NHK大河、台風こなけりゃ、誰も見ず! 視聴率10.5%(第37回)→14.3%(第38回)→9.7%(第39回)
「平清盛」の5か月ぶり〝好〟視聴率14.3%(9月30日/関東地区)は、台風直撃効果だった
第38回「平家にあらずんば人にあらず」は、電話がかかってきてドラマを見るのが中断したので、土曜日の再放送で見た。
盛りだくさんな内容で、わかりやすく、「悪くない」と思ったら、14.3%という高視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)を記録していた。
驚き、桃の木、山椒の木。ああ、備蔵鯉太(びっくらこいた)。
14%台は、何と5月13日(第13回)の14・7%以来である。
▼9月の視聴率推移(関東地区/ビデオリサーチ調べ)
11.1%(2日)→10.5%(9日)→10.1%(16日)→10.5%(23日)→14.3%(30日)
どうして視聴率がよかったのか。
よく考えたら、何のことはない。どえらい台風が本州を襲った日で、外出を控えたからだ。
ダーティーイメージの小林幸子の紅白出場はアウトでも、MHKは、
♪ 雨、雨、降れ降れ、もっと降れ (「雨の慕情」)
で、雨女の八代亜紀は100%出場だァ?
ドラマ自体は面白かったのか?
視聴率急上昇の理由は、台風以外にもいくらかあった。それは――
①誰もがよく知っている「平家にあらずんば人にあらず」がタイトルだった。
②歴史の教科書に出てくるエピソードが盛りだくさんだった(清盛の娘徳子が高倉天皇の后として入内し、平家の権力が絶頂期に達する話。伊豆に流されている頼朝と北条政子の話。不満をくすぶらせる以仁王の話。義経の話。など)
建礼門院徳子は、壇ノ浦の合戦で入水するが、源氏の兵士の熊手に髪の毛をひっかけられて助けられ、その後、京都の大原の寂光院に隠棲するが、その悲話もよく知られており、寂光院は京都観光の有名スポットの一つになっている。
③後白河法皇の謎かけが面白かった。
④室内の映像が多く、汚い画面が比較的少なかった。
要するに、全体に話がわかりやすく、もりだくさんで、親しみやすい展開になっていたことも視聴率アップにつながったのではないか。
第39回「兎丸無念」(10月7日放送)は9.7%に急落――話が単純で画面も汚く、面白さに欠けた
しかし、京の五条の橋の上で弁慶が義経と戦う有名な場面から始まる第39回「兎丸無念」は、兎丸という架空の人物の最後を描いた話で、外のシーンが多く、また汚い場面が多く、話も単調で面白くなかった。
その結果、9.7%と、またまた視聴率は10%を割ってしまった。
兎丸を「清盛の化身」のような人物に設定したアイデアは悪くないが、いつ見ても薄汚く、清盛に対し、出会ったときから死ぬまで「ため口をきく」という設定はいかがなものか。
二人きりになれば、それでも構わないが、人前でも同じような口のきき方をするというのは、きわめて不自然。
今の時代なら、会社で元上司よりはるかに偉くなった場合、他人の目がある元上司は敬語を使うのが普通。
ましてや身分制度が厳しかった時代に、太政大臣になった相手に「友だちのような口のきき方」をすることはありえない。
そういう嘘は、視聴者を愚弄しているととられかねない。
徳子役の二階堂ふみという若い女優は、NHK好みのようだが、個人的には徳子のイメージとは違う。
明るく元気になれる大河ドラマがいい
再来年の大河ドラマは「明智光秀」という噂があるが、先の自民党総裁選挙で、石原伸晃は「平成の明智光秀」といわれ、人気を落とした。
日本人に最も嫌われて続けてきた武将は、主君を裏切った明智光秀と意地悪をして赤穂浪士に仇を討たれた吉良上野介である。
明智光秀も吉良上野介も地元では悪くいわれてはいないが、圧倒的大多数の日本人の捉え方は「悪人」である。
特に光秀は、信長というスケールの大きな男を殺したことで、日本が飛躍する夢を断ってしまった。
明智光秀は単なる噂の域を出ていないが、そういう人物をわざわざ選ぶとすれば、時代に逆行し、NHKのセンスが問われることになるだろう。
暗い世の中に、暗い話を持ってきては、誰も見る気がしない。
回りくどい話や理屈っぽい演出はダメだ。
明るく、元気の出るドラマがいい。
「平清盛」の放送で、どの回の視聴率が高かったかをチェックすれば、どんな人物をどのように描けば国民の支持が得られるかがわかるはずだ。
(城島明彦)
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