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2019/11/17

思い出は甘酸っぱい? 昭和30年代にホップ、タイムスリップ、ジャンプや!

「ひとみちゃん」から「りんごちゃん」へ、バトンタッチに失敗

 

 「りんごちゃん」という、男なのか女なのかよくわからない〝丸顔のでぶっちいモノマネ芸人〟が現れたときは驚いて、昭和30(1955)代後半にタイムスリップしそうになってしもた。

 なんせ、「りんごちゃん」っていうのはね、昭和37(1962)年に神戸一郎が歌った歌謡曲の題名だったんや。

 

 このお人は商船大学の出で、歌手になる前は船乗りをしてはった。マドロスや。

 並みの美声と違いますのや。昭和32(1957)年12月に10代の恋よさようなら」でデビューして、紅白出場4はダテやないで。4回戦ボーイとは格が違うのや。

 ほんでもって、そのあくる年にリリースされた「銀座九丁目は水の上」では、海外航路の豪華船の描写がありマスト。よくデッキた歌詞やで。

 「銀座は八丁目までとちゃうの?」というあんたは偉い! そうなんや、九丁目は東京湾で海の上というしゃれでんがな。

 少年時代のオイラは、神戸一郎のまねをして、よう歌ったもんや。

 

  ♪夢の光よ シャンデリア

   粋なカクテル マンハッタン

   欧州通いの 夢乗せて

   銀座九丁目は 水の上

   今宵は船で すごしましょう

 

 この歌の舞台は東京湾やけど、港といえば、横浜か神戸。

 このお人は神戸生まれ。でもって、神戸という芸名にしたんやが、そのまま「こうべ」と読ませるのは芸がない、かんべんしてんかというので、「かんべ」と読ませたんや。オイラの出身地の三重県にも「神戸」(かんべ)という地名があるでぇ。

 

 かんべといえば、「簡便化」ちゅう言葉、知っとるやろ?

 上から読んでも「かんべんか」、下から読んでも「かんべんか」。

 もうダジャレはいわへんから、「かんべんかんべんか」(勘弁、勘弁か)

 こういうのを「かいぶん」といいますんや。

 「怪文」と違うで、「回文」と書きますねん。ほんまの話でっせ、怪聞やおまへん。

 あかん、また脱線してしもた。

 

 けどなあ、「りんごちゃん」はヒットせんかったんや。歌詞がイマイチやった。

 

  ♪リンゴちゃんって いうのはね

   ちょっとオデコで 可愛くて

   いつも町ですれ違う すれ違う娘さん

       恋をしている わけではないけれど

       いつもリンゴの 匂いがした

 

 実はな、この歌の3年前に「ひとみちゃん」(昭和34年4月)という歌が出て、鶴は千年、亀は万年、大ヒットしてまんねん。

 神戸一郎が所属したコロムビアレコードは、その「ひとみちゃん」にあやかろうとしたんや。歌詞の最後のフレーズに注目。「りんご」が出てきよります。

 

  ♪ひとみちゃん ひとみちゃん

    君の瞳が 濡れてると

    星の光も 悲しそう

    君の瞳が 輝くと

    小川の流れも うれしそう

    丘のりんごの 木の下で

    君の瞳に 恋をした

 

 そう、「りんごちゃん」は「ひとみちゃん」の3年後の姿やったんや。

 

 それにしても、昔の歌詞はシンプルでんなあ。

 歌詞の3番では、リンゴちゃんの出身地はリンゴのなる村で、母と同じ名前じゃないかと想像し、そう思ったら、なつかしさがこみ上げてきたというストーリー。

 で、歌詞の最後はちゅうと、

 

  ♪急に僕の胸に 甘いすっぱい匂いがする

 

 「甘酸(あま)ずっぱい思い」とはいうけど、アウト? セーフ? よよいのよい! じゃんけんぽん! 

 甘い匂いだけならセーフやけど、「甘ずっぱい匂いがする」娘はアウトや!

 

  ♪どっどど どどうど どっどどど……

   甘いリンゴも 吹き飛ばせ

   すっぱいリンゴも 吹き飛ばせ

 

 瞳がキラキラしてた女の子は、3年後には宮沢賢治の「風の又三郎」に変身して、甘さと酸(す)っぱさが入り混じった娘に変っていたんや。

 そういう人生経験を「酸いも甘いも噛み分けた」というんやでぇ。

 脇が(腋臭)甘く、ダジャレが出てきて、どうもす(酸)いません!

(城島明彦)

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