« 頭のエンジンがかかりにくいときには、「連想ゲーム」や「ダジャレ」が効く | トップページ | 霜月(11月)に初雪で、頭に浮かんだのは「白い想い出」の歌詞 »

2016/11/20

島崎藤村の「千曲川旅情の歌」が頭をかすめる今日この頃


今日もまた、かくてありけり

 秋が深まっているというのに、Tシャツ一枚でいたら、風邪をひいて熱を出してしまった。
 ベッドに寝転がっていると、島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の詩が頭をかすめた。

 「千曲川旅情の歌」は、私が高校生だった頃は、二年の国語の確か冒頭に出てきた記憶がある。
〝カバ〟というあだ名の教師が、顔に似合わず、歌うような口調で朗々と語ったのが印象的だった。
 
 「千曲川旅情の歌」で、誰もが一度は耳のしたことがある有名な詩なので、暗記している人も多いのではなかろうか。

  小諸なる古城のほとり
  雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
  綠なすはこべは萌えず
  若草も藉(し)くによしなし
  しろがねの衾(ふすま)の岡辺
  日に溶けて淡雪流る

 その教師は、私の父も教わったので、かなり爺さんだったが、父が高校生(旧制高校)だった頃は〝地蔵さん〟というあだ名だったそうだ。

 私がベッドの中で思い浮かべたのは、これではなく、二番の詩の冒頭の一節だ。

  昨日(きのう)またかくてありけり
  今日もまたかくてありなむ
  この命なにをあくせく
  明日(あす)をのみ思ひわづらふ

 まさにこの心境なのであります。あゝ 無情! いや、無常というべきか。

(城島明彦)

« 頭のエンジンがかかりにくいときには、「連想ゲーム」や「ダジャレ」が効く | トップページ | 霜月(11月)に初雪で、頭に浮かんだのは「白い想い出」の歌詞 »