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2013/01/05

新年の初映画は恋愛物DVD4作。ペネロペ・クルスからカトリーヌ・ドヌーブまで。

        
恋愛物にも種類がある

 2013年のお正月は、くだらない番組を垂れ流しているテレビなど見ずに、TSUTAYAから借りてきた映画を見て暮らしたのでございます。

 元旦は西洋の王朝物を見たので、2~3日は恋愛物にしましたぞ。
 借りたDVDは4本。どれも面白かった。
面白かった順に並べると、

 「コレリ大尉のマンドリン」(2001年アメリカ映画)
 「パリジェンヌ」(1961年フランス映画。白黒映画)
 「ハモンハモン」(1992年スペイン映画)
 「恋するモンテカルロ」(2011年アメリカ映画)

①「コレリ大尉のマンドリン」(2001年アメリカ映画)
(主演は、1974年生まれのペネロペ・クルス。共演はニコラス・ケイジ)

 原作がありますな。第二次大戦中のギリシャの小さな島で実際にあった出来事をベースにして創作した原作は、1994年にイギリスで発売され、ロングセラーとなっておりますぞ。
 映画では1940年から1947年までが描かれておりますが、必ずしも原作どおりではなく、主人公の島娘をめぐる婚約者と新しく現れる恋人との関係などをうまく造形してありますな。

 監督は、「恋するシェイクスピア」で有名になったジョン・マッディン。
 
 この映画での演出力は群れを抜いておりますぞ。
 カメラワーク・編集力も秀逸。
 日本の演出家は、こういう映画の技法を学ぶべきですな。
 
 第2次世界大戦中の話で、イタリアとドイツに占領されたイオニア海に浮かぶ小さな美しい島が舞台ですな。
 島の名は、ケファロニア島。カリフォルニアと似ておりますが、ギリシャ語の悲劇の島ですな。

 この島では、ドイツ軍がイタリア兵や島民らを数千人規模で殺戮したという悲しい歴史がありましてな。
 それだけではございません。戦争が終わって平和が戻ったと思ったら、1953年に島を大地震が襲い、大被害が発生したという歴史的事実があるのですな。
 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生まれ故郷の島(レフカダ島)が、ケファロニア島のすぐ近くにあるというのも興味を引きますな。

 映画は、中立を守っていたギリシャが、ムッソリーニのイタリア軍が隣接するアルバニアとの国境に迫るに及んで、出兵。兵力で圧倒するドイツ軍に勝利するあたりから、お話が始まりますな。

 しかし、イタリア軍には買っても、同国と同盟を結んでいるドイツ軍が黙ってはおりません。援軍を送り、やがて首都アテネなどを占領してしまい、島にも駐留軍がやってくるのですな。

 そのなかに、背中にマンドリンをしょったイタリア人大尉(ニコラス・ケイジ)がおりましたな。
 音楽大好きで陽気なこのコルレ大尉は、婚約者のいる美しい娘ペラギア(ペネロペ・クルス)と出会って恋に落ちてしまうのでございます。

 17歳の島娘を演じる黒髪・黒い瞳のペネロペ・クルスの顔は、TBSテレビのアナウンサー小林悠(はるか)(「朝ズバッ!」に出ている)と面影が似ておりますぞ。悠嬢は日米のハーフですが、ラテン系の先祖が混じっているのですかな。

 島娘は医者のひとり娘で、父ひとり娘ひとりという設定もなかなかよろしい。
 彼女は、父の後を次いで医者になろうとする知的な女性。

 大尉は、村人を招いての慰安会で、彼女に捧げるマンドリン曲を演奏します。
 堂々たる愛の告白ですな。

 いたってまじめな映画ではありますが、監督はサービス精神旺盛。ペネロペ・クルスはラブシーンでは胸を出しての大サービスがありますぞ。

 ドイツ軍は、イタリアが連合軍に降伏すると武器を供出させた上、駐留兵を銃殺しますな。
 大尉も撃たれますが、奇跡的に助かります。死んでしまっては話が続きませんので、小説や映画では、これでいいのですな。

 ナチスに狙われ、大尉に危険が迫ると、ペネロペ・クルス扮する島娘の婚約者でレジスタンスのリーダーが、大尉を夜陰に乗じて船で逃がしてやります。

 やがて戦争が終ったと思ったら、今度は大地震に襲われます。
 医師と娘は無事。ある日、イタリアから小包が届きますな。
 明けるとレコード。コレリ元大尉がマンドリンではなくギターで弾く彼女に捧げた曲でありました。

