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2014/11/28

大学教授なら恥を知れ、斎藤孝! 人間わざを超える数の本を出すな!

読者を愚弄・冒とく! 〝ゴースト〞はやってもいいが、限度というものがあるぞ

 超多忙な斎藤孝の本が、次々と出る現象、おかしいと思わないか。

 明大教授の斎藤孝は、2004年に草思社から出た『声に出して読みたい日本語』(草思社)がベストセラーになって人気者になり、著書を連発するようになった。

 斎藤孝は、やさしそうな笑顔、人当たりのよさそうな話し方がテレビ受けし、みのもんた降板後の今年4月からTBSの朝の情報バラエティ番組「あさチャン」のレギュラー・キャスターに抜擢され、ウィークデーは連日、早朝からテレビ局通いだ。
 4月から始まった新番組への出演に慣れるのは大変で、それ以外にも「情報7days ニュースキャスター」のレギュラーもやっている。

 執筆どころではないはずなのに、くそ忙しくなった時期の6月に、新書や単行本が4冊もどっと出版された。
 「売らんかな」の出版社の商魂も凄いが、斎藤孝に、いつ、それだけの本を書く時間的余裕があったのか。
 教授会で何の話題にもならなかったのか。大学の授業を休講にして書いたのなら、停職・失職ものだ。

 人間の執筆能力には限界があり、スーパーマンでもない限り、1か月に4冊など不可能。別の月に書いたものがたまたま同じ月に出ただけにしても、毎日テレビに出始めた人間には不可能だ。
 普通でないことが行われていたのだ。
 学者であれば、それぐらいのことに気づかなければならない。


大学の講義をきちんとやっているのか

 以下は、今年(11月までに)発売された斎藤の著書だ。
 (アマゾンに載っているものだが、見落としている本もあるかもしれない)

◆斎藤孝 著書一覧(2014年11月末まで)

2月
 ◎ Kindle版『筋(すじ)を通せば道は開ける フランクリンに学ぶ人生の習慣』(PHP新書) (2/21) ¥602
3月
 ◎『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』(祥伝社新書)※共著 (3/3)
4月
 ◎『雑談力が上がる大事典---会話に困ったとき最初のひとことがスッと出てくる!』(4/18) (ダイヤモンド社)
5月
 ◎『これでカンペキ!マンガでおぼえる敬語』 (5/19) (岩崎書店)
6月
 ◎『最強の家訓 仕事と人生に効く言葉』(祥伝社新書)(6/2)
 ◎『すぐに使える! 頭がいい人の話し 方』(PHP新書) (6/14) ¥ 821
 ◎Kindle版『うまくいく人はいつも交渉上手』 (講談社+α文庫) 共著 (6/6)
 ◎『35歳のチェックリスト』(光文社新書)(6/17)
 ◎『頭が鋭くなる齋藤レッスン』 (6/25)
7月
 ◎『35歳からの勉強法』(日経ビジネス人文庫) (7/2)
 ◎『5日間で「自分の考え」をつくる本』(PHP研究所)(7/9)
 ◎ Kindle版『論語力』(ちくま新書)(7/12)
 ◎『余計な一言』(新潮新書)(7/17) ※
8月
 ◎『大人のための読書の全技術』(中経出版)(8/1)
 ◎『学校では教えてくれない日本語の授業』(PHP研究所) (8/23)
9月
 ◎Kindle版『「甘え」と日本人』(角川oneテーマ21)共著 (9/10)
 ◎Kindle版『上機嫌の作法』(角川oneテーマ21) (9/10)
 ◎Kindle版『結果を出す人の「やる気」の技術 “特訓”式モチベーション術 』(角川oneテーマ21)(9/10)
 ◎Kindle版『「頭がいい」とは、文脈力である。』(角川文庫)(9/10)
 ◎Kindle版『違和感のチカラ 最初の「あれ?」は案外正しい!』(角川oneテーマ21) (9/10)
 ◎『仏教 心を軽くする智慧」(日経新聞社)(9/11)
 ◎『「何から読めばいいか」がわかる全方位的読書案内』(ウェッジ)(9/20) ※
10月
 ◎ Kindle版『齋藤孝の30分散歩術』(実業之日本社) (10/17)
 ◎『斎藤ゼミ「才能」に気づく19の自己分析」(講談社)(10/22)
11月
 ◎『超訳 吉田松陰語録――運命を動かせ』(キノブックス)(11/26)

