築山殿(つきやまどの)と呼ばれことになる。

 義元が2人を政略結婚させたので、家康が彼女を好きだったかどうかはわからない。

 夜の結婚生活は、年齢差を考えると、築山殿がリードし、それがトラウマとなって、後に家康は後家や美醜を問わないようになったのではないか。私を含めて、そう考える人は決して少なくない。

 ただし、結婚前の2人の関係に触れた史料はなく、義元が人質家康をどのように扱ったかという細かい史料もないから、結婚前から好き合っていたいたとするNHKの解釈は間違いではない。

 

〇大高城への兵糧入れに成功した後、家康が弱気になって姿をくらまし、大高城のすぐ裏の海岸を1人さまよっていると、そこへ馬に乗った武将の槍で襲われ、その武将が本多平八郎忠勝だったというシーンは不要ではないのか? 

 家康が義元の死を知ったのは、桶狭間の戦いの翌日。それも夕刻。

 大高城を守っていた家康のところへ、放っていた密偵が戻ってきて、義元が桶狭間で殺されたと報告するが、家康は信じない。

 続いて敵方の織田勢ではあったが伯父からも手紙で「義元が信長に殺されたから逃げろ」と急を知らせてきたが、家康は密偵を放って調べさせ、それでようやく事態を知り、「さあ、どうする家康」となり、岡崎城へ向かうのが史実。

 今川勢は、あっちの砦、こっちの砦から逃げ、岡崎城からも逃げているとの報告を聞くと、家康は、有名なセリフを吐く。

 「捨て城ならば、拾わん」

 堂々と岡崎城に入城したのである。

 このあたりのことを描いてほしかった。そうすれば、家康の用心深さが伝わると思うのだが。

 ドラマなんだから、固いこといわずに、ま、いっか。(ん?次回?)

 ▼(手前みそコーナー)

 トコトン史実にこだわりたい人に、おすすめ! 事実は事実、ドラマはドラマという人にもおすすめの1冊!  

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(城島明彦)

2023/01/04

「団塊の世代」なんて生ぬるい! 今じゃ「断崖の世代」だ、あとがない!

そこのジイちゃん、バアちゃん、新年おめでとうやあらへんがな。

 めでたいのは、あんたらのオツムの方やでぇ!

 よう聞きや。

 昔は「犬を歩けば、棒にあたる」いうたけど、今はちゃうでぇ。

 「犬も歩けば、ボーッとしたジジババにあたる」いうんやで。

 そこんとこ、ようわきまえて道を歩かんと、えらいめにあうで。

 

 今のご時世は、街に出て石投げたら、ジジババにあたるわな。

 けど、ジジババいうても、一緒くたにしたらあかんでぇ。

 まちまちや。

 あっちにもこっちにも、ぎょうさんいよるのが、団塊の世代や。

 

 団塊世代の連中は、戦後の1947年から49年にかけて、どどっ~と大量に生まれよったから、赤ん坊のときは、あっちで「這い這い」、こっちで「這い這い」しとりました。

 それが小学校にあがるようになると、次々と建て増した校舎のあっちで「ハイハイ」、こっちで「ハイハイ」と元気に挙手するようになったわな。

 競争社会やから、ボーッとしとったら、取り残されたんや。

 

 そういや、昔はハエのことを「ハイ」というてへんかった?

 夏休みになると、あっちでもこっちでも、「ハイハイ」というわけや。

 

 それが中高生にもなる時分には、

 ♪かわいいベイビー、ハイハイ

 と、歌うようになってましたな。

 コニー・フランシスの歌やがな。

 日本では中尾ミエが歌ってましたで。

 昭和も30年代後半の話ですな。

 

 もっと進んだ悪ガキあたりは、エルビス・プレスリーの「GIブルース」あたりを口づさみながら、大人っぽく変装してストリップ小屋にもぐり込んで、あきれるくらい厚化粧の踊り子が、

 「ハイハイハイハイ」

 と掛け声かけながら、たくしあげたスカートの中に顔を突っ込んで、クンクン匂い嗅いでハイになってるアホな奴もおったんや。

 〇〇君、君のことや!

 

 なかには煙草スパスパ、シンナー吸ってハイ、ハイになる奴もいましたなぁ。

 「スーダラ節」で人気爆発の植木等なんかは、はい?

 「ハイ、それまでよ~」なんて歌うてたくらいや。

 

 そういう青春前期を過ごした団塊の世代も、今じゃあ、続々と後期高齢者入り。

 あっちでヨロヨロ、こっちでフラフラ。

 それが今じゃあ、カラオケで、プレスリーの「ロカ・フラ・ベイビー」を歌って、オダを上げる始末や。

 ロカフラベイビーちゅうても、廊下をフラフラ歩く赤ん坊の歌とちゃうぞぉ。

Rock A Hula Baby」というレッキとした名前がついたんやでぇ。

 

 あの頃のどの家の父ちゃんも月給は少なかったけど、毎年毎年、昇給してたもんな。

 母ちゃんは母ちゃんで、父ちゃんにチン上げを要求うるもんで、父ちゃんは残業残業また残業で疲れた体にムチ打って、夜のお勤めに励んでましたわな。

 ああ、しんど。シンドバットや。

 

 おあとがよろしいようで、今日のところは、これにてオシマイ!

 おっと、忘れるとこやった。

 宣伝や、宣伝や。

 大河ドラマの「どうする家康」の便乗本、買(こ)うてんか。

 過当競争で、たいへんなんや。

 大河ドラマ観るんやったら、1冊、頼むわ。退屈させ変でぇ。

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 ほな、さいなら。

 (城島明彦)

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