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2013/06/25

連ドラが面白くない時代になった。連ドラ最終回視聴率と前半最後の「八重の桜」(6月23日/第25回)の視聴率

「八重の桜」は不評なのか好評なのか!? 他の連ドラと視聴率で比較判断する

 現代人は忙しい。やることがいっぱいあって、連ドラを一回も見落とさずに毎回続けて見ることなど不可能に近い。

 DVDで録画してまで見たいと思わせる番組が何本あるというのか。
 
 テレビ局は、元を取るために番組が終わるとDVDにして販売したりレンタルにするから、
 「それを見ればいいや」
 と思う連中も増えている。

 そういう現実を知ると、スポンサーも考えざるを得ない。
 近年では1社による番組提供はほとんどなく、複数企業が番組を共同提供しているので、番組のなかでCMが流れても企業イメージに強い影響を与えるとは思えない。
 私も昔、ソニーの宣伝部にいてCM担当をしていた時期があるので、人ごとながらそういうことも気になる。


人気のスポーツは高視聴率

 度肝を抜いたのは、6月4日夜の「W杯最終予選 日本VS豪州戦」の38・6%だ。瞬間最高視聴率では46・3%で、
 「その時間にテレビを見ていた人の半分近くがサッカー中継を観た」
 という〝お化け視聴率〟を記録した。

 6月16日「コンフェデレーションカップ 日本VSブラジル戦」のテレビ中継は早朝の午前5時開始にもかかわらず、10・9%とフタケタ台を獲得した。

 6月20日「コンフェデレーションカップ 日本VSイタリア」の中継も、早朝ながら視聴率12・6%と健闘した。
 同時間帯に放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」は19・2%と、こちらは大健闘

 同日に中継された「キリンチャレンジサッカー2013 なでしこジャパンVSニュージーランド戦」(午後7時20分~中継)は14・3%とこれも大健闘である。
 
 プロ野球中継はというと、人気のあるサッカーと比べると、目に見えて人気が凋落している。
 最高視聴率がセパ交流戦の西武・巨人戦の13・7%というレベルだ。

 平成6年の「巨人・中日の10・8対決」(最終戦で勝った方が優勝)では視聴率48・8%というたいへんな高人気を呼んだが、それも今では遠い夢のまた夢。


連ドラの視聴率とはどれくらいなのか
 
 先週末から今週はじめにかけて、めぼしい連ドラ(全放送回数10~11回)がそろって最終回を迎え、それらの平均視聴率(以下はすべて、ビデオリサーチ調べ/関東地区)が判明した。

 それとは別に、NHK大河ドラマ「八重の桜」も全放送回数50回のうち、6月23日放送分でちょうど半分の第25回を終えた。
 「八重の桜」の視聴率は、12・9%(前回14・8%に比べ-1・9ポイント減)だった。
 民放であれば「そこそこ」といえるかもしれないが、NHKの国民的番組となると厳しい数字といわざるを得ない。
 曜日こそ違うが、その前日の「土曜ワイド劇場」の「おかしな刑事」は13.5%あるのだから、「八重の桜」の人気がいかに伸び悩んでいるかがわかる。

 民放各局の連ドラの最終回視聴率(最終回は、一般的に高くなる傾向がある)は、数字の高い順に並べると以下のようであった。

 「ガリレオ」 19.1%  これは主演福原雅治の個人的人気に負うところ大)
 「ラスト・シンデレラ」 17.8%  主演篠原涼子がCMで顔を売っている効果か?
 「家族ゲーム」 16.7%  30年も前に発表された原作がしっかりしているのと、以前映画化されたこともある作品に、人気アイドルグループ「嵐」の一員でニュースキャスターも務めるインテリ櫻井翔主演で視聴率を稼いだ。
 「空飛ぶ広報室」 15.3%  原作の人気と明るいCMキャラでも好感度のガッキー(新垣結衣)主演で視聴率も高かった。
 「35歳の高校生」 14.7%  〝体育会系女優〟米倉涼子のコスプレ的制服姿のセクシャルな魅力か?
 「雲の階段」 11.8%  渡辺淳一の原作がしっかりしているのと、「家政婦のミタ」の父親役で知名度が上がり、注目された主演長谷川博己の効果
 「潜入探偵トカゲ」 11.4% 好きと嫌いが極端に分かれそうな松田翔太主演では、こんなもの。
 「TAKE FIVE」 11.1% 唐澤寿明主演で、稲垣吾郎が共演していてこのレベルでは、スポンサーは納得できないだろう。

 こう見てくると、NHKの大河ドラマ「八重の桜」の人気がいかに振るわないかがよくわかる。
 NKHも研究してはいるのだろうが、本質的な欠点に気づいていないところに問題がある。
 いや気づいていると反論するかもしれないが、具体化していない限り、何も気づいていないのと同じである。


NHK大河ドラマの致命的欠陥

 NHKが気づいていない致命的・本質的欠点とは何かといえば、登場人物の多さである。
 これが「大河ドラマ不人気の第1の要因」であると私は考えている。

 登場人物の数が多すぎて、誰が誰なのか、よくわけがわからないドラマを面白いと思うはずがない。

 「大河ドラマ不人気の第2の要因」として考えられるのは、実在の人物に似たキャスティングをNHKが敢えて行わない点である。
 たとえば西郷隆盛。直木賞作家の津本陽作品に『巨眼の男 西郷隆盛』というのがあるが、西郷は眼も人並みはずれて大きかった。それが西郷の特徴の1つである。

