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2017/01/31

あゝ懐かしの「俳優座養成所の1954年度入試(二次)問題」


栗原小巻、前田吟、地井武男、村井国夫,ら〝花の15期生〟が合格する遥か前の3期生の試験問題

 「俳優座養成所」の正式名は、何とも長ったらしい。
 「俳優座演劇研究所附属俳優養成所」である。
 その俳優座養成所が1954年(昭和29年)3月に実施した一次試験(そのとき、私は小学校の1年生)は、①メンタルテスト(いわゆる一般常識問題)、②朗読・パントマイム、③作文で、前回紹介した。

 で、今回は、二次試験問題の紹介だ。
 科目は、①メンタルテスト、②朗読・パントマイムだった。

 1 メンタルテスト(筆記 男女共通)

  A 次の言葉は何の用語で、如何なる意味か簡単に説明せよ。   ① 和音
   ② ロングショット
   ③ 院本物(丸本物)
   ④ 白樺派
   ⑤ 野獣派
  B 次の歌劇のうち、原作が戯曲であるものに〔〇印〕をつけよ。 
   リゴレット ファウスト ラ・トラヴィアータ トスカ オセロ アイーダ フィガロの結婚
   カルメン マダム・バタフライ タンホイザー
  C 次の戯曲の作者は誰か〔〇印〕をつけよ。
   ① 女房学校  シェイクスピア モリエール ボーマルシュ
   ② 五稜郭血書  岡本綺堂 久保榮 北條秀司
   ③ デッド・エンド  オニール ハウプトマン キングスレー
   ④ 闇の力  ツルゲーネフ ハウプトマン トルストイ
   ⑤ 綾の鼓  加藤道夫 三島由紀夫 福田恒存
  D 次の人は、いつ頃、どこの国で、何で有名か。 
   ① サラ・ベルナール
   ② 島村瀧太郎
   ③ マックス・ラインハルト
   ④ 生島新五郎
   ⑤ ジョン・ギールガッド


 2 朗読・パントマイム

(朗読 女)
 三十を越して独身の女が、洋紅の覆いを深々とかぶった臺電灯(スタンド)のもとで、床の間の方を枕にして、左下に、臥(ね)ながら講談雑誌を読んでいた。まるで風のない寒い晩だった。まだ十二時は打つまいと思われるのに、いつの間にかすっかり人通りが杜絶(とだ)えて了って、もの音のなくなったことが、鋭く耳につき出した。(中略)
 見ると、姪が、薄く眼をあいて、じっとこっちへ瞳を据えている……
 ギョッとした。
 「なによ!」
 跳ね起きるなり、「なによ、節っちゃん!」
 「いやあ!」
  夜着ごと飛びついて来て、膝へ面(おもて)をふせた。
 「なんですったら!」
 「なんなの?」
 そうっと顔をあげかけた。
 「知らないわ!」

 (朗読 男)
そうだ! わらべ達の声だ!……お前はかえらなくちゃいけない。あの竹林の中に帰らなくちゃいけない。わらべ達がお前たちを呼んでいる!……なよたけ! 僕は夕方までに、都の家を引き払って、お前の処へ行こう……もう二度と再び都へなんか出て来るもんか! お前と一緒にあの竹林の中で一生暮らすんだ! ねえ、なよたけ! もうお前と僕とは一生離れることは出来ないんだよ! そうだろう!……さあ、お行き! あのわらべ達の声が道しるべだ! あおの声の聞こえる方へどんどん行けばいいんだ。夕陽の沈む頃、僕もお前の所へ飛んで行くよ!

(パントマイム 男女共通)
 甲が用心深く戸口からのぞく。やがて入って来てそっと机の所へ行く。そこには何通かの手紙が置いてある。甲はその中の一通を探し出す。それから誰か近くに居りはしないかと、あたりを見まわしたり、又誰か来はしないかと耳をかたむけたりする。誰も近所にはいないらしい、甲はその手紙をあらゆる面からすかしてみたり、光にかざしてみたりするがどうしても中をよむことが出来ない。甲は躊躇し、自分と戦った後、最後に手紙を開けてしまう。失望。その中には、何も特別の事は何も書いてない。どうしたらもと通りにごまかせるか? もう一度上手く貼りつけてみようか? やっと出来た。だが之では如何にも見苦しい。これはとんだことになるかも知れない。甲は手紙を他の手紙の中へ混ぜる。――物音が聞こえる。甲は急いで立去る。

【おまけ 回答例】
 以下は、蛇足いや豚足というべきか。今の時代の迷回答例を一つ!

 1 メンタルテスト(筆記 男女共通)
  A 次の言葉は何の用語で、如何なる意味か簡単に説明せよ。
   ① 和音  ピアニスト清水和音(かずね)のこと。
   ② ロングショット  ゴルフボールを遠くへ飛ばすこと。
   ③ 院本物(丸本物)  伊集院光の本物(丸川珠代の本物)
   ④ 白樺派  「♪白樺 青空」で始まる千昌夫のヒット曲「北国の春」の愛好者。
   ⑤ 野獣派 ロンドン五輪で金メダル、リオ五輪で銀メダルを取った松本薫の柔道。

 こんな回答を書いたら、採点者は「面白い奴だ」といって合格にする? それとも「ふざけやがって」と怒って不合格にする?

