NHK大河の「年齢設定」のインチキぶり、「麒麟がくる」(第10回「一人ぼっちの若君」)でも健在!
将棋場面の実年齢は竹千代(家康)6歳、信長14歳のはずが、信長は青年にしか見えず
「麒麟がくる」は、ここ何年かの大河ドラマと比べると面白い。
その主な理由は、明智光秀という人物の歴史的史料がほとんど残っていないから、史実という縛りが少ない、自由勝手に想像をふくらませたドラマ作りができるからだろう。
ただし、明智光秀は所詮、歴史上の人物としては脇役。やはり戦国の三傑(信長・家康・秀吉)が登場しないと、盛り上がらない。実際、これまでの視聴率を見ても、明智だけが単独で登場している回は、三傑と絡む場面が出てくる回に比べると、人気薄という数字になっている。
前述したように、今回の歴史ドラマは、作り手が自由自在に想像できる恩恵があるが、それをいいことに、視聴者を小馬鹿にするかのような、浅ましい演出手法が早くも顔を出している。登場人物の年齢を平気で無視する点だ。
なぜそんな浅はかというか、浅ましいことをするかといえば、ただただ「ドラマとして面白くなるから」という単純な理由だ。
たとえば、幼年時代の徳川家康(竹千代)が織田信長の父信秀の人質となっていたときの話として、信長と将棋をする場面が描かれていた。そして、その対局の場に明智光秀も顔を出しているという演出だった。
そういう将棋をするという設定自体には何の問題もないが、どうひいき目に見ても実年齢に見えなかった、それが問題だ。
織田信秀の人質になっていたときの家康(竹千代)は6歳。当時の年齢は数えなので、今日の満年齢では5歳である。
そのとき信長は何歳だったかというと、8歳上だから14歳(数え年)だ。
だが、信長を演じた俳優(染谷将太27歳)の顔は、どう見ても20代の青年。相当ひいき目に見ても18~19歳が関の山。
満年齢13歳の少年にはとても見えない。
では、明智は何歳だったか。信長より6歳上、家康より14歳上である。
つまり、明智はそのとき20歳、満年齢では19歳ということになる。しかし、明智光秀に扮した長谷川博己の顔は、どうひいき目に見ても、19や20の若造には見えない。
長谷川は1977年生まれなので、実年齢は40を超えており、人生半ばの分別くさい顔つきが、未熟な青少年という役柄の邪魔をしてしまっている。
もっとも、明智の生年には1516年生まれという異説もあるから、もしそうなら一回り上の31歳となり、若づくりすれば「まあいいか」と目をつむれる。
年齢詐称というと大げさだが、NHKは、ドラマを面白くするためなら、平気で年齢をごまかすという〝ご都合主義的傾向〟がある。
新しく就任したNHK会長は、視聴者の気持ちを大切にすると声を大にしていったが、「親の心、子知らず」といったところか。
「西郷どん」では、西郷の後妻の年齢を大幅に誤魔化すというとんでもないことをしでかしたり、「江(ごう) ~姫たちの戦国」では、幼児のはずの姫を大人の女優に演じさせるなどして、これまたブーイングを受けたが、NHKは懲りていないらしい。
4月発売の拙著『武士の家訓 ~生き抜くために、戦国武将が残した究極の教え』には、でたらめなことばかりやっていた信長を諫めるために自決した(これを「死諫」(しかん)という)老臣平手政秀(ひらてまさひで)が、信長に宛てた遺書を現代語訳も載せたので、ご一読を!
(城島明彦)
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