〝日本映画史上初の乳頭露出者〞は、意外にも〝白戸家の犬のお母さん〞だった
美貌いまだ衰えない若尾文子
昨日(9月19日)のNHKテレビの「あさイチ」のゲストに女優の若尾文子が出ていた。
御年80というけれど、さすがに超A級女優。美しい顔立ちは変わりませんな。
年をとっても若い文子ですな。
彼女、若い頃は「幻の馬」に出たことがありますが、近年では、すっかり「ソフトバンクの白戸家の犬」のお母さんですな。
で、いまだ衰えぬその美貌に、思わず、
「ワンだふる」
と呟きそうになってしまいましたぞ。
このお方こそ、何を隠そう、ほんの一瞬ではあるが、日本映画史上で初めて乳頭を露出してした女優なのである。
うしろ姿ではありましたが、〝全裸第一号女優〞が新東宝の前田通子だったことは、比較的よく知られるようになりましたけれど、〝乳頭露出第一号〞が若尾文子だったことはほとんど知られていないのではないですかな。
前田通子の全裸から3年後の1960年8月9日に封切られた「安珍と清姫」で、市川雷蔵扮する安珍が清姫に扮した若尾文子の着物を肩からずりさげるようにして脱がしたときに、ほんの一瞬だが、彼女の小ぶりの乳頭と乳輪が映るのであります。
そのとき若尾文子は芳紀(ほうき)26歳。
露出の一件を知った若尾文子、思わずいったとかいわないとか。
「これじゃ、安珍(安心)して夜も眠れません」
いやらしい感じはまったくありませぬが、そういう映像が許されていない時代であり、しかも露出したのが「演技派ナンバーの美人女優」だったという点でギネス物ですぞ。
なにしろ、当時の映画界では、乳輪が見える前に「ハイ、カット!」の声がかかるのが常識でありましたから、まずそういう場面が映ることなどありえません。
「はずみ」で映ってしまったのでしょうかな。
映画の後半で、安珍がその場面を回想するシーンが出てくるのですが、そちらは胸が見えない別カットを使っておりましてな。
そういうカットがあるのなら、それと差し替えるべきだったけれど、そうしなかったのは、話題づくりを狙った監督(島耕二)の意図なのかと勘ぐりたくなりますが、島は遠い昔にあの世へ行ってしまったので、今では謎となっておりますぞ。
もし島監督が意図的にやったとしても、当時そういう話がマスコミに取り上げられることはなかったので、空振りということになりますか。
島は、明治生まれの元俳優で、「風の又三郎」とか「次郎物語」といったお堅い文芸物も撮っておりまして、意図的にそうした可能性は低いといえるかもしれませんな。
この映画は2009年にDVD化されておりますからして、見た人もいるはず。
DVDで見るときは、静止画像にしないとお宝は確認できませんぞ。
若尾文子が演じた清姫は、最後は大蛇になって恋しい安珍を追うという話だけに、こういう筋立てを
「乳頭蛇尾」
という、わけないか。
それにしても、
ちちよ、あなたは強かった。
はは、のんきだね。
(これで笑う人は、相当のじいさんだね)
う~む、我ながら、なんとも情けない話を書いてしまった。
(城島明彦)