〝花燃ゆ尽き症候群〞まん延――最低視聴率更新(9・3%)は、異説オンパレードが原因か
嘘八百で、秋風が吹き始めた「花燃ゆ」
井上真央主演の「花燃ゆ」は、あることないことを超えて、ないことないことをテンコ盛りにした大河ドラマだが、彼女扮する主人公(旧姓吉田文→久坂文→久坂美和→楫取美和)が、激動の幕末維新史にあたかも直接関わったかのような描き方をして多くの大河ファンを失望させている。
その思いが9月6日放送の視聴率に表れた(ビデオリサーチの関東地区9・3%は、放送開始以来最低だった8月23日放送の9・6%を更新)。
しからば、久坂美和で少し遊んでみることにいたしまするゆえ、おつきあいくだされ。
美和づくし
○美和といえば、高田美和? ん? 高田浩吉の娘? 元大映の女優? ヒット曲「17歳は一度だけ」? 身長160センチ、大映入社1962年、1960年代の人? う~ん、古かァ、古すぎる。古川ロッパじゃあ~りませんか。
○いけませんなァ、美和といえば、浅尾美和じゃあ~りませんか。
そう、〝ビーチバレーの妖精〞? よせやい、もはや過去形だい。妖精、や~い、今、どうしてルン婆?
○ちょとまてください、ちょい待ち月。
♪宵待ち草の やるせなさ。
美和といえば、三輪明宏じゃなかった、ドリカムの吉田美和でございます。
彼女、1964年の東京五輪大会の翌年生まれなのに、まだ現役バリバリ。
バリハイ(ミュージカル→映画になった「南太平洋」の劇中歌)でございます。
Bali Haiに乾杯? バリ杯?
「はい」といえば「イエス」、そうです、私がへんなおじさんです。
♪ハイサイおじさん、(トットトット)、ハイサイおじさん……
ん?
オー、ノー! オノ・ヨーコ。
バリといえば、バリー・ボンズでござんショー・タイム。
バリー・ボンズは、「大リーグ史上最多本塁打王」(通産762本)でございます。
父の名はボビー。
ボビーといっても、ボビー・オレゴンではございません。ボビー・ボンズは、五回も30本塁打30盗塁をやっているので、のろくはない! 晋作は俊足だ。高杉俊足?
ボンズといえば、明石家さんまでございましょう。
♪ポン酢醤油は、キッコーマン、キッコーマン
ネタを明かしや、明石家さんま~メンは横浜名物。
○脱線、脱線、また脱線。
「脱線は、これ以上、出せん、だっせえから」とオヤジギャグ。
何の話でしたかな? そうそう、「美和」でございます。
○身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも
留置(とどめ)おかまし 大和魂 (吉田松陰 辞世)
○美和といえば、「花燃ゆ」。
文あらため、奥づとめを致しております美和でございます。
吉田松陰の妹でございます。
光陰矢の如し、松陰不死のの如し。
死せる孔明、生ける仲達(ちゅうたつ)を走らし、死せる松陰、美和を使いに走らす。
「たとえ、美和、この美和(身は)尽き果てても、日本の行く末を空の彼方からお守り申し上げます。焼酎をのみながら、四季折々に、しょっちゅう、お見舞い申し上げます」
といって、詠みし歌一首。
○美和たとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬ友
帯留めおくれ 大和撫子 (美和 痴世)
○松陰の妹・文は、長州藩士・久坂玄瑞の妻となりましたが、松陰の遺志に突き動かされて血気にはやり、幕府軍と戦って大怪我をし、禁門の変のときに自刃してしまいましたとさ。はあ、ポックンポックン。
「禁門の変。なんかヘン? オー・ヘンリー! 『最後の一葉』は短編小説の傑作でございますよ」と、樋口一葉がいうわけナイチンゲール。
○う~っ、長すぎる。フランク永井のトランク長いっ! 前説がクソ長すぎた。
「花燃ゆ」の話でございした、奥様。
○吉田美和、じゃなかった、久坂美和。久坂玄瑞の未亡人なので、美和は今は久坂美和でございました。
美和は、長州藩の奥づとめをいたしましたとさ。
NHKは、彼女の資料がないのをよいことに、あることないこと、いや、ないことないこと、たくみに仰山、物語にしております。
それはそれは、奥様、何ちゅうか、「愛の水中花」ちゅうか、松坂慶子扮する〝そうせい侯〞の正室やら、田中麗奈扮する姫君やらの長州藩の奥の様子は、ドラマとしては、それはそれで面白いけれど、いかんせん、「見てきたような嘘をつき」という印象はぬぐいきれないのでございます。
数々の歴史的な出来事で、美和があたかも主要な役割を果たしたかのごとく、描いているのでございます。
どことなく、ドラマが空々しく、「う~ん、そこまでやるか」という感じなんですな。
「異説! 幕末維新物語」
というようなサブタイトルが必要なのでは!?
そういう思いが強くなり、最近の拙者は、「花燃ゆ」を見ても、感情移入しづらくなっているのでございます。
そう、〝花燃ゆ尽き症候群〞になってしまったのでございます。
皆々様におかれましては、いかがでございましょうや。
(城島明彦)
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