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2016/08/27

「高畑裕太は成人だから、親は関係ない」という意見は通らない


どう関わったかで「親の責任」は異なる

 高畑裕太の事件が最初に報道されたとき、「彼は成人だから、母親である高畑淳子は責任を負う必要はない」とテレビで発言していたコメンテーターが何人かいたが、これは明らかに間違い。
 ミソもクソも一緒にした乱暴な意見である。

 事件が報道されると、花王は、高畑淳子を起用したCMを即放送しなくなったが、これは、子→親というイメージから商品イメージ・企業イメージが悪くなることを阻止するためで、そういう連想を働かせるのが世間一般である。

 金鳥の「虫コナーズ」では長澤まさみと親子役の設定で共演しており、こちらも流れなくなった。これなど、CMの親子イメージから「裕太」をストレートに連想されてしまう。NHK大河ドラマで共演している二人に便乗した安易な企画には、この手の落とし穴が待っていることがあるという教訓だ。

 CMの例が示しているのは、いくら成人でも、世の中は親子を切り離しては考えないのだ

 裕太の場合、〝親の七光り〟でテレビに出、親子であることも売りにしてきたイメージが強いので、成人であっても、親は一蓮托生と見られる。

 今回の事件でテレビ番組を取り直すなどする必要に迫られたことから、テレビ局に甚大な金銭的被害を与え、それを弁済する必要があるという報道もなされているが、裕太本人に支払う能力がなければ、所属の芸能プロダクションや親が弁済するしかない。


テレビ局は〝隠れた加害者〟だ! 責任も大きい

 責任の一端はテレビ局にもある
 有名女優の息子だというだけで、いろいろな番組に起用した安易さという点での責任、そして本人を増長させた意味での責任だ。
 角度を変えてみると、「加害者の一端を担っている」という見方もできる。

 二世タレントは、本人に実力がなければ、やがて消えていくが、当初は珍しがられ、テレビ局はそれを利用して視聴率を稼ごうとする。
 そういう思惑があって起用したのだから、損害が生じても、「局は単なる被害者」とはいいきれない。〝広義の意味で加害者〟である。


親の七光りをどう利用したかが問題

 高橋英樹と高橋真麻は、父と娘の理想的な形として視聴者は観ている。
 彼女は元フジテレビのアナウンサーだが、高橋英樹の娘でなかったら、独力で入社できたかどうか。親のおかげで超難関を突破しているのだから、成人であっても、親は大きな責任を負う。

 宍戸錠と宍戸開は、本人たちは親子であることを隠してはいないが、それを売り物にしてきたわけではない。しかし、何か問題が起きれば、名前は出るし、コメントを求められれば、拒むのではなく、親として謝るのが世間の常識。

 先日亡くなった高島忠夫・寿美花代の息子の政宏・政伸の兄弟は、家族でテレビに出るなどしてきた。この2人は、実力のある役者に成長したが、両親の七光りを利用してデビューしているから、何か問題が起きると、寿美花代は無関係というわけにはいかない。

 要するに、親が「保証人」のような形で関わっていたら、この犯罪に親も連座せざるを得ない

 その点、高畑淳子の謝罪会見は立派だった。
 事件発覚と同時に彼女に向けられたのは、「好奇の目」であり、「親の教育・親の監督」といった視点での批判だったが、彼女はそれらを客観的に眺め、自身の責任をすべてわかっているような発言を繰り返しただけでなく、親子の情についても遠慮がちに触れた。
 
 母親にとっては考えたくもない「強姦致傷」という事件を犯した息子に対し、「自分が被害者を娘と考える、なかなかできることではない。その点、世間の感覚とずれていない。その分、同情が集まることになる。


事件の裏に「テレビ局・CM企業の倫理感覚の欠如」あり

 芸能界内部、つまり芸能人の男女間では、強姦やそれに類似した事件は珍しくないが、女性側が泣き寝入りすることがほとんどだ。話したとしても、水沢アキのように、何十年もたって恥も外聞もなくなった年齢になってから、「森本レオに強姦された」というたぐいだ。

 しかし、今回の事件は、人気上昇中の二世タレントで、被害者が一般人、それも宿泊していたホテルの従業員となると、いくら成人とはいえ、親は無関係とはいえない。

 今の時代、企業の倫理感覚がゆるんでいるせいか、たとえば吉田羊のようなセックススキャンダルが発覚した俳優やタレントが出ているCMを、その後も平気で流し続けたり、新たにCMに起用する企業が増えている。
 そういう倫理感覚も、高畑裕太の心得違いを生んだ大きな一因になっているのではないか。

 一方、テレビの前の世間一般の視聴者は、事件や問題を起こした俳優やタレントの顔をドラマやCMで見るたびに、その事件のことが頭をよぎるのである。企業イメージにマイナスになることはあっても、決してプラスに働くことはないのだ。

(城島明彦)

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