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2015/04/01

「花燃ゆ」視聴率が〝大河ドラマ視聴率ワースト1〞になる日


吉田松陰の凄さが出ていない

 私は吉田松陰が好きだ。
 彼のことを書いた本(『吉田松陰「留魂録」』)も昨年9月に上梓している。

 松陰の凄いところはいっぱいある。
 ①松下村塾で塾生の個性を重視した教え方に徹し、後に「維新の元勲」と呼ばれる人物を何人も輩出したところ。
 ②「至誠」を身上として、純真な生き方を貫いたところ。
 ③最初は単なる「攘夷」に傾いていたが、黒船襲来以降、アメリカのすごさを知って、「開国」へと考えを変え、自分の目で欧米を見てみようと国禁を犯して黒船に乗り込んで密航しようとした先見性にすぐれたところ。
 ④誰もが平等と説くなど人間として立派だったところ。
 ⑤恐怖政治の犠牲となって、わずか30歳(数え)で死んでしまったところ。
 ⑥恐るべき読書量だったところ。
 ⑦文章で人の気持ちを動かしたところ。等々

 だから、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」には期待した。

 ところが、放送が開始される前に流れた予告編を見て、自分が思っているような内容ではないらしいと感じて、視聴者に支持されないのではないかと思った。
 ほとんどの人が知らない松陰の妹文(ふみ)という人物を主人公にしたからだ。

 ドラマでは、松陰が言葉でぺらぺらしゃべるだけで、上っ面だけのような描かれ方をしている点が不満だ。

 
文も小田村伊之助も全国区でないところが弱点
 
 文と同志社の創立者である新島襄の妻だった八重との決定的な違いは、八重が自ら銃を取って官軍と戦ったのに対し、文は、極論すれば、〝維新の魁〞(さきがけ)となって散っていった久坂玄瑞と結婚して未亡人になり、姉が死んだため、その夫だった小田村伊之助(のち楫取素彦に改名)と再婚したというだけの人生。

 幕末の志士の妻で、彼女よりはるかに波乱万丈の生涯をたどった女性は、ほかに何人もいるのだ。

 小田村伊之助にしても、初代群馬県令(知事)ではあるが、残念ながら、映画とかドラマで主役を張れるような〝華のあるような人物〞ではなく、まじめで地味な人物。

 坂本龍馬、高杉晋作、西郷隆盛、勝海舟、伊藤博文らが全国区の人間なら、小田村伊之助は地方区の人間だ。群馬県人には人気があっても、全国区の人気にはなりえないのである。
 そういったことも視聴率の足を引っぱる要因のひとつになっているはずだ。

 時代は違うが、黒田官兵衛も知名度の点では全国区である。官兵衛の視点から、信長・秀吉・家康を描いた点が興味を引いた。


文を主役に据えた点に無理がある

 文は幕末・明治という激動期を生きた女性ではあるが、文という女性を中心に据えて、幕末維新を描くには、かなり無理がある。

 配役や演出の仕方にも問題がある。
 誰でも知っている高杉晋作にしても、違和感がある。
 久坂玄瑞も、単なる短気な青年で、中身が薄っぺらい印象しか受けない。

 軽い演出を狙っているのかもしれないが、以下にも安っぽい印象しか残らない。
 昨年の「軍師官兵衛」は、正攻法の演出で魅せ、カメラワークもみごとだったが、「花燃ゆ」の方は、奇をてらっているように感じられてならない。
 
 正攻法で、きちんと描くべきではないのか。


フィギュアスケート世界選手権と重なっていたら視聴率は10%を切っていたかも

 3月29日の第13話の視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)は、当初12・4%と聞いていたが、そうではなく、11・7%だった。
 そのことを知って驚いた。

 もし、フジテレビが中継した「フィギュアスケート世界選手権」の優勝決定日が1日ずれて29日夜になっていたら、「花燃ゆ」の視聴率は10%台か、下手をすると10%を切っていたかもしれなかったからだ。NHKにとっては幸いしたが、それでも11・7%というのは情けない。
 2012年の大河ドラマ「平清盛」は、同じ第13話が放送日もほぼ同じ(4月1日放送)だったが、11・3%。
 わずかにそれを上回った点が救いといえばいえたが、
 「裏番組に人気のスポーツ中継が来れば、大河ドラマ史上最悪視聴率を記録するのは目に見えている」
 というと、いいすぎか!?

(城島明彦)

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