骨折り損の くたびれ儲け
王子まで1時間以上かけてシイの実を拾いに行ったが、収穫ゼロ
現地へ行くまでは、オイラは、気分ウキウキ。
昭和30年代にヒットした「お~い、中村君」のダジャレ版を口ずさんでいた。
♪王子 中村君 ちょいと待ちたまえ
(以下、本歌のおまけ) いかに新婚ほやほやだとて 伝書鳩でもあるまいものを たまにゃ付き合え いいじゃないか 中村君
何年か前に飛鳥山公園へ行ったとき、どっさりシイの実が落ちている場所を発見。それでオイラ、病みつきに。
同公園には、SLが置いてある場所の近くに大きなシイの木が一本あるが、そこは子ども連れが多くてダメ。
誘導円木(ゆうどうえんぼく、僕、知ってる?)やブランコがそばにあり、子どもがいっぱい集まる場所だから、落ち着いて拾えない。
その点、秘密の場所を見つけ、喜んでいたが、1昨年に行ってみると、茫然自失(ぼうぜんじしつ)、僕、痔疾(じしつ)。
不思議なことに、シイの実は1個も落ちていなかったのだ。
今年も、また同じだった。
「そんな馬鹿な」
と、ひとりごとをいいながら、枯れ枝を手にして落ち葉を掻きのけてみると、あゝ、何たることか。
雨に濡れて変色した2年か3年くらい前のものしか見つからないじゃありませんか。
昨年は、シイの実が落ちる時期に仕事が重なって行けなかった。
「今年は、いっぱい落ちるのではないか」
と、夏ごろから期待に胸を弾ませていたのだが、まったく落ちていなかった。
ダジャレ好きだったソニーの創業者井深大(いぶか まさる)が麻雀をしながら放った一発、
「額が落ちて、がく然とした」
オイラの気持ちは、まさにそれ。
誰かが一個残らず拾ったのか? まさか、そんなもの好き者はおるまい。
飛鳥山は、江戸時代からの桜の名所なので、春はにぎわうが、ふだんも、やってくる人は結構いる。
年は取りたくないもの。小便したくなり、「音無川(おとなしがわ。石神井川)へ向かって」と思ったが、人目が気になり、物陰で立ちションした。
外で小便をする楽しさは、男の特権だろうね。
実は、ン十年前に、飛鳥山でアジサイの陰に隠れてBIGウンチをテンコ盛りにしたことがある。
外ですると、爽快そのもの、うんと出るから不思議だね。
ひと際よく育っているアジサイが、それだよ。いや、うん悪く枯れてしまったか。
警官が見ていたら、立小便はアウトだが、座りウンチの場合はどうなるのか。
もし、あのとき警官に見つかって尋問され、オイラが「出物腫物(でものはれもの)ところ嫌わず」と口答えしていたら、どうなっていたか。
そんなことを想った静かな静かな秋の1日でありました。
「ああ嫌だ、ジジイはこれだからイヤだ」
というレディの声が、どこからか聞こえてきそうな皆既月食の夜のことでございました。
(城島明彦)