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2012/08/19

リアリティが売り物という「ほん怖2012」(8月18日「フジテレビ」放送)の限界

お盆の日程は「盆ジュール!」

 8月18日(土)午後9時~23時10分放送「土曜プレステージ ほんとにあった怖い話」(フジテレビ)を観た。

 8という数字をよく見てごらん。

 3という字を鏡に写したカタチだよ。
 
 8=3+3 に分解できるということ。

 鏡は、あの世だ。

 8月18日=3+3+1+3+3=13

 「ほん怖」は今年で、13回目だそうだ。

 人が死んで、「13回忌」は大きな節目。

 干支は12。
 干支がひと回りして、また死んだ年に戻るのが13回忌。
 
 13は、死刑台への階段数。

 アメリカでは、ジェイソンの「13日の金曜日」。
 13(「いざ」と読む)、今年の「ほん怖」の感想へ。


第1話「赤い爪」(諏訪市の実話という設定/主演:山下智久)

【ストーリー】
 転職先の会社へ向かう山道の途中に「Y字路」がある。
 会社へは左の本道をいくのだが、右側へ向かう道の入口には「その先、行き止まり」の立て札がある。
 ある日、主人公の青年は、自分の意思ではない力が働いて、右側の道に車が入っていく。
 主人公の車は、道なき道を突っ走り、断崖絶壁の手前でかろうじて止まった。

 上司の女性課長から気がかりな忠告を受ける。
 「Y字路のところで何を見たかは、思い出しても誰にも話さないで。話を聞いて不幸になった人を知っている」
 その夜、青年は、白いブラウスを着た女で、伸びた爪に真っ赤なマニキュアが塗られた女がベッドで寝ている自分の足首を掴まれた。夢だと思ったが、お昼休みの社員食堂で、主人公に好意を寄せるOLから話しかけられる。
 「Y字路のところで、あなたの車が右に入っていくのを目撃したわ。赤い爪の女が、崖から飛び降りて死んだことは誰もが知っている。その女が、Y字路の入り口のところに立っているという噂は、この会社の人はみんな知っている」
 そのOLは会社に来なくなった。課長がいう。
「友達に話し、母親にも話したしたら、みんなおかしくなった。当時はそのことを知らなかった」
 課長は新たに青年に話してしまっているということに気づかなかった。

 青年が上司の女性課長の運転する車の助手席に乗って一緒に会社へ向かっていると、車が勝手にY字路を右へ入っていった。
 課長の意思でないことは、ハンドルやアクセルを赤いマニュキュアの手が押さえつけていることでわかった。
 車は、崖への道を突っ走っていく……。
 車は、崖の手前で止まったが、課長は気を失っていた。
 「自分の存在を知ってほしかったのでは? しばらくは何も起こらないと思う」という話で、おしまい。

【城島の感想】
 本作は、「昔、Y字路の奥の崖から投身自殺をした『赤い爪の女』がいて、その霊がまだ成仏しておらず、Y字路の入り口に現れて車を崖下へ招き呼ぼうとする」という怨念話である。
 山中のY字路は「怪談」の定番。視聴者は、どんな話が展開するかと期待するが、イマイチだった。
 この手の噂話は、昔から日本各地に語り継がれていて、事故現場、トンネル工事などで犠牲になった人の霊が出るという話と共通していて、興味深いテーマである。

 ドラマは、「本当にあった話」「リアリティを追求した」を売りにしている。
 この話がもし「諏訪市」で本当にあった話であるなら、「投身自殺をした赤い爪の女の事件」は新聞記事になっているだろうから、そのあたりを実際に調べてみるべきだ。
 加えて、ドラマには原作(『ほんとにあった怖い話』(朝日新聞社)「HONKOWA」(朝日新聞出版)がある。ということは、「赤い爪」の原作者やY字路も特定できることになる。
 ドラマの時間や予算の制限はあるかもしれないが、リアリティが売りとPRするのなら、事実関係を徹底的に調べてほしかった。

 諏訪市内で取材すれば、ある程度のことはわかるだろうし、警察に尋ねると、いつごろの事件で、赤い爪の女がどういう素性の女だったのか、なぜ死んだのか、死後、菩提を弔ったのか弔わなかったのか、遺族はどうなっているのかといったことがわかるはずだ。

