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2016/04/29

相撲協会審判部の新幹部よ、よくやった! 白鵬・琴勇輝らに「土俵上の態度の悪さ」を注意!


力士の所作の乱れ=相撲協会のだらしなさ

 初めに断っておくけれど、大相撲に関することで、私はこれまでさんざん文句をいってきたが、今回は違う。声を大にして、審判部の幹部らの行動を褒めたい。
 
 デイリースポーツなどがすでに報じているが、去る26日に行われた「力士会」(十両以上の関取が出席)の会場を、相撲協会の二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)、藤島副部長(元大関武双山)、友綱副部長(元関脇魁輝)の3人が訪れ、「力士としてふさわしくない土俵上の所作」について注意をしたのだ。

 「力士会に審判部の親方が出席することは極めて異例」(日刊ゲンダイ)
 「異例の注意喚起を行った」(スポーツ報知)

 「春場所で乱れが目立った立ち合いや勝負後のダメ押しについて正常化を要求」(スポーツ報知)
 「横綱白鵬の危険な駄目押しをはじめとする所作、立ち合いの乱れを正すよう要望するとともに、起きた場合は厳しく罰する方針を伝えた。白鵬が夏場所(5月8日初日・両国国技館)で駄目押しをすれば、最悪1場所出場停止もあり得る」(デイリースポーツ)。

 この記事は、春場所8日目の豪風との取り組みで勝負がすでについているのに、白鵬がダメ押しをして土俵下に転落させ、そこに座っていた審判副部長(元逆鉾)に全治3か月の重傷を負わせることになった事件のことをいっている。
 白鵬は、その4日前には隠岐ノ海にも、おなじようにダメ押しをして土俵下に突き落としているから、常習性があると判断されたということだ。


相撲の立ち合いは「あ・うんの呼吸」

 「立ち合いをきれいにせよ。待ったはするな」
 という注意は、これまで幾度となく繰り返され、その都度、当初は守られたかにみえ、だが、次第にまた元のように「待った」が増えてきた。

 立ち合いの呼吸は「あ・うんの呼吸」である。
 勝負をする両者が、互いに相手の呼吸を読みつつ、気力がピークに達したときに立ち合えるように仕切りを重ねているのだから、「待った」などはあり得ないはずなのだ。

 「待った」は、相手の呼吸を読んでおらず、自分だけのリズムで突っかけるから起きる。
 しかし、力士も人間だから、ときには呼吸が合わなくなることもある。だが、横綱ともなれば、たとえ相手が先に立って不利な立ち合い状況になったとしても、よほどひどい場合を除いて、「待った」はせず、堂々と「受けて立つ」ことが求められる。

 横綱が、ほかの力士と異なるのは、そこだ。
 横綱を評価する尺度は、優勝回数や勝率だが、「待った」をよくしたり、立ち合いで変化を繰り返したりすれば、「横綱としての力量・品格・土俵上の態度」を疑われる。

 その点、白鵬はどうか。
 優勝回数も勝率もダントツのトップを独走し、見事の一言だが、いかんせん、土俵上の態度に問題がある。それも一つや二つではない。


審判に全治3か月の重傷を負わせた「ダメ押し」常習犯白鵬

 力士は、日頃からぶつかり稽古などを通じて、徹底的に体を鍛えてはいるが、土俵下に転落すれば、巨体がアダとなってケガにつながる危険性が高い。
 それでも、両者が組み合った状態などで勢い余って土俵から飛び出し、砂かぶりに座っている審判席や観客の上に転げ落ちる勝負は、何度もある。

 だから力士は、そのとき誰もケガをしないように、相手が土俵を割った瞬間、勝った力士は相手を抱き止めるようにする。それがルールである。

 ところが、白鵬は、先場所、勝負が付いているのに、抱きとめるどころか、だめ押しをして相手力士を土俵下に突き落とすということを二度もやった。

 その結果、砂かぶりにいた審判の一人が全治3か月という重傷を負ったのだ。

 勢い余って「ダメを押した」という言訳は、通用しない。
 普段の部屋での稽古や地方巡業での取り組みなどを通じて、「ダメは押さない」ようにすることが自然と体に染みついているからだ。

 それなのにダメを押すということは、相手の力士に対する「潜在的な悪意」があって、意図的にやったと受け取られる。横綱はそのような疑念すら持たれてはいけないのに、白鵬はそういう行為を繰り返しやってきた。
 
 相撲協会は、「待ったはするな」「ダメ押しはするな」と繰り返しいってきたが、注意した当初こそ、その数は減るものの、いつのまにか、元に戻ってきた。
 その程度のことでは、甘すぎたということだ。

 たとえば、同じ力士が一場所に3回「待った」をしたら、「厳重注意および罰金50万円」とか、5回待ったをしたら「出場停止」といったような厳罰を処せば、力士も真剣にならざるをえない。


