« ほんとうにあった怖くて不思議な話 | トップページ | 小春日和とコスモス »

2022/11/09

骨折り損の くたびれ儲け

王子まで1時間以上かけてシイの実を拾いに行ったが、収穫ゼロ

 

 現地へ行くまでは、オイラは、気分ウキウキ。

 昭和30年代にヒットした「お~い、中村君」のダジャレ版を口ずさんでいた。

 ♪王子 中村君 ちょいと待ちたまえ 

 (以下、本歌のおまけ) いかに新婚ほやほやだとて 伝書鳩でもあるまいものを たまにゃ付き合え いいじゃないか 中村君

 

 何年か前に飛鳥山公園へ行ったとき、どっさりシイの実が落ちている場所を発見。それでオイラ、病みつきに。

 同公園には、SLが置いてある場所の近くに大きなシイの木が一本あるが、そこは子ども連れが多くてダメ。

 誘導円木(ゆうどうえんぼく、僕、知ってる?)やブランコがそばにあり、子どもがいっぱい集まる場所だから、落ち着いて拾えない。

 その点、秘密の場所を見つけ、喜んでいたが、1昨年に行ってみると、茫然自失(ぼうぜんじしつ)僕、痔疾(じしつ)

 不思議なことに、シイの実は1個も落ちていなかったのだ。

 今年も、また同じだった。

 「そんな馬鹿な」

 と、ひとりごとをいいながら、枯れ枝を手にして落ち葉を掻きのけてみると、あゝ、何たることか。

 雨に濡れて変色した2年か3年くらい前のものしか見つからないじゃありませんか。

 

 昨年は、シイの実が落ちる時期に仕事が重なって行けなかった。

 「今年は、いっぱい落ちるのではないか」

  と、夏ごろから期待に胸を弾ませていたのだが、まったく落ちていなかった。

 ダジャレ好きだったソニーの創業者井深大(いぶか まさる)が麻雀をしながら放った一発、

 「額が落ちて、がく然とした」

 オイラの気持ちは、まさにそれ。

 誰かが一個残らず拾ったのか? まさか、そんなもの好き者はおるまい。

 

 飛鳥山は、江戸時代からの桜の名所なので、春はにぎわうが、ふだんも、やってくる人は結構いる。

 年は取りたくないもの。小便したくなり、「音無川(おとなしがわ。石神井川)へ向かって」と思ったが、人目が気になり、物陰で立ちションした。

 外で小便をする楽しさは、男の特権だろうね。

 実は、ン十年前に、飛鳥山でアジサイの陰に隠れてBIGウンチをテンコ盛りにしたことがある。

 外ですると、爽快そのもの、うんと出るから不思議だね。

 ひと際よく育っているアジサイが、それだよ。いや、うん悪く枯れてしまったか。

 警官が見ていたら、立小便はアウトだが、座りウンチの場合はどうなるのか。

 もし、あのとき警官に見つかって尋問され、オイラが「出物腫物(でものはれもの)ところ嫌わず」と口答えしていたら、どうなっていたか。

 そんなことを想った静かな静かな秋の1日でありました。

 「ああ嫌だ、ジジイはこれだからイヤだ」

 というレディの声が、どこからか聞こえてきそうな皆既月食の夜のことでございました。

 (城島明彦) 

 

« ほんとうにあった怖くて不思議な話 | トップページ | 小春日和とコスモス »