桜が散ったら、「八重の桜」の視聴率も散った(11・7%)
前回13・9%から4月7日(第14回「新しい日々へ」)は3%弱も下落
過日、昨年暮れに発売された拙著『広報がダメだから社長が謝罪会見をする!』を読んだという「広報会議」の編集者から半年間連載のご依頼があり、そちらの原稿を早く片づけないといけないのだが、季節の変わり目で気圧の変動が激しく、私は毎年、この時期は絶不調。
今年は特にひどい。
外を歩けば靴も鳴るが、耳も鳴る。
背中は痛い。
睡眠時間が乱れる……。
体のなかが春の嵐状態の今日この頃だ。
ほかの原稿執筆も、はかどらない。
NHKの大河ドラマも、「視聴率下落」という春の嵐に見舞われている。
新年度入りする4月は、正月から始まる大河ドラマの大事なターニングポイントだが、4月7日放送の第14回「新しい日々へ」の視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)は、前回の13・9%が今回は11・7%に下落した。
昨年の「平清盛」が、4月1週目に11・3%という低視聴率を記録し、以後、次第に人気が離散していったことを考えると、「八重の桜」も危ない。
よく体がだるくなり、微熱を出す。
「種の起源」を書いたダーウィンの話を読んでいたら、私と同じような症状があったと知り、一瞬、喜びそうになったが、向こうは天才、こちらは凡才。
突拍子もないアイデアが突然ひらめく点だけは似ている、と思った。
視聴率が伸びない理由
個人的には、「八重の桜」は音楽のつけ方以外は合格点であり、主演の綾瀬はるかも好感が持てるという理由で応援してあげたいが、いかんせん、全国的な支持は長期低落化の予兆を見せている。
登場人物の描き方もうまく、ドラマとしてもよくできているが、八重という女性の知名度の低さが影響しているのではないか。
大河ドラマでは、坂本龍馬ら時代の流れをつくった人物を主人公にして描いてきたが、「八重の桜」は時代に逆行した敗残者たちを描いており、どうしても暗くなりがちだ。
会津藩は、徳川家に忠勤を尽くした「守旧派」であり、「賊軍」であるというイメージはマイナス要素として働く。
坂本龍馬や勝海舟、西郷隆盛らのように、将軍を説いて政権を穏便に皇室に変状させるという道を選ぶこともできたはずだが、会津藩や藩主松平容保はそれができなかった愚者と見られることも、人気が盛り上がらない原因だろう。
昔は新選組の挙動を面白おかしくして描いた作品も受けたが、時代が変わり、今では受けなくなった。
そういう時代の傾向も、マイナス要因として働いている。
多くの日本人は、「維新の立役者」である坂本龍馬に好感はいだいても、彼を暗殺した人物に興味は感じても、その考え方や言動を受け入れることには抵抗をおぼえる。
会津藩の立場に立って歴史を描けば、龍馬暗殺者を描くのと似たような感情が人々の胸のうちをよぎることになる。
そういう日本国民の深層心理も「八重の桜」の人気を盛り上がらなくしているのではないか。
(城島明彦)
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