(城島明彦)


2017/01/28

今から63年前(1954年)の俳優座養成所の入試問題


授業料12,000円、施設費・テキスト代等約5,000円、入所金1,000円

 ――この数字は、昭和30年(1955年)頃の俳優座の俳優養成所の学費だ。
 めったに開けない本箱の中にあった古書『女優への道』(河出新書)に、そう書いてあった。
 著者は、遠藤慎吾(故人)。ウィーン大学に留学して演劇史を学んだ経歴を持つ演劇評論家で、俳優座の創設にも関わった人物である。
 200ページちょうどの薄い本で、定価は100円。時代ですなあ。

 昭和31年2月10日第2刷発行と奥付にある、この本をいつ入手したかの記憶はまったくないが、東宝で映画の助監督をしていた20代の頃に、新劇女優を主人公にした映画のシナリオを書こうとして果たせなかったことがあるので、その資料として手に入れたものと思われる。
 そういう記憶はあるが、書店の棚にあったものなのか、古書店で買ったのかの記憶はない。
 昭和40年代半ばの話だ。


デッサンもあった俳優座養成所の授業科目
 
 『女優への道』に興味深いことが書いてあるので、以下に紹介する。本では學、國といった旧字が使われているが、ここでは現代の文字に変えて引用する。

《俳優座の俳優養成所は、修行年限三年で、入所資格は十五歳から二十二歳まで、新制中学卒業及び同程度以上の学力のあるものとなっていて、教授科目は次のようになっています。
  一年=文化史、音楽の歴史及び鑑賞、美術の歴史及び鑑賞、心理学、生理学、言語美術、音声学、音声生理学、演劇概論、演劇史、戯曲研究、演技実習(物言う術、身振表情術)、声楽、舞踊、体操、外国語学(英、仏)
二年=文化史、日本文学、外国文学、演劇史、戯曲研究、演出論、演技論、演技実習、楽典、デッサン、声楽、舞踊、体操、外国語学(英、仏)
三年=演劇史、演出史、演技史、戯曲研究、劇場論、舞台美術論、演技実習、声楽、舞踊、体操 》


昭和29年度入試――520人応募して45人合格

 私が、この本を面白いと思ったのは、昭和29年度の入学試験問題が巻末に載っていたからだ。

《俳優座の俳優養成所は、既に三回の卒業生を出していますが、教育効果はそう上がっているとはいえず、卒業生の中からは、まだ目ぼしいこれという俳優は出ていません。だが、それにも拘らず、この養成所は、規律もあり体裁も整っていて、しかも権威ある新劇団体(俳優座)と直接のつながりを持っている唯一の俳優学校として一番人気があります。
毎年三月下旬に入学試験があるのですが、それには多数の志望者が殺到します。昭和二十九年の応募者は五百二十名、採用生徒数は四十五名ですから、十人以上に一人という狭き門です。
試験は第一次と第二次の二回にわたって行われ、第一次であらよりした人たちに更に第二次試験を行って入学者をきめるという綿密さです。 》 ※あらより:粗選り

《出席がかなり厳重ですから、アルバイトで学費をかせぐのは非常に困難なようです。現在、在学中の生徒の中、半数位は、アルバイトで学費の一部を補っているそうですが、全部をアルバイトでかせぎ出そうとする生徒は必ず脱落していくそうです。だから、ある程度の親の援助がないと、とても三年間の勉強を続けるのは無理だということになります。 》


「一般常識問題」は当時、「メンタルテスト」と呼ばれていた

 第一次は、「メンタルテスト」と呼ぶ男女共通の「筆記」、男女別の「朗読」、男女共通の「パントマイム」、そして「作文」である。
 メンタルテストとは、今の言葉でいうと「記述式の一般常識問題」で、次の20問が出題された。

◎メンタルテスト

 ①日本の国立公園の名を三つあげよ
 ②富士山の高さ
 ③小説『にごりえ』の作者
 ④松川事件のあった年
 ⑤伊藤斗福
 ⑥M・S・A
 ⑦サー・ジョント・ハント
 ⑧『チロルの秋』の作者
 ⑨トスカニーニ
 ⑩音の速さ
 ⑪フロイド
 ⑫シェイクスピアの悲劇二つあげよ
 ⑬T・S・エリオット
 ⑭歌劇『お蝶夫人』の作曲者
 ⑮岸田劉生
 ⑯NHK 第一放送の周波数
 ⑰アブストラクト・アート
 ⑱ヴィユ・コロンビエ
 ⑲リベート
 ⑳三一致の法則

◎『朗読 女』 問題

ごらん!……ほら、あのお天道様のいらっしゃる限りもなく広い、広いお空は、わたし達のいるこの竹林にまで、ずうっとつづいて来てるのよ。あたし達はみんなお天道様のものなのよ。あたし達のまわりにあるものみんなお天道様が創って下さったものよ。この数えきれない竹の木も、地面からにょきにょき生えて来る筍も……ほら、あっちの方で、ちゅくちゅく鳴いている鳥は、あれはなあに?……向うの方でも、ちゅんちゅん鳴いているのはなあに? あっちの上の方で、ちちちろって鳴いてるのは?

