「花燃ゆ」など時代考証無視! 視聴者をバカ扱いするNHK大河の〝誇張手法〞とは?
「燃えていない城を炎上させた」と時代考証担当(大学名誉教授)の証言
以前に読んだ小和田哲男静岡大名誉教授の『戦国大名と読書』(柏書房)をめくっていたら、その中にある「コラム」に、NHK大河ドラマのレベルの低さが指摘してあった。
日本史に詳しい人なら誰でも知っている小和田先生、
その先生のコラムの見出しは、「小谷(おだに)城は焼けていない」。
《二〇一一年のNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』は、私が時代考証を務めたが、同じ研究者仲間から、「時代考証をちゃんとやって下さい」という注文がきた。それは、浅井長政の居城小谷城を織田信長が攻めた時のシーンに関してであった。
信長の詳しい伝記『信長記』にも、信長が小谷城に火をかけたとは書かれていない。また、発掘調査でも焼けた痕跡は出ていないので、私の著書でも、「信長は小谷城には火をかけなかった」と書いている。
ところが、収録直前、NHKのディレクターから、「お市が三人の娘を連れて城を出る時、城の方を振り返る。そのとき、どこからも煙があがっていないと、見ている人が落城と思ってくれないので、少しだけでいいですから火をつけて下さい」と懇願され、「ちょっとだけですよ」と許可したところ、大々的に燃え上がるシーンに仕上がっていたのである。》
燃えていない城を大炎上させないと、ドラマが盛り上がらないから、火をつける。
NHKの大河ドラマは、こんなレベルだ。
「花燃ゆ」にしても、文が松下村塾生たちと頻繁に会話し、高杉晋作の臨終に立会ったり、奥に入れば入ったで、殿さまと直接対話したり、奥方などとに知恵を授けたりする。
どこにでもシャシャリ出ないと話が盛りあがらないのだろうが、ドラマとして面白ければ、何をしてもいいというわけではない。
燃えてもいない城を炎上させる手法が危険なのは、久坂玄瑞は禁門の変で死ななくてもよくなるし、殺された坂本龍馬は別人だったという話にしてもよくなってしまうからだ。
極端な話、「吉田松陰は女だった」でもいいわけだ。
史実は史実としてきちんと押さえ、それでも不明なところは、歴史的な資料に基づいて「おそらくこうであったろう」と推理した上でドラマづくりをしないと、〝SF〞大河ドラマになってしまう。
視聴者は、NHK大河ドラマにそういう演出を望んではいない。
だから、視聴率が伸びないのだ。
(城島明彦)
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