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2016/10/06

のめり込めない「真田丸」の9策、あの手この手でPRした割には視聴率イマイチ


技巧が目立つ分、リアリティに欠ける

 「NHK大河ドラマ『真田丸』は好評」「三谷幸喜の脚本が巧み」という説をNHKは流し続けてきたが、私は感覚的に好きになれず、だんだん見なくなった。
こんなことは、ここ数年で初めてだ。

 ドラマとしてはよくできており、スポーツ紙なども例年と違って好意的な記事を書いているところが多いが、ぐいぐい引き込まれる感じがなく、技巧派ドラマの印象が強い。

 「真田丸」の評価となる視聴率は、どうかというと、5年前の「江」レベルに戻っただけである。
現時点の平均視聴率では「江」の平均視聴率にまだ届いていない。

  2008年「篤姫」   24・4%
  2009年「天地人」  21・1%
  2010年「龍馬伝」  18・7%
  2012年「江」    17・7%
  2013年「平清盛」  12・0%
  2014年「八重の桜」 14・5%
  2015年「軍師官兵衛」15・8%
  2016年「真田丸」  17・1%(10/2の第39回までの平均)

 視聴率20%台を取った回数は、「江」が8回も記録しているのに対し、「真田丸」は1回(第2回)だけ。差は歴然としている。
 NHKが例年のような調子でPRしていたら、もっと低い数字になったはずだ。

 4年前の「平清盛」がひどすぎて、これで信用をなくし、大河を見なくなった人が増えた。
 ドラマでも、商品でも、歌手や俳優でも、一度離散してしまった人気を取り戻すのは大変。
 そこでNHKは、「真田丸」の視聴率を稼ぐためにシャカリキになって、ありとあらゆるテコ入れ策を講じたのだ。


いかにもくさ~い! NHK大河の「9策」(=苦策)

 NHKは、以下のような9つの「視聴率アップ作戦」を実行したものの、結果は思ったほどではなく、溺れる方の〝アップアップ〟状態となった。

 ①国民的人気の高い悲運の武将真田幸村(信繁)を主人公に

 真田幸村は天下統一できなかった戦国武将で、武田信玄、伊達政宗と並んで人気が高い。

 ②知名度の高い三谷幸喜を脚本家に起用

 映画監督・舞台監督としても知名度の高い三谷幸喜の力を頼った。

 ③主役に、民放の連続ドラマ「半沢直樹」で高視聴率を稼ぎ、堺雅人を起用

 堺雅人の好感度を頼った。

 ④CMに出ている人気俳優を多数起用

 CMに起用されている俳優の人気に便乗、〝おんぶにだっこ〟で視聴率に結びつけようとした。
  長澤まさみ(きり) (カルピス)
  遠藤憲一(上杉景勝) (チョコボールなど多数)
  吉田羊(昌之の正室) (トヨタホームなど多数)
  木村佳乃(信繁の姉) (キリンビールなど)
  黒木華(信繁の側室) (サントリービール、資生堂など)
  松岡茉優(信繁の正室) (アクエリアス、NTT東日本など多数) 等々

 長澤まさみが演じる「きり」という女性は、真田幸村の側室をモデルにしているが、あっちへもこっちへも顔を突っ込む。
 歴史を捻じ曲げ、時代の証言者のように仕立てるのはNHKお得意のやり方だが、いくらドラマと銘打っているとはいえ、やりすぎで、「史実に基づいているほかの場面まで虚構か」と疑わせてしまうマイナス効果を生んでいる。

⑤話題づくりを狙った俳優を起用

 スケベ男も取り込もうと、橋本マナミを細川ガラシャ役に起用した。 
 だが、細川ガラシャが清純派の美女でクリスチャンなのに対し、橋本マナミは〝愛人にしたい女№1〟。
 真逆のイメージで、あざとく話題づくりをしようとした。

⑥朝の帯番組を司会する人気の女子アナをナレーターに起用

 折に触れて、「真田丸」の話題に触れさせただけでなく、社員なので製作費も安くできた。

⑦番宣(番組宣伝)をとことん増やした

 番宣は例年やっていることだが、「真田丸」では、これまでの何倍もの番宣をやって、視聴者の関心をあおった。
 例年より多くNHKの別の番組にゲストで出演させたり、真田関係の特番を組んだりしたので、「また真田丸の出演者か」「また真田丸人気をあおるための番組か」という印象も残った。

⑧あざとい「ナレ死」演出で、話題づくりにシャカリキになった

 戦闘場面はNHK大河の売りの一つだったが、そういう場面は極力省き、話題づくりと予算削減狙いを兼ねて実際に死ぬ場面を映さず、ナレーションで「○○は死んだ」として片づける横着な「ナレ死」を連続させた。

⑨朝の顔である局アナの有働由美子をナレーターに起用、彼女が司会する朝の情報番組との相乗効果を狙った

 彼女が司会する「あさイチ」は月~金の朝8:15~9:45。彼女の人気を利用して、日曜夜の大河ドラマを見させようとした魂胆が見え見え。


 これだけやっても、8月以降(8/7~10/2)のビデオリサーチによる関東地区視聴率(%)は、そこそこ。
 17・3→15・8→18・0→13・2(最低)→15・0→16・5→17・3→15・7→16・6

(自己PR)

 Photo_4 Photo_2 _cover  Photo_3 (全文現代語訳 城島明彦/致知出版社) ※写真はクリックすると拡大できます

(城島明彦)
 

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