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2017/05/26

中江藤樹『翁問答』を読まずして明治維新を語ることなかれ!


平成初の現代語訳! 西郷や松陰が熟読した〝日本陽明学の祖〟の代表作


 江戸時代初期の儒学者中江藤樹(なかえ とうじゅ)は、日本を代表する「聖人」(せいじん)だ。
 正確にいうと、出身地にちなんで「近江聖人」(おうみせいじん)である。
 近江は今の滋賀県。高島市の出身だ。

 キリスト教徒の内村鑑三が1908(明治41)年に英語で書いて世界に発信した名著『代表的日本人』に登場する日本の偉人は、5人。

 西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮。

 西郷も尊徳も日蓮もよく知られ、上杉鷹山も近年よく知られるようになったが、中江藤樹に関しては、知らない人が多くなった。
 その理由は、はっきりしている。
 戦後、道徳教育が廃れたからだ。

 中江藤樹は、日本で唯一、「聖人」(せいじん)と呼ばれてきた偉人だ。

 聖徳太子でさえ、「聖」を「せい」とはよまず「しょう」と読む。
 
 親鸞も日蓮も「聖人」だが、「せいじん」とよまず、「上人」に通じる「しょうにん」と読む。
 そう考えると、中江藤樹という人の大きさがわかろうというものだ。

 中江藤樹は、江戸時代にはすでに「聖人」といわれ、明治、大正、昭和(戦前)を通じて、その人となりを誰もが敬う〝国民的偉人〟だった。

 もっと知られていないのは、藤樹が、幕末維新を成し遂げた吉田松陰、西郷隆盛、高杉晋作らが信奉した「日本陽明学の祖」だったという点だ。
 極論すれば、中江藤樹がいなかったら薩長が手を結んで徳川封建政治を倒せなかったかもしれない。私は、そう思っている。

 中江藤樹が道を開いた「日本陽明学」の思想を一言でいうと、
 「知行合一」

 である。

 知行合一は、「ちこうごういつ」または「ちぎょうごういつ」と読む。
 「どんな思想もどんな知識も知るだけでは意味がない。実践して初めて実を結ぶ」
 という意味である。
 
 西郷隆盛も吉田松陰も高杉晋作も坂本龍馬も勝海舟も、この思想に突き動かされ、知行合一を貫き、日本の近代化を成し遂げたのだ。
 したがって、維新の英雄たちの行動を正確かつ完璧に理解しようとすれば、一度は中江藤樹の書をひもとかねばならない。

 少なくとも藤樹の代表作ぐらいは読んでおかないと、幕末維新を語る資格はない、と私は思っている。

 だが、いかんせん、中江藤樹の代表作『翁問答』は難解で、わかりやすい現代語訳を手がけようとする人がいなかった。昭和に思想書として現代語訳されたことはあるが、原文をそのまま現代語訳に移し替えている個所が多く、一般人が理解できなかった。

 「それなら自分が」と思って、今回、現代語訳したというわけだ。
 したがって、平成初、昭和以降つまり日本史上2冊目の全文現代語訳ということになる。

 中江藤樹は「孝の人」で、「孝」の概念を窮理の根本に据えて宇宙全体と人との関係、人としての真の生き方などをとことん追究した。
 その代表作『翁問答』は、人生いかに生きるべきか、学問とは何かといったことが、問答形式で語られる「人生論」でもある。

 Photo  5月28日か29日には書店の店頭に並ぶようなので、ぜひご一読ください。定価は1500円(本体)
 
(城島明彦)

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