 地震に遭っても島娘はめげることなく、医師になって頑張り、
 「あの人は、いつ来るす?」
 とペネロペ・クルス。

 その思いが通じたのか、コレリ大尉は、思ったより早く来(こ)れり!? 
 復興なった島へ、ある日、ひょっこり訪ねて来たではありませんか。

 しっかと抱き合う2人。愛は国籍を超えて――いい年をして、また泣いてしまったのでありますな。

 ものわかりのいい医師の父親を演じたジョン・ハートが何ともいえず、いいですな。ジョン・ハートは、「エレファント・マン」で有名になったイギリス人俳優ですな。

 婚約者がいる娘が異国の男に恋した娘に、恋や愛について語って聞かせる場面が印象的ですな。
 
 「恋というものは、一時(いっとき)の狂気に過ぎない。まるで地震のように突然生じ、やがておさまる。おさまったとき、決めなければならない。ゆっくりと考えて、互いの根っ子が切り離せないほどしっかりと絡み合っているかどうか、答えを出さねばならない。なぜなら、それが愛というものだからだ」

 音楽は全編を通して美しく、大尉が彼女のために作曲し、マンドリンで演奏する「ペラギアの歌」の哀愁をおびた旋律は、胸を打ちます。

 二度、三度と見ても、そのつど感動するいい映画でございます。


②オムニバス映画「パリジェンヌ」(1961年フランス映画。白黒映画)
 第1話:主演は、1940年生まれのダニー・サヴァル
 第2話:主演は、1927年生まれのダニー・ロバン
 第3話:主演は、1931年生まれのフランソワ・アルヌール
 第4話:主演は、1943年生まれのカトリーヌ・ドヌーブ。共演は、同年生まれの歌手ジョニー・アリディ。

 いいですなあ、1960年代の花の都パリは!

 そのもっと遥か昔から、日本人は、
 「花のパリーかロンドンか、月が啼(な)いたかホトトギス!」
 などと、憧れておりましたな。

 パリといえば、パリジェンヌ。
 「パリのお嬢さん」ですな。
 ジェンヌではなく、ジャンヌ・モローという名の有名なフランス人女優もいましたぞ。
 おっと脱線はいけません。パリジェンヌの話でしたな。

 宝塚は、パリジェンヌをまねて「タカラジェンヌ」と命名しましたな。
 うまい! 
 うまい話にゃ裏がある。ウマイヤ朝は、7~8世紀頃のイスラム圏の王朝でございます。
 
 銀座娘なら銀座ジェンヌで、渋谷娘なら、シブヤジェンヌ。
 う~む、あまりい響きではありませんな。
 しかし、新宿の中年女なら、ジュクジョ。これはピッタリきますぞ。
 
 というわけで、ここで道草少々、ちょいとばかり「フランス語基礎講座」と参りますかな。

 ボンジュール(bonjour こんにちは) 鼻、ジュールジュール。

 サヴァ(Ca,va? やあ) サバ、マグロ?
 
 セ・ボン、セ・ボン(C'est Bon! C'est Bon! いいね、いいね) ウィスキー・ボンボン?

 コマタレブー(Comment allez-vous? 調子はどう?) 困ったね、ブーッ! あっ、失礼

 ケ・ス・クセ?(Qu`est-ce quec`est? これ、何?)  尻(ケツ)くせえ? 失礼ね!
 
 いけませんな、またダジャレに走ってしまった。
 本題の映画「パリジェンヌ」に戻りますぞ。

 ▼第1話
 主演女優ダニー・ロバンは、目バリ、バリバリ。会話も動きも早いテンポの進行具合が、パリのエスプリの香りを漂わせて、なかなかグッドです。
 足をクネクネする踊り「ツイスト」も、随所に出てまいります。
 ツィストは「ねじる」という意味ですな。

 ▼第2話
 主演女優はダニー・ロバン。この映画ではオバンにさしかかりつつあった年齢ですな。結婚していながら元恋人とアヴァンチュールする話ですな。
 
 「アヴァンチュール」というフランス語もいいですな。
 恋の火遊び。
 Aventure

 Aventure(アバンチュール)に、〈d〉を入れると、adventure (アドベンチャー) 

 Aがキス、Bがペッティングで、Cがセックス、Dは腹が出て「妊娠」。は「危険な冒険の匂い」というわけですかな。

 映画の方の主演は、第1話がダニー・サヴァルで、第2話がダニー・ロバン。
 2人のダニーでございます。

 ダニーといえば、アメリカではダニー・ケイ。
 「ダニー・ボーイ」という歌もありましたな。
 日本では、ダニー飯田とパラダイスキングの時代。
 ダニー・ケイを日本風にアレンジした「ガチョーン!」の谷啓もいましたぞ。