白鵬の「ダメ押し」は、それ単独の問題ではない

 昨今の取り組みでやたら目につくのは、「張り差し」だ。
「張り差し」「張り手」は昔から使われてはいるが、今の時代ほど〝乱用〟されたことはない。

 白鵬は、この技を頻用している。
 堂々たる体躯の横綱が繰り返し、使う技ではない。
 学生相撲では「張り差し」「張り手」が禁じ手になっている理由を、よく考えないといけない。
 危険だからだ。
 
 白鵬は、「かち上げ」という立ち合い時の攻め技もよく使う。
 肘を「くの字」型にして、相手の胸板を突き上げる技だが、白鵬は意図的に「顎」に当たるように勝ちあげることが何度もあった。

 肘の骨が相手力士の下あごを直撃すれば、その衝撃力は半端ではない。
 一瞬にして意識が遠のき、その場に崩れ落ちることになる。
 そういう場面が過去に何度もあった。

 大相撲は、耳の上を意図的に張ったり、側頭部に衝撃を与えて軽い脳震とう状態に追い込んでまで勝負に勝とうとするような薄汚れたスポーツではない。

 問題は、力士の模範となるべき横綱白鵬が、〝プロレス技もどき〟を乱用しているということだ。


ケガ人が出る前に、脳震とうを起させる「張り差し」「かち上げ」は禁止せよ

 審判部は、次々と繰り返される「張り差し」を〝美しい立ち合い〟と見ているのか。
 観客は、力士たちが、ごく当然のように、「張り差し」を繰り返す姿を、決して歓迎していない。
 突き押しをするとか、ぶちかますとか、素早く相手の回しを取るとか、いろいろな立ち合い技があるではないか。

 「張り差し」は、立ち合い直後に体をかわしての「はたき込み」と同じく、決して褒められる手ではない。
 相手の勢いを止めるという大義名分などをとってつけたところで、顔を張られて気分がいい人間などいない。横綱や大関陣が頻繁に用いているが、どの力士も嫌がっている。

 張り手は本来、「奇襲」だが、これだけ頻用されると、「奇襲」でも何でもない。
 同じ奇襲の「けたぐり」と比べたら、ゲス手だ。
 今のように誰も彼もがやる風潮がおかしい。

 髷(まげ)を掴んだり、髷の中に手を突っ込んだりすることは、かつては滅多にないことだったが、近年では時々あるようになった。

 私がいいたいのは、前述した一つひとつの出来事は、それ単独の問題として存在しているのではなく、どこかで互いにつながっているということだ。
 新しい審判部には、そのことを知ってほしい。

 白鵬については、いくつもの問題点がある。その点も単独ではなく、連関していると考えないといけない。

 白鵬は「張り差し」が十八番(おはこ)のようになっていたり、横綱らしからぬ「猫だまし」を一度ならず用いた。せこい勝負である。

 そのせこさは、先場所の千秋楽に象徴される。しばらく優勝から遠ざかっていたために、優勝したしたさに、立ち合いざま、ひょいと体をかわして日馬富士が土俵の外に飛び出し、多くの観客が怒って表彰式前に席を立った。

 「張り差し」や「あご狙いのかちあげ」などは、こうしたせこさと表裏一体の関係にあるのだ。


琴バウアーも問題なしとはいえない

 相撲協会の審判部幹部は、土俵上で奇声を発し、相手力士の顔面で手を打つ琴勇輝に対しても厳重注意した。
 
 なぜ今まで放置されてきたのか、不思議だ。

 琴奨菊の〝琴バウアー〟にしても、引退した角界のロボコップ〟高見盛のパフォーマンス同様、観客は喜んでいるが、従来の感覚からすれば異質だ。
 従来は、制限時間いっぱいを告げられたときに、「さあ、やるぞ」と気合を入れるために、自身の顔面を叩くとか、胸を叩くとか、尻を叩くとか、塩を口に含むといったのが一般的だった。
 その意味では、〝琴バウアー〟に違和感がなくはない。

 高見盛の動作を初めて目にした解説者北の富士が、NHKの中継で口にした「なんですか、これは」のコメントを私は今もよく覚えている。
 私も同じように思ったものだった。


白鵬の懸賞金受け取り方についても注意すべし

 白鵬は、もう一つ、神聖な土俵を汚す行為を続けているが、相撲協会が、やめるように注意したという話は聞かない。
 白鵬は分厚い懸賞金の束を掲げると、「ノ」の字を描くようなガッツポーズをしてきた。
 こんな見苦しい所作はない。
 相撲協会は、どう考えているのか。
 二所ノ関審判部長、藤島副部長、友綱副部長の3人には、懸賞金でのガッツポーズは、神聖な土俵を汚す〝下品で恥ずべき行為〟なのだから、こういう動作もやめさせてもらいたい

 何のために、手刀をきって、押し頂くようにして懸賞金をもらうのか。
 その意味を、横綱ともあろうものが理解できていない。
 横綱は、相撲が強いだけでなく、土俵上の態度も立派で堂々とし、力士としての人格力士の鑑(かがみ)となる偉大な存在でなければならない。

 白鵬に横綱としての自覚があるなら、ここに指摘したような横綱にあるまじき行為の数々を慎むべきである。

 
(城島明彦)

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