連休にDVDを借りて、立て続けに12本見たら疲れた
個人的に面白かった順に並べると――
①「テルマエロマネⅡ」 (2014年東宝映画/監督武内英樹/阿部寛、上戸彩)……奇想天外のばかばかしさに徹し、大笑いする大傑作。演出が秀逸。
②「獣(けもの)の戯れ」 (1961年大映映画/監督富本壮吉/若尾文子、井上孝夫、河津清三郎)……前に見ているのに、うっかり借りてしまい、3度目の鑑賞と相成ったが、若尾文子は何度見ても秀逸。女の業の深さを演じさせたら、この人の右に出る女優はいない。三島由紀夫の同名小説がしっかりしているからか、映画もよくできている。カメラワーク、演出力ともに上級。
③「警察日記」 (1955年日活映画/監督久松静児/森繁久弥、三国連太郎、三島雅夫、宍戸錠……会津磐梯山のふもとの猪苗代にある警察署の警官らの心温まる話。俳優座に入って3年目の20代前半の岩崎加根子が初々しい。豊頬手術前の宍戸錠の顔は、息子の宍戸開とそっくりだ。30年ぶりにまた見たが、いい映画。
④「あした来る人」 (1955年日活映画/監督川島雄三/月丘夢路、新珠三千代、三橋達也)……60年も前の映画なのに、まったく時代を感じさせない斬新な演出。よくできた映画で二度見た。原作(井上靖)がしっかりし、脚本(菊島隆三)もよくできている。鬼才川島雄三の力量のすごさがわかる作品
⑤「プラダを着た悪魔」 (2006年20世紀FOX/監督デヴィッド・フランケル/メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ)……カリスマ編集長を演じるメリル・ストリープのすっぴん顔の場面があるが、そのときの目の大きさの2倍以上ある〝巨眼女優〞アン・ハサウェイが、どんどんファッションに垢抜けていくところが面白い。
⑥「サラリーマン忠臣蔵」 (1960年東宝映画/監督杉江敏男/森繁久弥、池辺良、三船敏郎、司葉子らオールスターキャスト……ばかばかしいが、笠原良三の脚本がよくできていて面白い。
⑦「コッポラの胡蝶の夢」 (2007年CKエンタテインメント/監督フランシス・コッポラ/ティム・ロス)……幻想文学(ミルチャ。エリアーデ原作『若さなき若さ』)の映画化だが、面白いのか面白くないのか、よくわからないとしかいいようがない中途半端な映画。
⑧「アビエイター」 (2004年ミラマックス/監督マーティン・スコセッシ/レオナルド・ディカプリオ)……伝説の大富豪ハワード・ヒューズの伝記映画。アカデミー賞の監督賞を取ったが、けれん味が強すぎる演出に少々へきえき。キャサリン・ヘプバーン、エヴァ・ガードナーら、彼と関係のあった有名女優も実名で出てくる。
⑨「ひとり狼」 (大映映画/監督池広一夫/市川雷蔵、小川真由美)……雷蔵の股旅物。さすが、凄い役者と感じ入るが、演出がイマイチ。長門勇が助っ人役だが、キャラクター設定に説得力を欠く。村上元三の原作があるが、これもイマイチ。
⑩「多羅尾伴内」 (1977年東映映画/監督/元祖多羅尾伴内は片岡千恵蔵で、千恵蔵の映画は古い安売りDVDを買って2本見たが、これは小林旭が主演で変装する。小林旭の変装と変えた声が面白い娯楽作品。
⑪「大忠臣蔵」 (1957年松竹映画(監督大曽根辰夫/市川猿之助、高田浩吉)……歌舞伎座を持つ松竹として、歌舞伎を意識した異色の忠臣蔵を狙ったのは悪くないが、「お軽・勘平」にウェイトを置き過ぎて四十七士の話が中途半端でB級になってしまった。
⑫「夕陽の丘」 (1964年日活映画/監督松尾昭典/石原裕次郎、浅丘ルリ子)……主題歌が大ヒットしたが、映画は退屈で最低、C級以下。
(城島明彦)
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