◎『朗読 男』 問題

私は美学をやりたかったのだが、親爺がどうしても許してくれないで、とうとう医者にされてしまいました。大した方向転換です。癪にさわったもんで一週間ほどってもの、食事をとらないで頑張ってやりましたよ。尤もそれは家だけで、外ではやっていましたけど。(笑う)あ、そうそう、此の間はどうも失礼しました。あの時云ってらした症状ね、今日、血液検査表が出来ました。やっぱり仰ってた通りでしたよ。然し、完全にあなたの勝と云うわけじゃありませんよ。その三番目の表をごらんなさい。それじゃない、その下、それそれ、肬(ゆう)静脈血の窒素含有物の定量です。まだまだ議論の余地はありそうですね。


◎『パントマイム 男女共通』 問題

甲が楽しそうに唄を口ずさみながら入って来る。帽子と上衣を取って出て行こうとして、ふと、忘れものに気付く。上機嫌は去り、例えば芝居の切符をどこに置いたかしらと考え出す。方々さがしてみても見つからないので、癇癪を起す。突然切符をポケットにしまっておいた事に気付く。それをポケットから引き出す。上機嫌が又もどってくる。そして嬉しそうに出ていく。


愛川欽也もこの試験を受けていた

 この試験を受けて合格し、晴れて3期生となったのは、安井昌二、渥美国泰、愛川欽也、穂積隆信、渡辺美佐子、楠侑子らである。
 彼らを含めて「まだ目ぼしいこれといった俳優はまだ出ていない」と書かれた1期生は岩崎加根子、阿部寿美子、林洋子らの俳優座研究生だった連中で、初めて公募して入所した2期生は菅原謙二、高橋昌也、土屋嘉男、滝田裕介、佐藤英夫、島崎雪子、宮崎恭子、小林トシ子らである。

 この試験の翌年に入所する4期生には、仲代達矢、宇津井健、中谷一郎、佐藤允、佐藤慶らがおり、彼らは映画などに多数出演し、俳優座養成所の知名度は次第に上がっていくのである。

 ――ちょっと疲れてきたので、3期生の彼らが受けた二次試験がどんなだったかは、次回に記す。

(城島明彦)

2017/01/27

韓国よ、目覚めよ! 「征韓論」の時代と同じことをやっていたら、国の未来はない!


傲慢無礼は国民性なのか

 大隈重信は、明治時代になぜ「征韓論」が起こったかかに関して、次のようにいっている。
 「韓国が倨傲無礼(きょごうぶれい/傲慢無礼と同じ意味)を極めて、我(日本)に敵意を表はした為めに、我国民は往古(おうこ/遠い昔)に於ける日韓両国の関係を想起して、感慨に堪へず遂に干戈(かんか/武力の意味)を採って制裁せんと欲するに至った」
 
 朝日新聞(2007年6月26日付け)が掲載した「征韓論」の解説記事(ネットでも見れる「キーワード」解説)の中に、以下のような一文がある。
 
 《1873年5月、朝鮮が、釜山(プサン)にあった日本側の滞在用施設の門の前に日本を侮辱した書を掲示したという報告が伝わり、参議の板垣退助(いたがきたいすけ)が閣議で、居留民保護を名目に派兵を主張。
 一方、西郷隆盛は、派兵に反対し、自分を大使として派遣するよう求めた。板垣らも賛成し、いったん西郷の派遣がきまったが、天皇に決定を報告した岩倉具視(いわくらともみ)が派遣を認めないよう求めたため、閣議で正式決定しながらも派遣が中止されるという異常事態となった。》

 その結果、西郷隆盛は下野し、やがて西南戦争が起きるのだ。


過去に執着しても、未来への希望は生まれない

 「朝鮮が、釜山(プサン)にあった日本側の滞在用施設の門の前に日本を侮辱した書を掲示」
 という解説を読んで、誰もが想起するのは、今の「日本大使館前に設置された慰安婦像」だ。

 折も折、1月27日の日本のテレビは、そろって、「対馬の寺から盗まれ、韓国の寺に売られた仏像をめぐる裁判の判決」をニュースとして報じた。

 判決文がふるっている。
 「かつて倭寇がその寺から盗んだものだから、所有権は韓国の寺にある」
 としたのだ。

 倭寇? 何年いや何百年前の海賊の話を蒸し返しているのだ。

 この論理でいうと、似たような経緯で大英博物館の手に渡った古代エジプトの秘宝などは、すべてエジプトに戻すのが正しいということになる。
 
 韓国の慰安婦問題にしろ、仏像の一件にしろ、あきれ返るしかない。
 近代化がなされていないというべきか。
 韓国の歴代大統領は、退任後、逮捕され糾弾されるという歴史を繰り返している。
 

昨日の敵は今日の友

 財閥が韓国経済を牛耳り、その一族がのさばり続けているのも、時代錯誤である。
 財閥を早く解体しない限り、韓国の未来は先はない。
日本は、戦後すぐに連合軍(駐留米軍)が「財閥解体」を強行し、それが企業間の競争を生む原動力となった。
  
 日本は、日本を壊滅的に破壊し尽くした敵国アメリカと、戦後手を結んで復興し、先進国となった。

 戦争から70年も経つのだから、韓国も、かつて敵だった日本に対する怨念を捨て、共に手を携えて自国の繁栄のために突き進んだらどうなのか。

 慰安婦像を設置する運動をしている連中の中に若者の姿を見るにつけ、
 「いつまでも過去のことにとらわれるより、明日の韓国のためになる運動に精を出せ。それができるのは、君たち若者たちだ」
 といいたい。

(城島明彦)

2017/01/26

稀勢の里は〝高齢横綱〟の常識を覆せるか!?


平均的には2年半、よく頑張って3年で引退か!?

