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2018/04/29

「西郷どん」第16回の「斉彬の遺言」は、史実重視。これまでで一番面白かったが、視聴率はこれまでで最低だった


史実を踏みはずさず、資料の空白を説得力のある想像で巧みに埋めて見せるのが脚本家・演出家の腕

 これまで私は、「西郷どん」の描き方を批判し続けてきたが、今回は褒めたい。

 4月29日放送の第16回「斉彬の遺言」は、ほぼ史実に忠実であり、その範囲内で資料の空白を想像力で補うという、きわめてオーソドックスな手法を取っていたので、なかなか緊迫感があり、面白いと感じたのだ。

 ただし、町人風情に変装した一橋慶喜と品川の旅籠の女を絡めるシーンとか、西郷隆盛が僧月照を守って京を脱出するときに、女中が出て来て口出しをするシーンは、ドラマに華のある場面をという意図なのかどうかはよくわからないが、不要としか思えず、見ていてシラケた。

 話としては、三千の兵を連れて島津斉彬が上京するために、炎天下で兵器の実践訓練を陣頭指揮していた斉彬が日射病で急死し、一方、幕府では、大老に就任した井伊直弼が、天皇の許可を得ないで不平等な日米条約を結んで、反対勢力の水戸斉昭らを激怒させるが、逆に謹慎させられたり、志士らが捕縛されるなどした。

 斉彬の親友で反井伊派の巨頭だった松平春嶽(福井越前藩主)の懐刀だった橋本左内は捕縛され、やがて処刑される。
 今回のドラマでは、左内はいいの手下の者に捕縛されるところまでだった。

 一方、西郷隆盛は、島津家と姻戚関係にある京都の公家屋敷に出入りしていた尊攘僧月照を薩摩藩でかくまうために、鹿児島へと向かうが、追手が厳しく、しかも頼みの薩摩藩が受け入れないと知って、月照と抱き合って舟の上から海に身を投げるのである。

 なぜ月照と心中したかといえば、島津斉彬が死んだとき、西郷が殉死しようとして、「生きて斉彬様の遺志を継ぎなされ」と諭されたという恩義を感じ、また月照を逃し切れないことに対する責任を感じたためだ。

 今回のドラマでは、心中まではいかず、追手が厳しく、西郷が追い詰められた気持ちになるところまでだった。
 ドラマでは、西郷が島津斉彬の亡霊を見るという描き方がされていたが、この描き方は荒唐無稽ではない。
 今回のドラマでは、月照と心中するに至る西郷の心境が見る者にもよく伝わってくるので、巧みな脚本であり演出であると評価できる。


[5月2日追記」
 4月29日放送の「西郷どん」の視聴率(ビデオリサーチ調べ)が発表された。
 関東地区は11.1%と、それまでの最低を記録した。
 書店には、西郷隆盛本があふれかえているが、テレビドラマは視聴者からそっぽを向かれている。
 
 放送開始以来、あまりにも史実を無視した描き方に、視聴者が「NO!」を突きつけた格好になった。
 第16回で、史実に基づいた描き方に近づけたものの、時すでに遅し、ということか。

 視聴者の受信料を投入して作った大河ドラマ「西郷どん」大失敗の責任は、NHKの誰が取るのか!?

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(城島明彦)

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