 そうした事実を追い求めていけば、「女の霊が、いま、なぜ、さ迷っているのか」「誰にたたろうとしているのか」という結論が導き出せ、リアリティが増して、より不可思議で怖い話になったのではないか。
 

◆第2話「呪われた病室」(高知市の実話という設定/主演:剛力彩芽(新人ナース役)

【ストーリー】 
 看護学校を出たばかりの新人ナースは、「308号室」に入院しているジイさんが死ぬ前に天井の一角ばかり見ていたのが気になる。
 数週間後、その病室に中年女が入院するが、彼女もまた天井を見上げ、やがて死んだ。
――その数日後、今度は「亮(りょう)君」と呼ばれる子供が入院する。
亮君は、なぜかいつも天井を見ている。

 先輩のナースに聞くと、その部屋は一度倉庫になったが、部屋不足のため、また病室になったという話だった。
 子供が「お絵かき帳」に書いている絵をみると、黒いクレヨンでモジャモジャとしたものが塗られていたので、先輩に「何があったのか」と聞く。
 すると、「あの部屋に入院した患者は必ず死ぬ」といわれる。
 夜勤の日、亮君の部屋へいくと、何ごともなかったが、お絵かき帳をめくってみると、どれも黒いもじゃもじゃで塗られ、最後の絵には不気味な女が描かれていた。

 それで、男の子は別の部屋に移されることになり、「これで大丈夫」と思ったが、夜、部屋はもぬけのカラ。案の定、前の病室で天井を見ていた。
 新人ナースも一緒に見ていると、天井の黒いモジャモジャとした個所が次第に広がり、そこから髪の毛のようなものがぶら下がり、両手も突き出てきた。
 キャーッと叫んで、彼女は気を失う。
 目を覚ますと、翌朝。男の子のベッド脇に座って眠っていた。
 彼女がかが見込むと、その背後に女の姿が――。

【城島の感想】
 病院は「怪談」に欠かせないが、この作品で描かれた「天井から長い髪が垂れ、続いて両手が伸びてくる」――これは、貞子の二番せんじ。
 その病室がかつて物置に変えられたのは、なぜなのか!? その時期の病室で何があったのか。
そこを明確にしていれば、もっと怖い話になった。
 

◆第3話 「右肩の女」(八戸市の実話という設定/主演:岡田将生)

【ストーリー】
 主人公は、別れ話を切り出したいと思い始めた相手の女性に、
 「最近、右肩重くない?」
 と尋ねられた。
 彼女は主人公の部屋中に「悪霊退散」などと書いた紙のお札を貼りまくる。
 それでも、夢のなかで女に馬の理になられ、金縛りに遭う。
 
 「見せたいものがある」
 と彼女自身のブログに反応してきた誰かわからない相手を突き止めたら、女。
 白地に赤と青の格子柄のワンピースの女に追いかけられる夢を見た。
 階段教室の授業中、最後部に座っていたら、背後のガラス窓のところで妙な音が。ガラス割れ、腕をケガする。
 
 霊媒師に、
 「別れようとしている彼女がいるね。中年女は彼女の生霊だ」
 と告げられる。
 そのことを彼女に話すと、「自分は中年じゃない」と否定したが、霊媒師は、
 「別れたくなくて嘘をいっている。生霊(いきりょう)となっていつのまにか憑りついた。生霊は死者の霊より強い。はっきりした態度を取らないとダメ」
 階段教室の前の席に中年女が潜り込んでいた。

 彼女からメールがあった。
 「あの女は、私だったかもしれない」
 子どものころ着ていたという白地に赤と青の格子柄のワンピースの写真が添付されていた。

【城島の感想】
 恋人に振られかけている若い女性が「生霊」となって、たたろうとするという話だが、中途半端なドラマだった。
 「生霊」とするなら、生霊となる彼女自身が、身の毛もよだつような言動を見せないと怖くならない。

 ブログに霊がアプローチしてきて、確かめたら相手の写真に女のようなものが写っているという話も出てくるが、現実味を欠く。
 

◆第4話(短い話)「真夜中の最終電車」(都内某所という設定/主演:スギちゃん)

