« 「話題の人物」をお題にして、送夏「なぞかけ」でございます | トップページ | 錦織圭3-0で大負け――優勝と決めてかかったテレビ各局の〝こりないバカさ加減〞 »

2014/09/05

災害には予兆あり。デング熱は「人災」だ。


土砂災害の「くさい土の臭い」が意味するもの

 広島を襲った土砂災害がテレビで報道されたとき、
 罹災した何人もの人が、
 「くさい臭いがした」
 と証言しているのを聞いて、
 (どんな臭いなのか)
 と関心を持った。

 追々(おいおい)状況がわかるにつれて、
 「土の臭いだった」
 ということを知った。

 どんな臭さだったのかは体験者にしかわからないが、普通の土の臭いとは明らかに違っていたのだろう。

 その臭いで異常を察知し、間一髪、難を逃れた人もいた。
 それは、もしかすると、自然が人間に対して発する「悲鳴」であり、一種の「警告の合図」ではないのか。


天災には前兆がある

 「くさい土の臭い」で思ったのは、
 「大災害が起きる前の自然界には、普段と違う異変が生じる」
 ということだった。

 私が中学生の頃、「伊勢湾台風」という巨大な台風が中京地区を襲撃し、甚大な被害を与えたが、台風が接近した日の夕焼けの色がえらくどぎつかったのを、いまも覚えている。

 今夏、台風がらみの豪雨が関東地方を襲ったときも、やはり、夕焼けの色が普段と違っていた。
 黒澤明監督が好んだ色彩のように、どぎつく毒々しい美しさだった。

 阪神・淡路大震災のときも、普段と違うある種の異変が生じていたと多くの罹災者が語っていた。

 動物は人間より嗅覚などが発達している。
 ナマズを飼って地震研究している学者もいるくらいだ。
 動物は、自然界の前触れを敏感に感知し、群れを成して安全な方角へ逃げる。


自然破壊がもたらした日本のデング熱

 「代々木公園で蚊に刺され、デング熱になった」
 というニュースが流れたときも、最初は、
 「何かの間違いではないのか」
 と思ったが、地球温暖化がじわじわと進んで、日本の気候は、いつのまにか東南アジアの地域のようになり、昭和の頃とは一変してしまった。

 熊が村を遅い、鹿やイノシシが街中に出没する。
 オウムやインコなどが公園で大繁殖。
 妙な毒グモが増えたり、噛みつきガメがそのあたりの河川に姿を現したりする。
 野生動物に餌づけしたり、育てきれなくなったペットを勝手に野や川や湖に放った結果、人為的にまともな自然界でなくしてしまったのだ。

 異常な猛暑。
 猛暑なのに冬は豪雪。
 海流温度変化による魚の遊泳進路変化。
 深海魚の水面浮上 など。

 「デング熱をもたらす蚊が、代々木公園で繁殖し、人にデング熱を媒介した」
 などという話は、本来、小説とか映画の世界の出来事だ。
 しかし、いまの日本は、SF的な出来事がごく当たり前のように起こる環境になっている。

 何十年先という単位ではなく、おそらく何百年先の話になろうが、
 このまま高温が続けば、日本列島の蚊、ハエなどの昆虫は
 生息域をどんどん北方へと延ばしながら、しだいに巨大化していく。

 今回の「デング熱患者、続出事件」は、その延長線上にある。
 デング熱は、元をたどれば「人災」なのだ。


「乱開発」「乱獲」「自然破壊」「農薬」などがもたらした人災

 中国の自然破壊の度合い、公害の程度は、高度成長期の日本の比ではない。
 領土も広いが、人も多い。

 中国のスモッグは尋常ではない。
 中国のけた外れの乱開発、ブラジルの広大な森林の伐採……。
 使い捨て文化の横行。

 人間の限度を超えた欲望が、地球を異常なかたちに変えてしまった。

 巨大流星が落下して恐竜が絶滅したというような話は「天災」。
 しかし、今日、異様な集中豪雨や異常高温をもたらした過半の要因は、まぎれもなく「人災」だ。

 中国など、耕地の5分の1を毒性が残る土壌に変えてしまった。
 そういう国から食糧を大量に輸入してきた日本人の体は、知らず知らずのうちに、ある種の毒におかされている。
 しかし、すぐには表面化しない。
 じわじわと効いてくる。
 遺伝子に作用するものは100%ないとと言い切れるか。


青い変色肉をリフレッシュして儲ける〝おぞましさ〞

 先日、上海の食肉加工工場で腐った肉を、
 先端技術を駆使してリフレッシュさせ、巧妙にリサイクル化して、廃棄することなく使い回すという、〝おぞましすぎる製造現場〞のスクープ映像が繰り返し流れた。

 海外向けと国内向けは分けて製造しているということだが、わかったものか。
 牛肉も豚肉も、マグロのサシミだって、時間がたっても変色しないように工夫されているご時勢だ。
 
 日本のマクドナルドは、そういうことを平然とやってきた中国上海の食肉加工肉を2002年からその工場から輸入し、使ってきたのだ。

 12年間、一度も古い肉を使っていなかったという保証がどこにある。

 そういう怪しげなものと知らずに、マクドナルドというブランドを信じ、それに騙されて、日本人は食べ続けてきたのだ。
 (この話は、10月1日発売の「広報会議」に書いているので、興味のある方はご一読を。今月号は「ベネッセ事件」)

 「盲目的ブランド信仰」が日本を滅ぼす元凶の一つになっている。

 日本うなぎが絶滅危惧種に指定されるほど、食べつくしてしまう日本人の異常食欲。
 
 何がグルメだ。
 日本人は、浅ましい民族に成り果てた。

 それを煽っているのが、テレビ番組だ。

 朝から晩まで、NHKまで食べ物番組を流し続ける。
 そんな暇があったら、「食の安全」「食料が枯渇しない食べ方」「温暖化の阻止のしかた」といった、もっと頭を使った番組をつくれ。

 (城島明彦)
 

« 「話題の人物」をお題にして、送夏「なぞかけ」でございます | トップページ | 錦織圭3-0で大負け――優勝と決めてかかったテレビ各局の〝こりないバカさ加減〞 »