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2014/10/04

「蒲柳の質」(ほりゅうのしつ)で、どれだけ時間を損したか

土手の柳は風まかせ

 どうもいけませんや、楽しいはずの土曜日も熱を出してダウンしちまった。
 眠っていても、熟睡できないのがつらく、頭のなかはラリパッパ状態。
 
 ♪ツーツーレロレロ ツーレーロ

 妙な音楽が鳴りっぱなしだ。
 なんで、こうなるの!?

 それにしても、毎年毎年、季節の変わり目になると、どうしてこうなるの!?
 若い頃からずっとそう。
 こういう情けない体質の人間を、昔の人は、
 「蒲柳の質」
 といったのですな。

 蒲柳とは「川端柳」(かわばたやなぎ)のことですな。

 ♪かわばた松ちゃん きゃあめぐろ おてもや~ん

 おっと、この歌詞は関係なかった。川端が共通しているだけですな。

 川端に生える柳は、
 葉っぱが細く、へらへらと風になびき、見るからに頼りなげだ。
 秋の声を聞いたとたん、葉を落とす。
 
 はっぱ よれよれ。

 そこで、
 「体が弱くて、すぐに病気になってしまう体質の人」
 を「蒲柳の質」といったのだが、平成の今じゃ、まず使わない。
 死語だ。死語硬直。
 彼女は、風邪とともに去りぬ。遺品はセリーヌ。

 She gone! 
 ああ、お寺で鐘がゴ~ン。
 車のなかで、カルロス・ゴ~ン。
 サッカー場では、中山ゴ~ン。頭を打った?
 
  
 つまり、「蒲柳」はもはや死語じゃによって、 
 「蒲柳」は、もう「保留」
 と、またまたダジャレを思い浮かべる自分が、われながら情けない。

 情けないといえば――ガマだ、ガマにも我慢の限界がある。

 さて、お立合い、取り出だしましたるこの逸品、そこんじょそこいらにある薬とはわけが違うよ。
 富士山麓にオーム鳴き、筑波山麓じゃあガマが泣く!
 ガマをば、四面に鏡を張った箱に入れますてぇと、
 ガマは、鏡に映ったわが身のあまりの醜さに、がまんできず、
 「おしっこ!」じゃない、
 全身から、たら~りたら~りと脂汗を流すのでございます。
 その脂(あぶら)を凝縮したものが、この蝦蟇(がま)の脂だ。

 そんな話がインドの聖典「ガーマスートラ」といっておりますぞ!? グラッチェ!

 なんのこっちゃ? ああ、情けなや。


粋人・高杉晋作の都々逸(どどいつ)

 ♪何をくよくよ 川端柳 水の流れを見て暮らす

 これは、高杉晋作がつくったとされる「都々逸」(どどいつ)。
 高杉晋作の都々逸では、

 ♪三千世界の 烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい
 
 の方がよく知られている。

 この都々逸をもじった歌謡曲が、昭和の中頃にヒットした。
 昭和31(1956)年頃の話で、そのとき私は10歳。
 歌うは、高田浩吉(たかだこうきち)。高田美和のお父さん。高田美和も、「あの人は今?」か。

 ♪何をくよくよ 川端柳
   のぉ 三四郎さん
   水の流れを 見て暮らす

 元歌に「のぉ、三四郎さん」を加えただけの、「花笠太鼓」という松竹映画の主題歌。
 ラジオから流れてくる歌を聞いて、「何をくよくよ」のフレーズを覚えてしまったのだ。

 高田浩吉は、この歌より20年も前に同じ柳をテーマにしたこんな歌を歌ってヒットさせていた。

 ♪土手の柳は 風まかせ
   好きなあの子は 口まかせ
   ええ しょんがいな

 この歌も、ついでにラジオで流れたものだから、小学生でありながら覚えてしまった。
 というわけで(?)、替え歌でございます。

 ♪童貞の柳は 風邪まかせ
   好きなあの子は 愚痴まかせ 
   ええ しょんがいな
  
 ※「愚痴まかせ」は、「口まかせ」にすると意味深になるので、お気をつけ遊ばせ


昭和は遠くなりにけり

 高田浩吉、遠藤幸吉、円谷幸吉と語呂合わせしても、いまの若い人たちにはピンとこないでしょうな。

 高田浩吉は、「股旅物」がよく似合った美声の映画俳優。
 遠藤幸吉は、力道山の時代のプロレスラー。
 円谷幸吉は、東京五輪のマラソンの銅メダリスト。

 なんのこっちゃ。

 (城島明彦)

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