【ストーリー】 
 最終に乗り遅れたと思ったが、あった。乗り込むと、男以外は誰も乗っていない。窓ガラスに誰か映っている。しかし姿は見えない。白っぽい宇宙人のような奇妙な姿。「アーッ」という妙な声が追ってくる。
 ドアが開いたので、転げるようにしてホームへ。電車が動きだし、乗っている者が見えた。人のような姿だが、白目だけの奇妙な姿。「その夜は夢中で家へ帰りました」というスギちゃんのナレーションが流れて終り。

【城島の感想】 劇中でも「ワイルドだぜ」というなど、子どもたちの受け狙いのスギちゃん起用。スギちゃんで視聴率アップを狙った企画。ホームにも人はいないし、一人も乗らないというのは不自然。完全なつくり話とわかる。
 もう少しシチュエーションを考えた方がよい。
 たとえば、泥酔状態で最終電車に乗り、気づくと知らない無人駅のベンチで寝ていた。自分ではその間の記憶がまったくない。見ると、古い車両があり、寒いのでそこへ入り込んで、夢か現実かわからない状態で遭遇したのが、ドラマに描かれた話という具合に、ひねりを効かせるべきだった。


◆第5話「或る夜の出来事」(武蔵野市の実話という設定/主演:香里奈)
【ストーリー】
 ある晩、主人公の若い女性がトイレへ行こうとすると、誰かが先に廊下の突き当りのトイレへ。
 弟、母の3人家族なので、てっきり弟と思ったが、覗いてみると誰もいなかった。
 彼女には辛い記憶があった。「ゆうちゃん」と呼んでいた幼なじみの男友だちから、海外へ転勤になるからとプロポーズされことがあったが、「友だち以上の気持ちはない」と断った。
 その後、その男友だちは自殺し、自分のせいではないかと「負い目」を感じていた。

 トイレ事件後、妙なことが続く。真夜中に、弟の部屋で大きな物音が続いた。部屋のなかがメチャメチャに荒らされていたが、弟がやったことでなかった。
 「自分を恨んでいて、弟との仲を割こうとしているのか」と彼女は思うが、はっきりした理由はわからない。
 彼女は、男友だちが旅行みやげといってくれた軒下につけていた風鈴と何人かで写っている写真をしまいこんだ。
 怪しげなものがうろついているのを見た、と弟もいう。

 母は除霊した方がいいといったが、彼女は断わる。
 「除霊したら、自分が殺した彼をもう一度殺すことになるから、そんなことはできない」
 という理由からだった。
 その晩、彼女はホテルに泊まり、現れた彼の霊に、
 「ずっとそばにいたかったけど、いえなかった」
 と告げる。
 友人が、「ネットで調べたら、未来の災難を防ごうとして、何かを訴えようとしている」と話した。
 弟がバイト先へオートバイで出かけるとき、鍵が見当たらないというが、彼女が見るとあった。
 しかし彼女は、玄関の外の気配で悪い予感がし、その鍵を彼女は弟に渡さなかった。

 その直後、外で大爆発が起こった。
 弟は、すんでのところで事故に巻き込まれずにすんだのだった。
 玄関に彼が立っていた。
 亡くなってからも私のことを心配してくれていたのだと気づき、
 「ありがとう」
 と声をかけると消えた。

【感想】
 設定に無理がある。
 部屋のなかが何者かに荒らされていたら、普通、警察に届ける。
 母親がその物音にまったく気づかなかったというのも変だ。不審に思い、部屋を覗くはず。そう思った時点で、この話はつくり話とわかる。

 先祖などが自分の子孫を守ろうとするのと同じで、死後も好きだった異性を厄難から守ろうとする話で、一種の「守護霊」であり、昔からよく聞く話で、素材としては悪くないが、自分にプロポーズした幼なじみが、なぜ自殺したのか、ドラマではわかりづらい。
 喫茶店で彼女が待っているとこなかったということだけで暗示しようとする演出だけでは弱い。
 彼の死をどれくらい負い目に感じているかを、もっとわかる形で視聴者に伝えるには、彼の死に方、あるいは遺書の内容などを盛り込むべきだった。

(城島明彦)

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