 ▼第3話
 主演女優は、「その薬、どこにある塗~る」のフランソワ・アルヌール。
 小悪魔的女を演じ、親友の彼を寝取ってしまう話でございますな。
 アルヌールは、かなり有名なフランス女優でしてな。「フレンチカンカン」、ジャン・ギャバンの「ヘッドライト」、「ダイヤモンドに手を出すな」などに出ていましたな。

 フランス映画は小悪魔とか悪女を描くのが好きですな。
 小悪魔役といえばブリジット・バルドーがハマリ役でしたな。
 悪女役は「マドモアゼル」で田舎教師を演じたジャンヌ・モローが頭をよぎりますが、H・G・ウェルズのSF小説「モロー博士の島」とは何の関係もありませんな。

▼第4話
 第4話は、かのカトリーヌ・ドヌーブの記念すべきデビュー作でございます。
 
 カトリーヌ・ドヌーブは、スターになるべくして銀幕に出現した数少ないパリジェンヌの一人でしょうな。
 この第1作からして、すでにキラキラと輝いておりますぞ。
 この作品の2年後に主演したミュージカル映画「シェルブールの雨傘」で、彼女は一躍、世界スターの仲間入りするのですな。

 ③「ハモンハモン」(1992年のスペイン映画)
 (主演は、1974年生まれのペネロペ・クルス)

 一言でいうと、スペインのド田舎で繰り広げられる「性春映画」。
 いってみれば、1960年代の大島渚風の映画ですな。
 
 主演は、前述したスペインを代表する女優ペネロペ・クルスで、これが記念すべきデビュー作ですな。
 そのデビュー作で、うれしいじゃありませんか、いきなり吸乳シーンとは。
 「オッチッチ」
 と驚いてしまいますな。

 ♪ チューチュー 中外のグロンサン

  DVDの円盤には、パイチュー画像がプリントされているので、借りるとき恥ずかしいかも。

 ♪ ラメちゃんたら ギッチョンチョンで パイのパイのパイ
 
 早とちりしたらイカンがね、まじめな映画だで。

 ペネロペ・クルスは、黒い髪に情熱的な黒い瞳、引き締まった体は、モデル上がりでございます。
 168センチという背丈は、アメリカ女のようにドでかくはなく、しかも小顔とくるので、日本人好みでありますな。

 その肢体は、「カルメン」に象徴されるスペイン女性の理想的体形であり、顔つきでございます。

 恥ずかしいパーツであろうと、一度さらけ出してしまえば、もう怖くはありません。
 ペネロペ・クルスは、その後の作品でも、ペロン、ペネロペと脱ぎまくるのでございます。

 そして脱ぐたびに大きく成長していくのだから、素晴らしいじゃありませんか。
 こういうのを「脱皮」というのだっぴ?

 その度胸のよさはハリウッドからも注目され、トム・クルーズの恋人と騒がれるまでに大出世を遂げ、もはや、
 「クルスうない、近こう寄れ」
 などと軽口を叩ける相手ではなくなったのでございます。

 そして彼女、2008年にはついに、「それでも恋するバルセロナ」で「アカデミー賞」(第81回)の助演女優賞まで手にするのでありました。

 ところで、映画の題名の「ハモンハモン」。
 この「ハモン」は何といえば、「ハム」ですな。
 「ハムは栄養があるから、よく食(は)むのじゃぞ」
 と思わずダジャレが出てしまいますな。

 ハムといえば、スペインの「ハモン・セラーノ」(生ハム)が世界一でございますな。
 それを意識してか、ラストシーンでは、若者二人がペネロペ・クルス演じる娘をめぐって、ハモン・セラーノを棍棒がわりに殴り合うという、「ハモン対ハモンの一騎打ち」で波紋を呼ぶ映画でございます。
 「ハモン、ベイビー!」
 「 は? 文句あるか」
 と、最後はさびしく、なさけないオヤジギャグと相成りましてございます。

 ついでにいうと、「ハモン」はスペイン語では「JAMON」と綴ります。
 よって、JAPANは「ジャパン」ではなく、「ハポン」ですな。


④「恋するモンテカルロ」(2011年アメリカ映画)
 (主演は、1992年生まれのセレーナ・ゴメス主演)

 テキサスの女子高生が、アルバイトして金を貯めて、友だちとパリに旅行に行き、そこからモナコのモンテカルロへ飛び、富豪霊場と間違われ、大騒動というコメディタッチの青春B級映画でございます。

 目鼻口が近距離にある顔立ちは美人ではなく、キュートとでもいうべきでしょうかな。

 B級と評価したり、お顔をけなしたりして、セレーナ・ゴメス、ゴメンなさい。

(城島明彦)

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