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2014/10/05

御嶽山を「おたけさん」「みたけさん」と読んだのは、お粗末だった


「御嶽山」 あれこれ

 熱が出てダウンし、昼となく夜となく眠っていたが、熱が引いて夜中の中途半端な時間に目が覚めた。

 それにしても、突然の御嶽山噴火には驚いた。
 もっと驚いたのは、大勢の犠牲者が出たことだった。
 にもかかわらず、気象庁やら予知連やらは、冷淡で開き直ったような記者発表を行った。

 「御嶽山」を正しく読めないアナウンサーやキャスターがいたことにも驚いた。

 「みたけさん」(29日放送 フジテレビ「とくダネ!」のキャスター小倉智昭)
 「みたけ、おたけさん、みたけさんの噴火」(29日放送 NHK「正午のニュース」高瀬耕造アナ)

 東京の東急池上線に「御嶽山」という駅があり、「おんたけさん」と読む。
 東京の青梅市にある山は「御岳山」で、こちらは「みたけさん」である。

 小倉は東京暮らしが長く、高瀬は兵庫出身で大学は東京だから、それと混同したのか?

 それにしても、「おたけさん」はいかん! 名前がふざけすぎる。
 「オタケさん」は、昔、オームの鳴きまねをするときによく使われた言葉だ。
 念のために調べてみたが、「おたけやま」と読む山はあっても、「おたけさん」はない。

 高瀬はNHKに入局後、新潟支局に勤務しており、そこで知り合った女性と結婚している。
 もしかしたら、新潟にある山の読み方をしてしまったのではないか。
 好意的にそう考えて調べてみると、新潟県魚沼市に「おんたけさん」「みたけやま」と呼ぶ山が2つあったが、「おたけさん」などという〝ひょうきんな名前〞をつけた山は新潟にも全国にも1つもない!


「木曽節」の木曽の「なかのりさん」は山ではないのか?

 「木曽節」は、数多い民謡のなかでも比較的よく知られた部類の歌で、私が「木曽節」を知ったのは小学生の頃で、「おんたけさん」という名前は「木曽節」で知った。

 私が聞き知っている「木曽節」の歌詞は「バリエーション」で、「正調」ではない。
 私が覚えているのは2番の歌詞まで。

 ♪木曽のなあ なかのりさん
   木曽の御嶽山は なんじゃらほい
   夏でも寒い ヨイヨイヨイ
   ヨイヨイヨイのヨイヨイヨイ

 ♪あわせなあ なかのりさん
   あわせやりたや なんじゃらほい
   足袋そえて ヨイヨイヨイ
   ヨイヨイヨイのヨイヨイヨイ

 ※あわせは「袷」(裏地をつけた着物)で、山中が寒いことがわかる。

 「なかのりさん」「御嶽山」と続くので、「なかのりさん」という山もあるのかと思っていたが、そうではないらしい。
 どんな字を書くかといえば、「乗鞍岳」からの連想で、「中乗山」と書くのではないかと勝手に思っていたが、そうではないらしい。


「中乗りさん」に3節あり

 地元では、「中乗りさん」には3説あるといっている。

 木曽といえばヒノキ。ヒノキといえば木曽。
 木曽の山奥から切り出したヒノキの丸太を、いかだに組んで川下へ流した。
 いかだは3つで、先頭のいかだに乗る人を「舳(へ)乗り」、最後尾のいかだに乗る人を「艫(とも)乗り」、真ん中のいかだを操る人を
 「中乗り」
 といい、それだとする説。
 これが第1の説で、最も説得力があとされている。
 舳は「へさき」で「船首」、艫(とも)は「船尾」のことなので、3つのいかだは一心同体、一隻の船と見立てていたことがわかる。

 1960(昭和35)年に橋幸夫が歌ってヒットした「木曽ぶし三度笠」の詞を書いた佐伯孝夫は、この説を採り、「中乗り」ではなく「仲乗り」として「仲乗り新三(しんざ)」を登場させている。曲は名コンビの吉田正である。

 ♪やくざ渡世の 白無垢鉄火
   ほんにしがねえ 渡り鳥
   木曽の生まれよ 
   いつか水棹(みざお)を
   いつか水棹を長ドスに

 いかだを操る水棹を握っていた手に、いまでは長ドスを握るやくざになってしまった……実にうまい歌詞で、このあとに「木曽節」が入るが、その歌詞は、

 ♪夏でも寒い ヨイヨイヨイ
   ヨイヨイヨイのヨイヨイヨイ
 となっており、私が覚えていると同じだ。

 キャスターの小倉は私よりひとつ年下。
 この歌を知らないわけがないのに、読み間違えるとは、どういうわけか。

 第2の説は、馬の鞍の中央に乗った「人」をさすとする説。
 「正調 木曽節」の歌詞を読むと、この説も有力と思えてくる。
 第3の説は、山岳信仰に関係がある。御嶽山に宿る神のお告げを信者に伝える「中座」(なかざ)と呼ぶ人を指すとする説だが、これはちょっと無理がある。


新説「なかのりさん」 噴火して消えた幻の山か!?

 御嶽山の噴火活動は、詳しくわかっていない。
 「木曽節」に歌われた「木曽のなかのりさん」は、荒唐無稽かもしれないが、3説とは別の「伝説の中乗山」のことではないのかと私には思えてきた。
 はたして?

 (城島明彦)

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