高杉晋作の未完の辞世。幻の下の句とは!?
もののふの道と吉田松陰の「至誠」
「花燃ゆ」の再放送(9月12日)を見た。
高杉晋作が死ぬ場面があった。
おもしろき こともなき世を おもしろく
高杉の未完の辞世の句とされているが、粋な高杉は、都々逸の歌詞でもつくるつもりで、遊び心を込めて、この一句を詠んだのではないか。
志半ばで若くして結核で死んでいった高杉晋作。
この句は、彼の未完の人生を象徴している感があって、いい句だと思えるのに、高杉をかくまったこともある勤皇の尼僧で歌人でもある野村望東尼が、下の句を書き加えるという余計なことをした。
おもしろき こともなき世を おもしろく
住みなすものは 心なりけり
なんとも分別くさく、おもしろくない和歌になってしまった。
まじめな感じにするのであれば、私ならこうする。
おもしろき こともなき世を おもしろく
われ生きめやも もののふの道
「生きめやも」は、熱い願望を込めた「生きたいな」という意味である。
あるいは、恩師・吉田松陰の座右の銘「至誠」を入れるなら、
おもしろき こともなき世を おもしろく
生きてし止まん 至誠つくして
「生きてし止まん」は「徹底的に生きてやる」という意味だ。
戦時中の「討ちてし止まん」と同じ使い方である。
(城島明彦)
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