 日本人期待の「遅咲き国民的横綱」となった稀勢の里は、30歳。
 だが、0歳以上で横綱になった力士は、1980年以後、3人しかいない。

  ①三重ノ海(31) 横綱在位8場所(1年8カ月)
  ②隆の里(30)  15場所(2年6カ月)
  ③旭富士(30)  9場所(2年6カ月)

 これら3人の〝横綱寿命〟は、3年に達しなかったのである。

 稀勢の里が、これまでケガらしいケガをしていない点を「特異体質」ないしは「特殊体質」とみなしてプラス要因として加算しても、長くて3年もてばいいほうだ。

 今年一年、全場所優勝というような快進撃を続けて、その体のように、太く短い横綱人生を送るよう頑張ってもらいたいものだ。

(城島明彦)

2017/01/22

日本人の悲願達成! 白鵬に勝っての優勝で、稀勢の里の新横綱確定!


白鵬の時代は終わった! あとは、いつ引退するかだ

 優勝インタビューで稀勢の里が涙をこぼす姿は、感動的だった。

 白鵬は大横綱だが、張り差しが多く、この日も稀勢の里の右顔面を張って、稀勢の里をひるませようとした。
 稀勢の里には、このようなセコイ手は使ってほしくない。
 堂々と組み、あるいは堂々と突き、押す取り口の「横綱相撲」を続けてほしい。
 そうすることで、横綱にふさわしい大相撲本来の取り組み方を見せてほしい。

 白鵬は懸賞金を受け取るときにガッツポーズを見せるが、こんな醜悪なことをする日本人横綱はかつて存在しなかった。
 一方、稀勢の里が懸賞金を受け取るときの仕草は、伝統にのっとって粛々と行っている。
 稀勢の里には、横綱として大相撲の手本となる姿勢を貫いて行ってほしい。

 イギリスはすでにEUを離脱したことも驚きだったが、もっと驚いたのはアメリカで異質のトランプ大統領が登場したことだった。
 日本では、天皇の退位が検討されている。
 
 世界も日本も大きな節目を迎えたこの時期に、日本の国技である大相撲で稀勢の里がモンゴル勢を撃破して初優勝し、日本人横綱誕生となったことは極めて印象的である。

 一足先に、「祝! 稀勢の里の横綱昇進!」だ。

(城島明彦)


稀勢の里の横綱昇進は、来場所も優勝しないと難しい?


「来場所も優勝」か「3場所合計38勝+準優勝」が横綱昇進の絶対条件

 大関稀勢の里は、1月22日、14日目に白鵬が破れたことで初優勝が決まったが、千秋楽の白鵬に負けると横綱昇進への道も険しくなる。

 来場所優勝すれば、文句なく横綱昇進を果たすが、白鵬に負けて今場所の成績が13勝2敗になると、先場所が12勝3敗なので、横綱昇進に必要な勝ち星38勝を確保するには、来場所13勝以上にし、最悪準優勝ということにしないといけなくなる。

 「日本人横綱待望論」はあっても、誰からも文句をいわれないためには、来場所も優勝するしかないのだ。

◎先例 横綱昇進前(平成15年以降)の3場所の勝ち星の合計 

  朝青龍   10勝5敗、14勝1敗(優勝)、14勝1敗(優勝)   38勝7敗
  白鵬    10勝5敗、13勝2敗(優勝)、15勝1敗(優勝)   38勝7敗
  日馬富士  8勝7敗、15勝0敗(優勝)、15勝1敗(優勝)    38勝7敗
  鶴竜     9勝6敗、14勝1敗(準優勝)、14勝1敗(優勝)  37勝8敗

 鶴竜は37勝しかしていないが、(決定戦で敗れての)準優勝ということで、横綱昇進が認められた。
 その点、稀勢の里はどうか。

◎稀勢の里 今場所までの3場所の成績

  稀勢の里 10勝5敗、12勝3敗、14勝1敗or13勝2敗
 3場所の合計は、白鵬に勝っても36勝しかなく、今場所後の横綱昇進は難しい。

 ただし、昨年(2016年)の全6場所の成績は、非常に安定していた。
  9勝6敗、13勝2敗、13勝2敗、12勝3敗、10勝5敗、12勝3敗
 春場所、夏場所、名古屋場所の合計は38勝を記録しており、勝ち星だけならその時点で「横綱昇進の資格」を満たしていたのだが、いかんせん、一度も優勝していなかったから、横綱にはなれなかった。

 さらに安定性を増して、3月の春場所でも優勝して横綱になってもらいたいものだ。


【1月22日追記】 千秋楽に白鵬に逆転勝ちして14勝1敗で優勝! 横綱昇進を決定的にした!!

 稀勢の里は2場所連続優勝ではないが、2年連続年間最多勝を手にしているので、それが「2場所連続優勝か、それに準じる成績」に該当するとされ、横綱昇進が認められる流れとなった。

(城島明彦)

2017/01/21

祝! 稀勢の里、優勝! 時代の変わり目を告げる!

貴乃花親方のアドバイスが効いて、貴ノ岩が白鵬を破り、稀勢の里の優勝が決まった

 アメリカで〝ハチャメチャ〟なトランプ大統領が誕生した翌日に稀勢の里が初優勝したのは、時代が大きく変わる予兆ではないのか。

(城島明彦)

何じゃ、この決まり手は!?  宇良が裏返って勝ったから「たすき反り」


こんな相撲の勝ち方、見たことナイジェリア!

 反りが合わずに負けた相手が、「決まり手は、たすき反り」と聞いて、思わずと呟いた?
 「たすきて」(助けて/たすき手)
 いい加減にサラセン帝国!

