島崎藤村の「千曲川旅情の歌」が頭をかすめる今日この頃
今日もまた、かくてありけり
秋が深まっているというのに、Tシャツ一枚でいたら、風邪をひいて熱を出してしまった。
ベッドに寝転がっていると、島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の詩が頭をかすめた。
「千曲川旅情の歌」は、私が高校生だった頃は、二年の国語の確か冒頭に出てきた記憶がある。
〝カバ〟というあだ名の教師が、顔に似合わず、歌うような口調で朗々と語ったのが印象的だった。
「千曲川旅情の歌」で、誰もが一度は耳のしたことがある有名な詩なので、暗記している人も多いのではなかろうか。
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
綠なすはこべは萌えず
若草も藉(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺
日に溶けて淡雪流る
その教師は、私の父も教わったので、かなり爺さんだったが、父が高校生(旧制高校)だった頃は〝地蔵さん〟というあだ名だったそうだ。
私がベッドの中で思い浮かべたのは、これではなく、二番の詩の冒頭の一節だ。
昨日(きのう)またかくてありけり
今日もまたかくてありなむ
この命なにをあくせく
明日(あす)をのみ思ひわづらふ
まさにこの心境なのであります。あゝ 無情! いや、無常というべきか。
(城島明彦)
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