NHK大河「真田丸」(第1話~第5話)は、可もなく不可もなく
満を持し、鳴り物入りで登場させたNHKだったが……
テレビの連続ドラマはNHK大河ドラマしか見ていないが、これまで感想を述べずに今日まで来た。
それなりの理由があってのことだ。
2012年の「平清盛」があまりにもひどすぎ、無理に女性を主人公にした大河を隔年でやる無理などもかさなって、人気が落ち続けてきたことにNHKも危機感を覚えたようで、智謀の将・真田信繁(幸村)を主人公にした大河ドラマ「真田丸」を満を持して制作した。
①真田幸村は、大坂の陣で豊臣方について戦死した敗軍の将ではあるが、家康・秀吉・信長)、武田信玄、上杉謙信らと並んで、昔からよく知られ、国民的人気も高い。
②信繁役には視聴率№1俳優の堺雅人、脚本家には知名度の高い三谷幸喜を起用。
③ナレーターには、主婦層にも好感度の高い有働由美子を起用。
④そのほか、NHKドラマやバラエティ番組などに出て人気があると思える俳優や女優を多数起用。
⑤放送前の番組宣伝にも相当力を入れた。
いわば「鳴り物入り」で登場させたのである。
ならば、何回か見てから批評したほうがよいのではないかと考えたのだ。
可もなく不可もない、そこそこの視聴率
第1話から第5話まで見た私の感想を、ひとことでいうと、
「ドラマとしてのツボは心得ているが、期待したほどではなく、可もなく不可もない」
視聴者の多くは、私と似たり寄ったりの感想を持ったのではないか。つまり、「期待ほどではなかった」と感じているはずだ。
ビデオリサーチの関東地区の数字が、そのことを示している。
第1話が19・1%、そして第2話が20・0%になったといって騒ぐメディアもあったが、それは「平清盛」やそれに続く2013年の「八重の桜」、2014年の「軍師官兵衛絵」、2015年の「花燃ゆ」と比べてのことで、「平清盛」がメチャメチャにする前年の2011年放送の「江」は、もっと視聴率が高かったのだ。両者は主人公が男かという違いはあるが、放送日はたった1日違いである。
以下に「真田丸」と「江」の視聴率を比べてみる(カッコ内が「江」)
真田丸 VS 江
第1回(1/10)19・9% 21・7%(1/9)
第2回(1/17)20・1% 22・1%(1/16)
第3回(1/24)18・3% 22・6%(1/23)
第4回(1/31)17・8% 21・5%(1/30)
第5回(2/7) 19・0% 22・0%(2/6)
第6話(2/14)??? 19・6%(2/13)
三谷流ギャグを容認できない視聴者も多い
三谷流ギャグが端的に表れた場面があった。
真田昌幸が「富士山や浅間山が爆発しない限り、世の中が変わるようなことはない」といったようなセリフをいった直後に、浅間山が大噴火するのだ。
こういうギャグが受け入れられるかどうかで、視聴率の高低が決まってくるのではなかろうか。
女性の描き方が軽薄すぎる
真田信繁の祖母を除く真田家の女性は、何とも今風で、馬鹿っぽい。
一番ひどいのは、高畑淳子が演じる母だ。
その言動は、戦国乱世を生き抜く武将の妻とは思えない軽さだ。
こんなバカがいたのか。そう思わずにいられないのは私だけだろうか。
木村佳乃が扮する信繁の姉・まつ(村松)も、軽薄を地で行くような現代風の姫だ。
わがままで奔放、しかも小児的で、現実ばなれしており、「いったい、いつの時代の姫なのだ」といった違和感をかもしだしている。
のちに真田信繁の側室になる高梨内記(家臣)の娘きり(長澤まさみ)も、いかにも現代風。
吉田鋼太郎の信長がジジむさすぎた
信長は享年49。演じた吉田鋼太郎は60歳で、しかも老け顔。
信長の息子役は〝蛇顔〟で、気持ち悪い顔をしている。
家康を「小心者」「臆病者」としてデフォルメしすぎている
家康は、江戸時代は、「神君」「大御所様」「権現様」と崇め奉られた人物だったが、明治時代になると、それまでのうっぷんを晴らすかのように、家康をあしざまにいうものも多く出てきたが、それにしても、家康に対する三谷流ギャグは大げさすぎる。
救いは、勝頼の平岳大、昌幸の草刈正雄は好印象
勝頼と昌幸の話は、日を改めて触れたい。
今日のところは、これくらいで……。
(城島明彦)
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