 ジョン・レノンがもし存命だったら、思わず横にいた嫁オノヨーコに、
 「Oh! No!」
 と叫んだに違いない奇想天外な決まり手だった。

 昭和30年に技の名を決めて以来、初めてとか。

 やったのが、十両3枚目の宇良(うら)であることは山本リンダも知っている。

 ♪宇良ら、宇良ら、宇良宇良で 宇良ら宇良ら 裏技よ パッと狙い撃ち

 アッと驚く決まり手を連発する宇良も、次の春場所では、いよいよ幕内だ。

 ♪春の 宇良らの 隅田川

 ではなく、春場所は東京ではなく、大阪で3月に行われる。

 負けた天風は、みっともないったらありゃしない。
 だが、梓みちよも歌っている。

 ♪宇良みっこなしで 別れましょうね
 
 オヤジギャグを誘引しまくる宇良でありました。
 
 ――それにしても、日本のスポーツが、面白くなってきましたな。

 スポーツといえば、テニスもすごいですぞ。
 最後を締めくくるのは、やはり〝永遠の女王〟美空ひばりをおいてありません。
 
 ♪こり こり 錦織の地蔵さん 西へ行くのは どっちかえ

 (苦笑するのはジジババのみ。若い人には馴染みのない歌ばかり、というわけで)

 ♪バカく わかりにくい歌声に よだれも落ちる 鼻も出る アホい山脈……

(城島明彦)

2017/01/19

稀勢の里、勢を撃破。強さが戻り、優勝確率が5分5分以下から7割以上にアップ!


豪栄道に明日勝てば、残る相手は白鵬のみ

 稀勢の里は、12日目の対戦相手である勢には連勝しているといえ、曲者。
 しかし、稀勢の里は、じっくり取って、なんなく寄り切った。
 危なげがなかったことから、こういう取り組みをすれば、千秋楽の白鵬戦にも勝ち、初優勝を手にできる。

 相撲協会の審判部は、本来なら14日目に当てる豪栄道を明日13日目の対戦相手にしたが、もともとケガの多い豪栄道は、この日、また負傷した模様。

 稀勢の里に運が向いてきた感がある。
 これにより、優勝確率は大きくアップしたといえる。

(城島明彦)

2017/01/18

稀勢の里、1敗守るも、ぶっちぎりの強さが消え、優勝の可能性は5分5分以下


2横綱休場という「千載一遇の幸運」を活かせなければ男じゃない!

 稀勢の里は、過去に見せた怪力無双の〝ぶっちぎりの強さ〟が影をひそめてしまった。
 横綱昇進は〝実力プラス運〟だ。
 勢いに乗って、神がかりのような強さを発揮し、一気に優勝ないしは準優勝を続けないと、横綱にはなれない。

 稀勢の里は、それができずに、何度も好機を逃してきた。
 しかし、今場所は、日馬富士に続いて鶴竜も休場したことで、稀勢の里が勝たなければならない横綱は白鵬ひとりになった。
 しかも白鵬は、年齢的な衰えがみられ、足の指のケガなどもあり、かつてのような無敵の強さではなくなっている。
 
 その白鵬に負けたら、たとえ1敗差で準優勝しても、横綱昇進とはならない。
 白鵬を圧倒して勝って14勝1敗での優勝なら、誰に文句をいわれることなく、横綱昇進だ。
 日本国民はそれを願っている。
 だが、そういう期待を重圧に感じたら、その時点でアウトだ。


伏兵に気をつけろ!

 だが、あと4日。思わぬ伏兵が出てくる可能性もある。

 残る4日間の対戦相手となる横綱・大関から横綱2人が消え、残るは横綱白鵬と大関豪栄道のみを残すだけとなった。
 千秋楽が白鵬戦、14日目が豪栄道戦である。
 明日12日目は勢と発表されている。2人の横綱の欠場で、急遽、前頭と2番取ることになり、その1人が勢になったのだ。

 勢の金星の数は、これまでに1個だけ。白鵬に勝っただけだ。
 しかも、稀勢の里は勢と過去に13回対戦して13戦全勝だ。
 じっくり見て取れば稀勢の里の完勝となろうが、勢の作戦次第では、過去0勝というのは、かえって危険をはらんでいる。
 勢が、何とか勝ちたい一心で、過去の取組とは全く異なる取り組みを仕掛けてくるかもしれないからだ。
 
 
13日目も要注意! 対戦相手は、豪風か貴ノ岩か蒼国来か?

 前頭相手というのが、かえって危ないのだ。
 なぜなら、相手は、
 「負けてもともと」
 「横綱候補に勝って、男を挙げたい」
 と、死に物狂いで、あるいは、稀勢の里をあわてさせるような「奇手」「奇襲攻撃」を講じてくる可能性が大きい。
 
 13日目は、番付の順位から行けば、前頭5枚目の豪風で、7勝4敗と健闘しているが、年齢は34歳。盛りは過ぎている。
 勝ち星から行けば、8勝3敗で勢いに乗っている前頭10枚目貴ノ岩か、9勝2敗の前頭11枚目蒼国来である。どちらもモンゴル出身で、貴ノ岩は26歳、蒼国来は33歳。
 貴ノ岩が面白いかもしれない。

