「武井咲の違約金10億円は憶測」というなら、ERAは実際の数字を挙げろ
憶測でしか書けない芸能問題は多い
「武井咲の"違約金10億円報道"にERAが声明、『事実に即した報道』求む」
とマイナビニュース(9月7日)が伝えている。
ERAは「日本エンターテイナーライツ協会」の略称だという。
ERAのHPを見ると、若手弁護士数人が立ち上げた一種の法律事務所であり、「団体概要」には、
「芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会」
とあり、多くの芸能人が加入する「業界団体」のような印象を与えかねず、紛らわしい。
日本エンターテイナーライツ協会を正確に略称化するなら、「JERA」だ。しかし、「J」をつけると見た目がややこしいから、「J」をはずしたのだろう。
そういうところにも計算高さがうかがわれ、共感しづらい。
PR効果を狙ってそういう名称にしたのかもしれないが、弁護士事務所がつけるような名前ではない。このような名前を付けると、うさん臭く思われるだけだ。
名が体を表す、もっとふさわしい名前に改称すべきである。
「憶測」で書くなというなら、事実を調べて発表せよ
マイナビニュースは、デイリースポーツが「違約金10億円?」と書いた記事(9月7日)に対し、ERAがそういう金額は到底考えられないと否定する声明を発表し、憶測ではなく、できるだけ真実に即した報道がなされるよう求めるとしている。
確かにその通りだが、CMの契約料とか契約内容をこまかく発表する企業も芸能事務所もない以上、憶測するしかない。
そういう契約には「守秘義務」が付されており、公表できっこないことは、弁護士は当然知っている。
ERAが「憶測で書くな」というのなら、憶測が起きないように、契約内容や契約料を公表させるように動いたらどうか。
そういうことをしないで、「憶測」と断じること自体、矛盾がある。
芸能人は、多くの人々に夢を売る商売であり、一般人の給料と比べると破格のギャラを得る。
破格のギャラで出演する以上、その金額に見合った義務・制約も当然発生する。
たとえばCM。
子供が対象の商品のイメージキャラクターを務めた芸能人が、飲酒運転で逮捕されたり、詐欺を働いたり、異性問題を起したりすることはご法度である。
その芸能人がそうすることで、商品イメージは大きく傷つき、企業イメージもダウンする。
契約書にそういう場合の違約金の額が記されていなくても、実害は発生している。
損害額は、目に見えるものと見えないものがある。
目に見えない「企業の被害」を考えるべき
芸能人が結婚したり、妊娠したりするのは自由だが、そうすることでその芸能人をCMやドラマの主要な訳に起用していたテレビ局やスポンサー企業が「被害」を受けることは明白だ。
たとえば、飛んだり跳ねたりする役を演じていた女優が、妊娠し、動けなくなったとしたら、そういう動きができなくなる。
代役を立てれば済む問題ではない。
飛んだり跳ねたりする役と知って出演を承知しているのだから、それができなくなる可能性があることは控えるのが「筋」である。
そういう事柄を女性としての人権で守ろうとするのは無理がある。
ただ芸能人を守るというだけでは、一般人の共感は得られない。
ギャラも安く、さほど売れてもいない芸能人を守るというのなら共感は得るだろうが、知名度も高く、ギャラも高い芸能人が、あることないこと書かれてメディアに叩かれたとしても、それは有名税のようなものであり、そういう連中を助けようとして動いたりすれば、かえって批判されることになる。
(城島明彦)