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2016/02/18

NHK「真田丸」は視聴者をなめている! なぜ重厚なドラマにしないのか?


コミカルな演出は朝ドラだけで十分

 ここ何年か、NHKと大河ドラマファンの間には、大きな溝が生じている。

 NHKの制作陣は、(上から目線で)
 「どうだ! 面白いだろう!」
 と思っているようだが、その狙いは完全に空回りしている。

 「真田丸」では軌道修正してくるかと思ったが、案に相違して、依然として視聴者をなめている。
 第1話から第6話までで、記憶に残るような感動的なドラマはなかった。

 同じNHKの「ファミリーヒストリー」はノンフィクションではあるが、見ていると胸がじんと熱くなり、気がつくと涙をこぼしていることがしばしばある。
 文句なしに、いい番組だ。そう思っている視聴者は多いはずだ。

 しかし、近年の大河ドラマでは、そういう感動的な場面にお目にかかったことがない。

 特に「真田丸」は、放送前の視聴者の期待が大きかっただけに、失望も大きい。 
 視聴率の推移をみれば、そのことがわかる。
(「平清盛」は低視聴率過ぎて話にならないので、「平清盛」以前の「江」と比較。「真田丸」で起死回生を狙ったNHKの意気込みを考えるなら、少なくとも「江」の視聴率を超えるのが使命だが……)

  真田丸   VS    江        江との差
 第1回(1/10)19・9% 21・7%(1/9)   -1・8%
 第2回(1/17)20・1% 22・1%(1/16)  -2・0%
 第3回(1/24)18・3% 22・6%(1/23)  -4・3%
 第4回(1/31)17・8% 21・5%(1/30)  -3・7%
 第5回(2/7) 19・0%  22・0%(2/6)  -3・0%
 第6話(2/14)16・9% 19・6%(2/13)  -2・7%  ※ビデオリサーチ調べ・関東地区の視聴率

 「真田丸」の女性陣の描き方は、いかにも軽すぎて、ドラマの質を落としている。
 (第6話では、真田信繁(幸村)の姉・村松(むらまつ。ドラマでは「まつ」となっている)が追っ手に迫られ、崖から海へ身を投じる場面があったが、この人は60歳ぐらいまで生きたとされているので、「死んだと思っていたら、実は生きていた」というクサイ演出なのか)

 軽い大河ドラマを見たいと思っている視聴者は、いるにしても少数派だ。
 大多数の視聴者は、NHKならではの重厚な大河ドラマを期待している。
 NHKは、そういう要望をなぜネグレクトするのか。

 俳優や女優も、ファン層狙いなのか、「今、話題の」といった感じの人気者を起用し、これも軽さに拍車をかける要因となっている。


 (城島明彦)

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