NHK「真田丸」は視聴者をなめている! なぜ重厚なドラマにしないのか?
コミカルな演出は朝ドラだけで十分
ここ何年か、NHKと大河ドラマファンの間には、大きな溝が生じている。
NHKの制作陣は、(上から目線で)
「どうだ! 面白いだろう!」
と思っているようだが、その狙いは完全に空回りしている。
「真田丸」では軌道修正してくるかと思ったが、案に相違して、依然として視聴者をなめている。
第1話から第6話までで、記憶に残るような感動的なドラマはなかった。
同じNHKの「ファミリーヒストリー」はノンフィクションではあるが、見ていると胸がじんと熱くなり、気がつくと涙をこぼしていることがしばしばある。
文句なしに、いい番組だ。そう思っている視聴者は多いはずだ。
しかし、近年の大河ドラマでは、そういう感動的な場面にお目にかかったことがない。
特に「真田丸」は、放送前の視聴者の期待が大きかっただけに、失望も大きい。
視聴率の推移をみれば、そのことがわかる。
(「平清盛」は低視聴率過ぎて話にならないので、「平清盛」以前の「江」と比較。「真田丸」で起死回生を狙ったNHKの意気込みを考えるなら、少なくとも「江」の視聴率を超えるのが使命だが……)
真田丸 VS 江 江との差
第1回(1/10)19・9% 21・7%(1/9) -1・8%
第2回(1/17)20・1% 22・1%(1/16) -2・0%
第3回(1/24)18・3% 22・6%(1/23) -4・3%
第4回(1/31)17・8% 21・5%(1/30) -3・7%
第5回(2/7) 19・0% 22・0%(2/6) -3・0%
第6話(2/14)16・9% 19・6%(2/13) -2・7% ※ビデオリサーチ調べ・関東地区の視聴率
「真田丸」の女性陣の描き方は、いかにも軽すぎて、ドラマの質を落としている。
(第6話では、真田信繁(幸村)の姉・村松(むらまつ。ドラマでは「まつ」となっている)が追っ手に迫られ、崖から海へ身を投じる場面があったが、この人は60歳ぐらいまで生きたとされているので、「死んだと思っていたら、実は生きていた」というクサイ演出なのか)
軽い大河ドラマを見たいと思っている視聴者は、いるにしても少数派だ。
大多数の視聴者は、NHKならではの重厚な大河ドラマを期待している。
NHKは、そういう要望をなぜネグレクトするのか。
俳優や女優も、ファン層狙いなのか、「今、話題の」といった感じの人気者を起用し、これも軽さに拍車をかける要因となっている。
(城島明彦)
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