  ※印は後日追加(あまりに多いので見落としていた)


斎藤孝本乱発は「出版業界のレベルの低さ」を象徴

 斎藤孝本が乱発される裏には、顔が売れている斎藤孝の名前で出せば本が売れるという構造不況業種「出版界」の裏事情も絡んでいる。

 作曲家のゴーストライターがいたという事件があって、ゴーストライターという言葉がメディアにぎわせたが、出版業界ではゴーストライターは遠い昔から常識。
 しかし、流行語大賞にノミネートされるほどの目新しさなど、どこにもない。

 ゴーストライターが書いても、著者はそれに目を通し赤を入れるのが普通で、まったくノータッチということは特殊なケース以外、考えられない。その特殊ケースとして新聞種になったは、評論家の竹村健一。盗作騒ぎになったとき、「俺は読んでいなかった」と自著について語ったのだ。

 斎藤孝の場合は、大学教授で、しかも国語教育については第一人者のような立場にあり、さらに、忙しすぎる人間でありながら、人間の能力を超える分量の本を自著として世の中に送り出している。そこが問題なのだ。
 
 看板に偽りありの「商品偽装」の類いだ。
 歌とか映画ではありえないが、本ではありうる。それがゴーストだ。
 
 出版不況は年を追ってひどくなっており、大手出版社は対前年比売上減を毎年更新している状況下で、斎藤孝の知名度に便乗し、彼の本なら売れると安易に考えた出版社に一番問題があるが、そういう企画を軽く引き受けてきた斎藤孝の考えの甘さにも問題がある。

 「あの斎藤孝が書いた」と信じ込んで買う読者こそ、いい面の皮だ。
 本の場合は、助手がやった実験データを使ったり、助教授が書いた論文を教授が自分の名前で発表するのとは、わけが違う。
 看板に偽りあり。斎藤孝が書いたと信じて買った読者を愚弄している。
 斎藤孝には、「学者としての良心」が欠如している。

 たとえば、斎藤孝の講演会だから聞きに行くのであって、ほかの誰かが彼の仮面をかぶって物まねをして講演したら、それは「詐欺」である。
 出版物ではそれが目に見えないからやっているのであり、一種の「詐欺商法」である。

 斎藤孝は、詐欺まがいのことをやっているのだ。
 こういうことをやっていると、彼自身が全編執筆した本まで他人が書いたと思われ、そういうことに対する「倫理観」が欠落した人間ではないかと疑われる結果を招くことになる。
 自重すべきだ。


人間が書くスピードには限界がある

 昔、1か月に(400字詰め原稿用紙で)「800枚書いた」などと豪語した作家がいたが、その実体はといえば、セリフ多超多様、地の分も改行に次ぐ改行で、中身はスカスカというレベル。
 小説ならそういう芸当も可能だが、データとか資料を調べたり、誰かの引用などを用いたりすれば、そんなに早くはかけない。
 自分の書いた文章をきちんと推敲すれば、その分、時間もかかる。
 口述筆記を用いても、加筆作業に時間がかかるから、1か月で1冊あげるのはきつい。

 私の場合、睡眠時間を2~3時間に切り詰めて執筆に明け暮れたとしても、せいぜい1月半に1冊書き下ろせるかどうかだ。
 根をつめて、ハイスピードで執筆できたとしても、多くて年に5~6冊がMAXだ。それ以上やれば、中身はデタラメ。そう考えて間違いない。

 斎藤孝自身はどう考えているのか知らないが、外から見ると、アカデミックな大学の先生だということが頭から飛んでいる。明治大学にはこんないい加減な教授しかいないのかと思う人も多く、大学レベルをダウンさせる結果も招いている。
 私の出身校早稲田も、「スタップ細胞はあります」の女性のせいで、博士論文の審査レベルの低さ、審査教授たちの馬鹿さ加減を満天下に知られてしまった。

 (城島明彦)

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