あの手この手で相手の動揺を誘う白鵬の、ここが〝悪賢い〟!
巨漢には効かない「張り差し」の代わりに逸ノ城に「待った」を2回!
白鵬の5日目の相手は、体重200キロの〝超巨漢〟逸ノ城。この力士、体つきと違って肝っ玉は小さい。それが表情にも表れている。
白鵬は、そういう相手には得意の張り差しをしばしば封印し、そのかわり、別の狡猾な手を使う。
横綱を倒そうと気がせいている逸ノ城がさっと立つのを、白鵬は見透かし、わざと立つタイミングを遅らせて「待った」をして気迫を削ぎ、さっと組みつき、もろ差しになって苦もなく寄り切った。
1度目の待ったは許されるとしても、わざとらしく2度重ねたら、何らかの悪意を疑わざるを得ない。意図的に相手と呼吸を合わせないようにして、逸ノ城の気迫を空回りさせ、動揺を誘えば、勝負する前の時点で白鵬は優位に立てる。そういうところまで計算するのが白鵬なのだ。
待ったをするのは、力士として「当然のかけひきなのか? いや、それは力士の地位による。横綱が待ったをわざとらしく繰り返したら、「せこい立ち合い」とみなされる。横綱なら少々立ち遅れても受けて立つべきだろう。大横綱といわれる双葉山や大鵬は、立ち遅れても受けて立ったが、優勝回数や勝ち星で2人をはるかに超えている白鵬は、絶対にそうはせず、意図的に待ったを繰り返して相手の気持ちを萎縮させ、本領を発揮させなくする。地位の低い力士なら「立派な作戦」とみなされるかもしれないが、こと天下の大横綱となると、そうはいかない。
相手が脳に衝撃を受けて動きが鈍くなるのを狙って、白鵬が張り差しを連発してきたのも、考え方の根っこのところは同じだ。
(城島明彦)
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