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2016/08/23

懐かしの東映映画「少年探偵団」シリーズ6作を60年ぶりに観た!


夏休みが来ると思い出す昭和の「野外映画会」


 昭和30年代の前半、夏休みには全国各地の商店街や町内会の主催で野外映画会が催されたものだが、テレビの普及とともに姿を消した。
 当時、白黒テレビはすでに登場していたが、国民全体の生活レベルが低く、ごく一部の金持ちしか買っておらず、娯楽の王者は映画だったのだ。

 私は、父親の転勤で小学3年の夏休みに田舎から町の真ん中へ引っ越した。
 「少年探偵団」の映画をその年の夏休みに観たのか、その翌年の夏休みに観たのか、よく覚えていなかったが、調べてみると、第1作の「少年探偵団 第一部 妖怪博士」は1956(昭和30)年11月7日公開となっている。二部構成で、第2作に相当する「第二部 二十面相の悪魔」の公開が翌週の14日となっている。
 ということは、私が野外映画会で観たのは、翌年の夏休み。小学4年生の夏休みである。
 前年公開された映画の16ミリ版を町内会で借りて上映したようだ。
 第一部だけでなく、第二部もやったのではないか。このへんの記憶もあいまいだが、友だちもいっぱいできて、毎日が楽しかった夏休みの一夜の出来事だったのだ。

 上映場所は、家から数十メートル先の米屋の前。
 米屋の戸に白い幕を張ってスクリーンとし、観客席は道路。子どもたちは米屋の前の道路にゴザや新聞紙を敷いて座り、年寄りは縁台などに座って観劇した。

 ♪ ぼ、ぼ、ぼくらは 少年探偵団
 の歌声が流れると、あとはスクリーンに夢中だった、あの頃。

 あゝ あれから60年――
 ♪ ぼ、ぼ、ボケたら 老年探偵団
 と歌いつつ、懐かしの映画をひとり観劇するオイラであった。あゝ、情けなや


ほとんど記憶していなかった

 
 何十年か前から「もう一度見たい」と思い続け、TSUTAYAで探したがレンタル用のものは見つからず、これを見るためだけに東映チャンネルに入る気にもなれず、ほとんどあきらめていたが、たまたまDMM動画にあることを知り、現在アップされている6作全部を観た次第。

 実際に観た感想はというと、思ったほど感激しなかったが、60年も前の映画にしては、よく撮れており、演出も上手だ。やはり、江戸川乱歩の原作がしっかりしているからだろう。
 原作を読み返してみると、子供向けに書かれてはいるが、江戸川乱歩の小説は、文章もうまいし、話の展開も巧みで、大人の私が読んでも感心する。

 野外映画会で見た第1作の「少年探偵団 第一部 妖怪博士」で、うっすらと覚えているのは、「明智小五郎が、怪人二十面相の屋敷で床を落とされ、地下室に閉じ込められた」といった程度だったが、今回、観なおしてみると、やはりそういう場面があったが、「これだった!」という確証は得られなかった。
 もっとも、当時の時代劇などでは、何かというと、どんでん返しの壁や床が落ちる仕掛けが出てくる筋書きの映画がワンサカあったから、どれがどれやらわからなくなってしまった可能性も高い。

 明智小五郎役の岡田英二、怪人二十面相役の南原伸二という名前は、そのときに覚えた。
 南原伸二は、その後、南原宏治と改名し、昭和の名脇役として大活躍したが、最初の名前が強く刻まれたせいで、改名後の名前にはなかなか馴染めなかった。
 その後、何人かの役者が怪人二十面相を演じたが、もっとも変装がうまかったのは南原だった。南原は2001年に没したが、当時ほとんどいなかった東大出の役者だとその映画会で誰かに教えられたことを今も覚えている。

 今回、DMMで観た「少年探偵団」シリーズは、前記2作と以下の4作。
 「カブト虫の妖気」「鉄塔の怪人」「第一部 二十面相の復讐」「第二部 夜光の魔人」
 東映で作られたこのシリーズは、全部で9作あるが、残る以下の3作はDMMにはないので、観られなかった。
 「透明怪人」「首なし男」「敵は原子力潜水艦」


明智小五郎の秘書マリ子を演じた中村雅子


 明智小五郎の美人秘書マリ子役は、最初が中原ひとみで、次が中村雅子。
 中村雅子は、昭和の演技派名女優の一人望月優子の妹。
 望月優子は、お涙頂戴の母親役を演じた「母物映画」では三益愛子と人気を二分した。

 中村雅子は、飛び切り美人というのではないが、目がぱっちりとしていて、今ならAKBあたりに入ったら、大島優子や前田敦子を超える人気を得そうな顔立ちだったが、「少年探偵団」で共演した22歳も年上の二代目怪人二十面相役加藤嘉(のち、「砂の器」で、じいさん役を熱演)の毒牙にかかって、なんと4人目の妻となった。とはいうものの、加藤嘉とは離婚せず、娘も生まれているので、蓼食う虫もすきずきというべきか。

 加藤嘉は、「怪人」ならぬ〝怪チン〟の持ち主なのかもしれない。かの名女優山田五十鈴(のちに女優初の文化勲章受章者)もこまして妻にしたが、3年で離婚している。

 中村雅子は演技力もあり、東映「米」(1957年3月公開/監督は名匠今井正)では農家の娘を熱演し、演技派の片鱗も感じさせた。この作品でも加藤嘉と共演しており、気を許してしまったであろうか。
 「米」には南原宏治や加藤より4つ年下の望月優子も出演し、望月はブルーリボン主演女優賞を受賞している。 この映画では、望月優子は中村雅子の母親役だった。
 それにしても、望月優子は、3人もの子持ちの加藤嘉とかわいい妹の結婚をよく許したものだ。

(城島明彦)

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