茶々は〝色情狂〟!? 視聴者を小バカにした不快なNHK大河「真田丸」(第16回「表裏」)
コミカル狙いの演出? ふざけるにもほどがある
4月24日放送の第16回「表裏」もそうだったが、視聴者を小バカにしているのか、脚本・演出ともにふざけた場面が多すぎる。
その回以前にも、そういう場面がよくあった。
たとえば、戦が始まっているのに、真田昌幸は、のんびりと囲碁を打っている。
家臣が生きるか死ぬかの戦いをしている最中の重大な局面で、のんびりと囲碁に興じる昌幸という場面が幾度も出てくる。
絵面(えづら)として、あるいは話としては面白いと思ってそうしたのだろうが、いかにも現実離れしている。
長澤まさみ演じる跳ねっ返り娘は、言葉づかいが今風で、しかも行動も軽すぎ、とても時代劇とは思えず、見ていて白けてしまう。
もっと別の、戦国時代にふさわしい跳ねっ返り娘の演出方法があるのではないか。
従来の大河ドラマファンとは別の若い層の獲得を狙っているのかもしれないが、それにしても、視聴者を小バカにしている。
独自の解釈のつもりなのだろうが、史実として認められている事件・出来事を面白くするために、登場人物に突拍子もない会話をさせたり、とんでもない行動に走らせたりするという手口は本末転倒で、脚本家の魂胆が見え隠れして不愉快になり、途中でチャンネルを変えることもしばしばだ。
NHK大河ドラマに重厚さを求める視聴者は、ついていけないのではないか。
千姫の〝色情狂伝説〟を茶々に重ねたのか?
竹内結子演じる秀吉の側室茶々(淀君/織田信長の妹お市の方の娘)は、「真田丸」では、天真爛漫な性格でイケメンとみると接近するという色情狂に仕立てられている。
女好きで、若い美人が好みの秀吉は、権力にものをいわせて、いろんな女とナニしたが、どうしても跡継ぎの男の子ができなかった。側室との間に一人生まれたが、早世。
女児は一人生まれたが、それ以外に子はできなかった。
それなのに、50代半ばになって、茶々との間に二児が生まれた。最初の子はすぐに死に、次の子が秀頼である。今の50代と違い、完全なじいさまだ。
秀頼は、秀吉の子ではなく、茶々の陰謀で別の男の子種だという異説は、その当時から囁かれていたことではあるが、もしそうだとしても、茶々がさまざまな男をかどわかしていたということにはならない。
話をねつ造してまで、ドラマを面白くして視聴率を上げようとするところまでNHKは落ちたのか。
秀頼は、家康の孫娘千姫と結婚する。
大阪城が落城するとき、茶々と秀頼はともに自害するが、千姫は助け出され、やがて、男漁(あさ)りをする好色女という噂を立てられる。そういうことがあったのは歴史的事実だが、千姫が本当に次々と男漁りをしたかどうかは不明である。
NHK大河「真田丸」で描かれている茶々は、その千姫の行状を彷彿させる。
主人公に、重要な歴史的出来事や事件の密談場面を立ち聞きさせるという、NHKお得意の演出も、相変わらず繰り返され、もっと頭を使えと毒づきたくなってもくる。
ついでに記すと、「真田丸」の後、午後9時から放送された江戸時代の異色の天才画家「伊藤若冲(じゃくちゅう)」の特集は、興味深い内容だったが、ど素人のような語りのナレーションが聞くにたえず、気分が悪くなった。
大河ドラマに演出にしろ、若冲の演出にしろ、NHKは「新しさを狙った」つもりでいるのかもしれないが、視聴者を不快にさせてどうするのか。
(城島明彦)
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