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2017/01/01

2017年初春、招福「日本全国・都道府県づくし」


日本全国47都道府県、新年明けましておめでとうございます!


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 料亭気楽こと城島明彦の「綴り方狂室」、2017年元旦の第一弾は――題して「日本全国・都道府県・股旅づくし」でございます。


 馥郁(ふくいく/福井)とした春風に誘われて、消えた親分探(佐賀)すため、長の(長野)旅に出たあっしは、しが(滋賀)ねえ渡り鳥取でござんす。
 願かけにお参りするのは寺が先か神社が先か?
 決まってるじゃねえか、お宮先(宮崎)だ。買えるものなら、福を買(福岡)いてえ。
 今日も今日と(京都)て、見栄(三重)張って、寄付(岐阜)はしたいが、田畑なしの山なし(山梨)で、金などあろうはずがねえ。

 あっという間に夏になり、文句いいたいのは山々、愚痴(山口)も出る。
 と、そこへやくざ風情の見知らぬ若者が、
 「そこ行く兄(あに)い、ガタ(新潟)が来てるぜ、足がふらふら。疲労しま(広島)すぜ、長旅は」
 「おおきな(沖縄)お世話だ」
 目が血走(千葉)って、相すまね(島根)え。
 いかがわ(香川)しいように見えるあっしでも、昔はお大尽(だいじん)だ。
 それが、おお、坂(大阪)道を転がるように、このざまなのさ。

 いつしか季節は秋になっていた。
 豪華な衣装の駕籠(かご)の姉妹(鹿児島)、男言葉で声をそろえて勧めるではないか。
 「旅は股づれ、余は情けない。弁当のホッキ貝、どう(北海道)かい?」
 てっきり頭狂(東京)と思ったが、武家というではないか。
 「エッ!? 姫(愛媛)!? そいつは、驚き、桃の木、山椒の木だ」
 思わずあっしが声を上げると、
 「それをいうなら(奈良)、驚き、桃の木、三種の神器であろう」
 と、いばる気(茨城)満々の姉妹の様子に、つい、
 「あっしも、すっかり老いた(大分)わい」
 と、ぼやきつつ、足元みると、財布じゃないか!?
 得した(徳島)、得した。ずっしり重いと疾(やま)(富山)しい気持ちにもなるが、
 「この金で、旅の無事を祝って(岩手)、雑煮食うなら菜が先(長崎)だ。今は秋たけなわ(秋田)で肌寒い。泡盛(青森)飲んで、景気づけといくか」
 と、馬鹿、山(和歌山)に登って店探しだ。
 あっち(愛知)の海方(うみかた)、開店中。こっち(高知)の山方(山形)も、開店中。どっち(栃木)がいいか、天神様のいう通り。
 親分探しをすっかり忘れ、静やか(静岡)な湖畔の森蔭で、食いも食ったり、飲みも飲んだり。
 どういう風の吹き回しか、「秋の七草、咲く間(ま)もっと(熊本)長かれ」と呟いたが、
 「なんだ、造花か。道理で花が咲いたまま(埼玉)だ」。
 そこへ便りがひょっこり(兵庫)届くが、くずし字の仮名がわ(神奈川)からねえ。やっと読めたと思ったら、
 「服しま(福島)い込む最中に、おっ母(かあ)、病(やまい/岡山)になって床に伏せった。医師、かわ(石川)いそうにと呟いた」
とあるではないか。
 おっ母の無事を祈ったその晩、軍馬(群馬)いななく夢を見た。

 季節は巡り、冬が来た。
 親分探しは諦めて、あっしは郷里(くに)へ帰ることにしたのでござんす。みやげ(宮城)は何がよいのやら。

(城島明彦)

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