父の日のプレゼントに、健康書にして修養書の貝原益軒『養生訓』
うなずく個所の多さに驚いてしまう
江戸時代の学者貝原益軒が書いた健康書『養生訓』に関して、書名だけ知っている人は多いはずだが、実際に読んだ人は少ないだろう。
実際に読んでみると、「なるほど」「そのとおりだ」と共感したり、「これからは、自分もこのようにしないといけない」との教訓を得たりする個所が次々と出てきて、驚いてしまう。
若い人が読んでも感心するが、中年以降は読むと、胸に響き、高齢者となると、これはもう間違いなく「必読書」のたぐいに入るはずだ。
貝原益軒は、「やるべきことをきちんとやり、体を動かし、気を循環させること」が「養生の術」であるといい、「治療より予防を重視せよ」というなど、説得力がある。
説得力といえば、貝原益軒は85歳まで長生きし、虫歯が一本もなく、目も悪くなかったから、いっていることに信頼がおける。
拙訳『養生訓』(到知出版社)は350ページくらいあるが、その冒頭のほんの数ページだけでも、以下のような「いいこと」が書いてある。全体は推して知るべし。
◎「養生の道」の基本は、大きくいうと、内欲(喜怒哀楽など7つの感情)をこらえること。
◎長生きは、あらゆる幸福の根源。
◎心は「体の主人」、体は「心の下僕」。心が静かで穏やかなら、体は悠然としていられるし、苦しみと無縁の暮らしが楽しめる。
◎人生の真の楽しさを味わえるのは、五十歳以降。その年齢に達しないと、血気が安定しないのである。
◎体は、毎日少しずつ動かした方がよい。食後、室内・庭などを数百歩歩くだけでもよい。
◎人体は弱くてもろい。いつも「内敵」(飲食・好色・惰眠の3欲および7つの感情)と「外敵」(風・寒・暑・湿)に注意し、健康に配慮せよ。
◎不養生は、なしくずしの自殺行為と知れ。
「江戸時代の本だから、難しいことが書いてあるに違いない」と思って敬遠してきた〝食わず嫌い〟も多いはず。
過去にも現代語訳されているが、解釈が間違っていたり、日本語として十分にこなれていないなど、問題も多く、現在も発売されている講談社学術文庫などは最悪で、先に訳した松田道雄(医者から医事評論家に転じ、1970年代に活躍)の現代語訳をほとんどそのまま流用するなどデタラメである。
加えて、文章の専門家ではないから、しかたがないところもあるが、それにしても、両書とも、意味不明の文章が多出する。
そういうことなら自分がもっと読みやすく、わかりやすい現代語訳をするしかないと思い、難しい用語や人名・書名などには短い注もつけて、昨年、11月に現代語訳を出版した。
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