 さあ、どうなりますか。


 【1月19日 追記】

 前記の私の読みは、完全に間違っていた。
 審判部は、13日目の稀勢の里の取組相手に豪栄道をもってきたのだ。

 だが、豪栄道は12日目の取組で、ケガをしたようだ。場所前に痛めていた腰の状態が悪化したのかもしれない。

 一方、稀勢の里は12日目の対戦相手である勢いを、じっくり攻めて勝ち、以前のような強さが復活したかのような印象を与えた。

 こうなると、最大の焦点は、千秋楽の白鵬戦ということになる。
 白鵬に負けて同点決勝となって負けて優勝を逃し、準優勝となると、横綱昇進は難しい。

 何としてでも、白鵬を下して優勝し、横綱昇進を決めたいところだ。

 【1月20日 追々記】

 13日目、豪栄道休場で、稀勢の里は不戦勝。運に恵まれた。
 審判部は、14日目の稀勢の里の対戦相手に、幕尻に近い前頭13枚目の逸ノ城をぶつけてきた。
 私の予想はことごとく外れた。
 当たったのは、モンゴル出身力士ということだけ(逸ノ城もモンゴル出身)。
 審判部は、稀勢の里と逸ノ城の過去の対戦成績が7勝3敗という点に目をつけたようだ。
 
 逸ノ城は、13日目が終わった時点で10勝3敗だが、下位だから勝っているだけのようにも思え、貴ノ岩か蒼国来の方がおもしろかもしれない。
 
(城島明彦)

2017/01/14

よくぞいった、さだまさし! 白鵬のガッツポーズに苦言!


懸賞金ガッツポーズをやめない白鵬は「横綱の品位」を汚し、「大相撲の精神」を冒とくしている!

 大相撲初場所7日目、この日のNHK中継の放送席のゲストは歌手さだまさしだったが、白鵬が荒っぽい相撲で玉鷲を倒して、懸賞金を受け取り、例によって賞金の束でガッツポーズをした後のコメントで、これまで大相撲関係者の誰もいわなかった「勝者のガッツポーズ」について、「すべきではない。負者いるのだから、気遣いが必要」といった趣旨のことを堂々と述べた。

 さだまさしは、きつい口調ではなく、自分はそう思うという謙虚な言い方だった点も、好感が持てた。

 白鵬が土俵上で受け取った懸賞金で「やった!」とばかりにガッツポーズをする仕草は、醜悪である。
 私はこれまでに何度もいってきたが、一向に改めようとしない。
 そして、それを相撲協会も注意しない。
 
 最高位である横綱が「大相撲の精神」を軽んじ続ける軽薄な行為を、相撲協会がやめさせられないのなら、大相撲は国技であることをやめたらどうか。

(城島明彦)
 

2017/01/11

早口言葉はいかが?


まともに考えないことが大切


 私が本塾の狂師である。
 では、さっそく滑舌と参ろうか。

 ◎頭狂、独居、許可曲

 うまくいえたかな。
 では、続いて本日の問題じゃ。

 【目、鼻、口、耳を使って20字以内の意味のある文章をつくりなさい】

 まともに考えてはいかん。自由奔放に考えるのですぞ。
 アイデアが浮かんだかな。

 それでは、模範解答を示そう。

 が出て、が咲き、実々がなり、ちた。(20字)

(城島明彦)

2017/01/06

今年は整理整頓の年にしようと、エレクトーンを手放した


あの世へ旅立つときの準備――その第一弾という心構えのつもり

 娘が子供時代に使っていたエレクトーンを、エディオンに頼んで持って行ってもらった。
 5000円強を支払って処分してもらったのだ。
 かつてヤマハ音楽教室で使われていた本格派のでっかいエレクトーンで、高校時代の同級生だった友人がヤマハに勤務していた関係で、ヤマハ音楽教室で使っていた中古品を譲り受けたもの。
 私も時折、我流で弾いたときもあり、想い出がいっぱい詰まっていて、なかなか手ばなせずにいたが、気がつけば70歳。完全なジジイだ。気持ちだけ若いつもりでも、あちこちガタが来ている。

 友人らが一人また一人と、あの世へ旅立っているので、
 「そろそろ、あの世へいく準備に取りかからないといけない」
 という思いが強くなり、整理整頓に取りかかった。
 ヤマハ音楽教室のエレクトーンは、その第一弾というわけだ。

 娘は三歳ぐらいからピアノ教室に通っていたが、熱心に練習せず、レッスン日当日になって、それも授業が始まる1、2時間前にやっつけでチョコチョコと練習のまねごとをした。
 当初は簡単な曲なので、なんとかそれでもついていけたようだが、小学五年生ぐらいになり、だんだん難しくなると、しんどくなったらしく、やめたいといいだし、本人が嫌がる者を無理にやらせても仕方がないと、教室通いをやめることに同意した。
 当時、娘は日能研の塾やYMCMにも通っていたので、習い事がきつくなったようだった。

 そんな思い出とともに、エレクトーンは家を出て行った。

(城島明彦)

2017/01/02

初春の「都道府県づくし」第二弾は、「弥次さん喜多さんの東海道五十三次の巻」


赤穂浪士と都道府県は四十七


 毎度、馬鹿しいお話を一席二丁というわけで、迎春第2弾の今回は、元旦の「綴り方狂室」とは趣向をいささか変えまして、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の登場人物の二人の名前を借用した創作落語、題して「都道府県づくし 弥次さん喜多さんの東海道五十三次の巻」でございます。

