お盆とくれば、幽霊、もののけ、妖怪、そしてバケモノの子……
お盆とくれば、坊(ぼん)さんの稼ぎどき
ゴホンとくれば、龍角散は昔の話。
平成27年の今、ゴホンとくれば、又吉先生のご本であります。
日本の津々浦々で開かれている花火大会を尻目に、早々と200万部の超ベストセラーの『火花』でございます。
♪盆がまたきた 今年の盆の (橋幸夫の「木曽ぶし三度笠」)
というわけで、
お盆とくれば、幽霊話は江戸・明治・大正の話。
昭和の初期は、お盆といえば、煙草盆でございました。
続く昭和の中期に、お盆といえば、漫才師おぼん・こぼんもおりましたなあ。
それが昭和の後期ともなりますと、お盆といえば貞子でありました。
ブラウン管からお化けが出てきたのでございます。
しかし、平成の時代は、液晶テレビがそのブラウン管に取って代わったから、貞子はたまりません。
おおきな体をひそめる場所がなくなってしまいました。
おまけに、ビデオテープがDVDに取って代わられて、侵入不可となってしまいました。
そして平成27年の今、お盆といえば、「バケモノの子」などというアッと驚くストレートすぎるネーミングでございます。
幽霊といえば、風にゆらゆら揺れる柳の下といった風情など、どこ吹く風。
♪格子戸を くぐり抜け
見上げる 夕焼けの空に
と、これは、柳は柳でも小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」の一節でしたな。
「もののけ姫」という名称には日本語の妙がありましたが、これも今は昔。
「物の怪」と書いて「もののけ」、妖艶の「妖」と「怪しい」の「怪」で「妖怪」。
どちらも、日本語の美しさがございました。
ところが、平成27年のお盆は、「バケモノ」でございます。
「おばけ」にはどこなく愛嬌が感じられますが、「バケモノ」は露骨であります。
「このバケモノめが!」でございます。
「おばけ」の親戚は、「大化け」「大場家」ではありませんが、「化ける」のはキツネやタヌキで、こちらもどこかコミカルでありながら神秘的なニュアンスが感じられたのでありますなあ。
しかし、「バケモノ」とカタカナで示されると、フランケンシュタインやらドラキュラのような西洋風のイメージでございます。
時代とともに、怪奇の世界も変わってまいったのですなあ。
ところが、時代は変われど、お盆とくれば、坊(ぼん)さんの稼ぎどきであることは変わっておりませんな。
坊さんのお盆のスケジュールのことを、ケーシー高峰風にいうと、「ボン・ジュール」。
坊さんのお盆のスケジュールはぎっしり。
透明性が売り物のスケ(透け)ジュール。
ところ変わって、おふらんすにもお盆がやってまいります。
これがほんとの「ボン・クール」(bon cœur/直訳すると「良い心」)。
(城島明彦)
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