 キヨソネが描いた西郷隆盛の肖像画は、本人ではなく、弟の西郷従道などを参考にして描いたと言い伝えられてきたが、西郷の奥さんもその絵に一応、目を通しているのだから、まったく違っているということはない。西郷は西田敏行のような体型が、多くの人の思い描く西郷の姿かたちに近い。
 その西田がさらに入念に特殊メイクをしてそっくりにすれば話題になるが、彼も年を食い過ぎてしまった。
 そういう思いきったことをやらない限り、視聴者は面白がらないだろう。

 大河ドラマで西郷隆盛を演じている吉川晃司がNHKの別の番組でゲスト出演し、「NHKから出演交渉を受けた際、自分は山口県出身なので、長州藩士である髙杉晋作か桂小五郎(木戸孝允)の役だろうと思っていたら、西郷隆盛と聞いて驚いた」といっていた。

 そう思うのは吉川晃司だけではない。国民の多くは、吉川晃司が西郷隆盛を演じることに違和感を抱いている。

 NHKのそうしたセンスとは、一体何なのか!?
 気をてらうだけで、キャスティングしたのか!?

 吉川は、その番組で「太る努力をした」といっていたが、その程度では超肥満型の西郷隆盛にはなり得ない。
 頬に含み綿をたっぷり入れるとか、特殊メイクで顔を太らせるとか、腹をもっと出っ張らせるとか工夫しようとすれば何とでもなるのに、それをしようとしない。
 
 八重は、「心の美人」であって、実際の容貌は決して美しくはなかったが、彼女のことはほとんど知られていないし、主役なので、美人の綾瀬はるかが演じても取り立てて違和感は受けないが、写真などでよく知られている人物ではそうはいかない。
 及川光博の桂小五郎にしろ、小堺一機の岩倉具視にしろ、妙な違和感を伴うキャスティングだ。

 特殊メイクをしたて本人に似せたそっくりさんが何人も出てくれば、見ていて楽しいし、話題にもなるはずだが、NHKのキャスティングは、多くの人々の脳裏にある姿と180度違っている。そこに大きな欠点があると、私は考えている。
 
 方言や格好だけいくら忠実に再現しても、顔かたちが本人とあまりにかけ隔てていれば、かえって違和感を生むことになる。

 NHKは、ドラマづくりに際し、史実を徹底的に調べまくり、時代考証に専門家を何人かつけて、正確を期す努力をしているが、いくらドラマだからといって、面相が180度違う俳優に演じさせたら、それ以外のところでどんなに時代考証を尽くしても意味がなくなってしまう。

 「大河ドラマ不人気の第3の要因」として考えられるのは、構成のマンネリ化にある

「八重の桜」はもっと思い切った構成を考えないとダメだ。
私が「八重の桜」のプロデューサーなら、時代を追った構成にはしない。
  
いきなり「会津戦争」で八重が鉄砲をぶっ放し、官軍を次々と倒すというところから始めるか、新島襄と出会って再婚するところから始め、それ以前の話は、回想的に扱う。
 
 これがベストかどうかは別にして、NHKも毎度毎度同じような展開をしていては飽きられる。
そういう危機感がNHKにはないのではないか。


偉そうなことをいうだけでは話にならない

 私のことを知らない人のために、昨年から6月までに執筆した書籍などを紹介しておきたい。

 ●昨年から今年にかけて私が執筆した単行本・ムックは、以下のとおり。
 現代語訳 伊藤左千夫『野菊の墓』(2012年9月/理論社)
 現代語訳 宮本武蔵『五輪書』(2012年12月/致知出版社)
 単行本 『広報がダメだから社長が謝罪会見をする!』(2012年12月/阪急コミュニケーションズ)
 ムック『世界の名家と大富豪』(2013年2月/徳間書店) 城島1人で執筆
 単行本 『ケアマネなら知っておきたい社会知識ナビ 第2版』(2013年5月/秀和システム)
 ムック『世界の大天才』(2013年6月/徳間書店) 城島1人で執筆
 ●上記以外に、昨年以来、共同執筆したもの
 ムック『坂本龍馬スペシャル 英雄待望論』(2012年7月/徳間書店) 全112ページ中60ページ執筆
 ムック『あっぱれ! 江戸の医術』(2012年8月/徳間書店) 前112ページ中35ページ執筆
 ムック『吉田松陰の夢 松下村塾の魂』(2012年10月/徳間書店) 104ページ中32ページを執筆
 週刊アサヒ芸能別冊(ムック)『日韓 知られざる紛争史の真実』(2012年12月・徳間書店) 104ページ中24ページ執筆
 
 ●連載中(月刊誌「広報会議」に「時事ニュースから読み解く、危機対応の本質」)

 興味のある方は、6月はじめに発売された下記の本をぜひお買い求めください、と最後はPRになってしまうところが、我ながら情けない。
 
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 「世界の大天才」(800円)

(城島明彦)

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