三菱自、スズキの燃費データ偽装で、国交省のメンツ丸つぶれ
倫理観が欠如したスズキ会長
過日、フォルクスワーゲンのデータ偽装事件が報じられたとき、ほとんどの日本人は、
「えっ、あのVWが!?」
と信じられない思いがし、
「日本のメーカーは、そういう馬鹿なことはしない」
と思ったものだったが、三菱自動車も同類だったと知って、
「まさか」
と驚いていたら、それに追い打ちをかけて今度はスズキだ。
スズキの会長は、数字の誤差が小さいから販売は継続すると開き直った。
泥棒しても金額が少ないから問題ないというに等しく、倫理観が血御しているとしか思えない。
日頃、コンプライアンスがどうのこうのと立派なことをいいながら、その裏では、何度かテストした中で一番いいデータを国交省に報告したり、カタログに載せていたというのだから、〝あきれカエルのほっかむり〟だ。
三菱自の会長兼CEOは、同社が2000年と2004年にやらかした不祥事を受けて、同じ三菱グループの三菱商事から送り込まれた逸材で、私が大学時代に在籍したゼミの2年後輩だが、風通しの悪すぎる三菱自の社風を一変させることはできなかったようだ。
彼の下の社長は6月の株主総会後の取締役会で退任するが、彼自身は日産傘下に入った後処理があるので、それが片付いてから引責辞任ということになる。
国交省の組織・体質に欠陥があるのではないか
三菱自、スズキの両社に共通するのは、国交省が定めた検査方法を無視し、自社独自にデータを出していた点だ。
東洋ゴムの耐震ゴムデータ偽装事件にしろ、三井不動産が販売した横浜の傾きマンション事件のときも、国交省のチェック体制が甘かったことに付け入った犯行であることが露見した。
三度も四度も似たようなことが続けば、国交省の定めた法規は〝ザルが多い〟ということになり、役人の質そのものが疑われるのみならず、組織的に致命的な欠陥があるのかとの疑念も生じる。
今回の三菱自の事件については、私は、月刊誌「広報会議」7月号(6月1日発売予定)に、「広報部の危機管理」という視点から書いたが、月刊誌なので締め切りが早く、最新情報を盛り込めない悩みもある。
広報部は、社内報等を通じて社員の「コンプライアンス意識」を高める役割も担っているが、果たして不祥事を抑止できる力はあるのかということをテーマにした。今回は連載の34回目になる。
(城島明彦)
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