出演映画を無視し、致命的なミス(手抜き)を犯したNHK特番「AIでよみがえる美空ひばり」!
再現映像はよくできてはいたが、顔が細すぎ、声量がイマイチだったのが残念
9/29放送の同番組は、全体的な感想としては、「すごいな」「よく、ここまでやったな」という評価になると思う。
「流石、NHK」といいたいところだが、致命的な制作ミスというか、手抜きをやらかしていた。
新曲には長いセリフがあったが、「過去の美空ひばりの曲には、そんな長いセリフがないので大変だった、大変だった」と強調していた。
それを聞いて、「何をいっている、おかしなことをいうな」と私は思った。
〝不世出の国民的天才歌手〟とも称されるべき美空ひばりが生涯に出した曲数は1000数十曲といわれるが、子ども時代のものを除くにしても、膨大なデータになるから、確かに大変なことは大変だろうが、〝制作費無尽蔵の天下のNHK〟がいう言い訳ではなかろう。
新曲を歌うひばりの歌声をAIで再現するのに、NHKは過去に歌われた歌声や姿だけにこだわり、おどろくほど多数ある美空ひばりの出演映画(100数十本ある)のセリフやテレビ番組でのひばりの話声は、取り込むデータとして使わなかった。
NHKは、ひばりの出演映画やテレビ・ラジオのゲストとして出演したときの音声(HK以外の民放テレビ・ラジオも含む)の資料をなぜAIのデータとして使わなかったのか?
それらからは、ひばりの話し方、よく使った言葉、そのときの表情やしぐさ、動きなどの特徴や癖がよくわかるはずだ。
そういうものまですべて分析し、データとして使うとなると、作業が膨大になって何年かかるかわからなくなって、それこそ「大変だ」が、完璧を期そうとするなら、NHKの威信をかけてやるのなら、とことんやるべきだった。
再現映像は天童よしみそのものでシラケた
ひばりの晩年の歌で代表作の1つとなった「川の流れのように」の作詞者である秋元康がこの企画のために、かつて同曲を作詞した場所であるNYの同じ場所(コーヒーショップ)までわざわざ足を運んで作詞した新曲という触れ込みだった。
新曲の振りは、美空ひばりを尊敬し、ひばりの物まねも得意な歌手天童よしみの振りを加味したが、再現映像はどう見ても天童よしみのふりにしか見えず、感動をなかった。
シラケたのは、番組の最後の〝お涙頂戴〟場面。新曲づくりに関わった秋元、天童、ヤマハのAIエンジニア、ひばりの遺児加藤ら関係者一同を集めたホールで、完成した曲をひばりのCGが歌い上げるシーンで、全員が泣いていることだった。関わった連中には、思い入れがあり、完成までの苦労や努力がよみがえって、涙を流したのだろうが、明るい場所にあるテレビ画像で見ているこちらは、涙など出なかった。
総じてよくできていたとは思うが、惜しむらくは、声量が往年のひばりではないと感じられたのと、新曲を歌う美空ひばりの顔の幅が狭く、「これは何歳の設定なのか」という疑問が頭に浮かんだに不満が残った。
美空ひばりを3Dプリンターで立体化したロボットとして登場させ、新曲を歌わせたらもっと興味深く、もっと面白かっただろう。
(城島明彦)
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