 時は元禄15年12月14日、世間じゃ赤穂浪士47人の討ち入りの日として知られるその日の昼間のことでございました。
 喜多さんこと喜多八の住む長屋をちょいと覗いた弥次さんこと弥次郎兵衛、いつものように勝手に留守宅に上がり込んで、帰りを待っておりますてぇと、ドスンと戸にぶつかる大きな音。
 「あっ、来た! 帰ってきた」(秋田
 と、弥次さんが叫んだ途端、
 「いててっ」
 あわて者の喜多さん、戸に手を挟んでしまいましたな。
 「おお、痛かったが、まあ、よいわ、手は無事じゃ」(大分/岩手
 と、昼間から深酔いして、ふらふらの喜多さんを見て、弥次さんは
 「めでたい奴だ」
 天を仰ぎ、ふんと鼻でせせら笑ったケセラセラ。(岐阜
 「誰かと思えば、弥次さんじゃねえか。驚かすなよ」
 「うひょう、ごめんごめん」(兵庫
 「ごめんですむなら、奉行所いらぬ」
 と喜多さん、偉そうにいって、土間へ上がろうとして、つんのめり、バタンと倒れましたな。
 「大丈夫か」
 と駆け寄る弥次さんに、喜多さん、にっこり笑って、
 「見たか。若、やまい(病)に倒れるの図だ」(和歌山
 「誰が若だ、若様だ。馬鹿面(づら)しやがって。何だい、着ている呉服、おかしいぞ」(福岡
 どういうわけか、喜多さん、改まった裃(かみしも)姿でございます。
 「なに抜かす。新調したてだ。披露しま装束、この呉服、いくらだと思ってやがる。この紋所が目に入らぬか」(広島/福井
 「知る紋か」
 と弥次さんが駄洒落で返すと、喜多さん、ひょいと裾をまくって、
 「おひけえなすって。こちとら、名は喜多八、姓は鼻水。おお、逆さまだ。名が先になっちまった。して、弥次殿のご要件は?」(大阪/長崎
 「疲れる野郎だ。ふたり仲良くんで、東海道を都まで旅しようって誘ったのは、てめえの方じゃねえか」(奈良
 「さあ、どうかいのう」
 「駄洒落とばしてる場合じゃねぇ。東海道は五十三次。品川、川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、小田原、箱根、三島、沼津、原、吉原、蒲原(かんばら)、由比、興津、江尻、府中、鞠子(まりこ)、岡部、藤枝、島田、金谷、日坂(にっさか)、掛川とくらぁ。これで二十六宿。まだ半分だ。そこから先は、袋井、見付、浜松、舞坂、新居、白須賀、二川、吉田、御油(ごゆ)、赤坂、藤川、岡崎、池鯉鮒 (ちりふ)、鳴海、宮 (熱田)と来て、七里の渡しで桑名へ渡り、四日市、石薬師、庄野、亀山、関、坂ノ下、土山、水口、石部、草津、大津。これで五十三の宿、そして京都着だ」
 と右京、左京を巡る旅へと喜多さんを急(せ)かしたのですな。
 ところが、喜多さん、ちっとも聞いちゃいませんで、トロンとした目で、わけのわからないことを口走りましたな。
 「その指図(さしず)、おかしいぞ。熊もっと探せだと? おととい来きやがれ」(静岡/熊本
 「おっとっと、利口じゃねえな、おめえって奴は、底抜けの間抜けだ」(鳥取
 「べらぼうめ。旅の安全祈願のついでに、イチかわバチかの大勝負と、おみくじを引いたのさ」(石川
 「それがどうした」
 「聞いて驚け、見て驚け。遠山の金さんなら『背中の桜吹雪が見えねえか』と啖呵をきる場面だ」(富山
 といいつつ、喜多さん、手に握りしめたおみくじを見せましたな。
 「ふん、いつも貧乏くじばっかり引いているてめえなんぞ、どうせ凶と決まってる」
 「なに抜かす。これを見やがれ、大吉だ。この際、たまたま運に恵まれ、得しましたとさ、チャンチャン」(埼玉/徳島
 「だったら、ケチがつかねえように、ふところの奥深くにしまっておけ。さあ、荷物を肩にかついだら、出発だ」
 「やけに重いな。あ、重りでも入れやがったか」(青森
 ――そんな珍妙なやり取りがあって、弥次さん・喜多さんの凸凹コンビは、あいにくの雨の中、日本橋を振り出しに今日という日の旅立ちと相成ったのでございます。(京都
 ところが、大磯を過ぎたあたりで喜多さんの足がつり、駕籠(かご)に乗る羽目になったものの、小田原で何とか 元に戻って、また歩き始めたのはよかったが、しばらく行くと、今度は大騒ぎでございます。
 「大吉のおみくじがない。さっきの駕籠だ、駕籠、しまった、置き忘れた」(鹿児島
 箱根にさしかかるあたりで、茶屋の娘が美しい声で呼び込みをしております。
 「そこの色男のお二人さん。幸先の良い福シューマイ、おひとつどうです」(福島
 喜多さん、大喜びだ。
 「色男だってよ。雨は一向に止まなし、腹もすいたぞ」(山梨
 「しかたねえ。ここらでちょいと一休みするか」(滋賀
 食事が運ばれてくるのを待つ間、弥次さん、ご自慢の南蛮渡来の望遠鏡を取り出しますてぇと、喜多さんに勧めましたな。
 「よく見えるだろう」(三重
 「市場(いちば)があるぞ。温泉まんじゅうを売っている」(千葉
 「見るのは、そっちじゃない、こっちだ」(高知
 「山がたくさんあるな」(山形
 「よくして見ィ、山羊(やぎ)がおるだろう」(佐賀/宮城
 「山羊はいねえが、山羊ヒゲを生やした人相の悪い奴らがこっちへやってくる。相撲取りのようなでかい腹、気になる。かお、加山雄三に似ている奴もいるぞ」(茨城/岡山
 弥次さんは、気もそぞろ。
 「あのゴロツキどもに目をつけられたと、大変だ。望遠鏡をしまわねえか。さっさと、ほかへ移動しようじゃねえか。」(島根/北海道
 三島に参りますてぇと、宿場には脂粉(しふん)の匂いが漂い、あっちの宿、こっちの宿から客引きの声。
 ご機嫌いかが、わら(笑)う女郎衆の甘い誘いの声がする。(香川
 弥次さんも喜多さんも、鼻の下が伸びっぱなしでございます。
 「おや、間口が広い店だな。見や、咲き誇っているじゃないか。いずれがアヤメ、カキツバタ。あの姐さん、器量ばつぐん、まいった、まいった。あいつに決めた」(山口/宮崎/群馬/愛知
 と弥次さんが相好を崩せば、喜多さんも負けじとばかりに、
 「おいらは、あっちの娘だ。いながの生まれにしちゃあ、上等だ。知恵、秘めた笑顔がとても美しい。アイラブユーと、ちぎり交わしてぇ」(長野/愛媛/栃木
 「目は確かか。あれはどうかな、蛾は蝶ではないぞ。醜女(しこめ)だ」(神奈川
 結局、三島は素通りし、それから幾十里。喜多さん、柄にもなく、芭蕉の家を見ようと言い出して、東海道を外れて寄り道し、明くる日に伊賀、発(た)ったとか。(新潟
 「おい。起きろ! いつまで寝てんだ。そろそろ起きな、わら(笑)えば福もやってくる」(沖縄
 喜多さん、体を揺さぶられて、はっと目を覚まし、
 「なんだ、夢か。てぇことは、おみくじも夢だったのか」
 「寝ぼけ面しやがって。さあ、もうすぐ出発だ!」
 というわけで、野次さん・喜多さんは、東海道五十三次の旅に出たのでありました。
 おあとがよろしいようで、これにておしまいでございます。

※1都1道2府43県
北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

(城島明彦)


2017/01/01

2017年初春、招福「日本全国・都道府県づくし」


日本全国47都道府県、新年明けましておめでとうございます!


 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

 料亭気楽こと城島明彦の「綴り方狂室」、2017年元旦の第一弾は――題して「日本全国・都道府県・股旅づくし」でございます。


 馥郁(ふくいく/福井)とした春風に誘われて、消えた親分探(佐賀)すため、長の(長野)旅に出たあっしは、しが(滋賀)ねえ渡り鳥取でござんす。
 願かけにお参りするのは寺が先か神社が先か?
 決まってるじゃねえか、お宮先(宮崎)だ。買えるものなら、福を買(福岡)いてえ。
 今日も今日と(京都)て、見栄(三重)張って、寄付(岐阜)はしたいが、田畑なしの山なし(山梨)で、金などあろうはずがねえ。

 あっという間に夏になり、文句いいたいのは山々、愚痴(山口)も出る。
 と、そこへやくざ風情の見知らぬ若者が、
 「そこ行く兄(あに)い、ガタ(新潟)が来てるぜ、足がふらふら。疲労しま(広島)すぜ、長旅は」
 「おおきな(沖縄)お世話だ」
 目が血走(千葉)って、相すまね(島根)え。
 いかがわ(香川)しいように見えるあっしでも、昔はお大尽(だいじん)だ。
 それが、おお、坂(大阪)道を転がるように、このざまなのさ。

 いつしか季節は秋になっていた。
 豪華な衣装の駕籠(かご)の姉妹(鹿児島)、男言葉で声をそろえて勧めるではないか。
 「旅は股づれ、余は情けない。弁当のホッキ貝、どう(北海道)かい?」
 てっきり頭狂(東京)と思ったが、武家というではないか。
 「エッ!? 姫(愛媛)!? そいつは、驚き、桃の木、山椒の木だ」
 思わずあっしが声を上げると、
 「それをいうなら(奈良)、驚き、桃の木、三種の神器であろう」
 と、いばる気(茨城)満々の姉妹の様子に、つい、
 「あっしも、すっかり老いた(大分)わい」
 と、ぼやきつつ、足元みると、財布じゃないか!?
 得した(徳島)、得した。ずっしり重いと疾(やま)(富山)しい気持ちにもなるが、
 「この金で、旅の無事を祝って(岩手)、雑煮食うなら菜が先(長崎)だ。今は秋たけなわ(秋田)で肌寒い。泡盛(青森)飲んで、景気づけといくか」
 と、馬鹿、山(和歌山)に登って店探しだ。
 あっち(愛知)の海方(うみかた)、開店中。こっち(高知)の山方(山形)も、開店中。どっち(栃木)がいいか、天神様のいう通り。
 親分探しをすっかり忘れ、静やか(静岡)な湖畔の森蔭で、食いも食ったり、飲みも飲んだり。
 どういう風の吹き回しか、「秋の七草、咲く間(ま)もっと(熊本)長かれ」と呟いたが、
 「なんだ、造花か。道理で花が咲いたまま(埼玉)だ」。
 そこへ便りがひょっこり(兵庫)届くが、くずし字の仮名がわ(神奈川)からねえ。やっと読めたと思ったら、
 「服しま(福島)い込む最中に、おっ母(かあ)、病(やまい/岡山)になって床に伏せった。医師、かわ(石川)いそうにと呟いた」
とあるではないか。
 おっ母の無事を祈ったその晩、軍馬(群馬)いななく夢を見た。

 季節は巡り、冬が来た。
 親分探しは諦めて、あっしは郷里(くに)へ帰ることにしたのでござんす。みやげ(宮城)は何がよいのやら。

(城島明彦)

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