「平清盛」は大震災イメージ連想で視聴率低下か? 最低視聴率11.3%に並んだ第16回「さらば父上」
5月連休には11%を切るかも
「平清盛」の第16回「さらば父上」の関東地区視聴率(ビデオリサーチ調査)は、4月1日放送時の11.3%と同率だった。
視聴率がふるわない最大の原因は、どんより曇った冬空の下で起こった悪夢「東日本大震災」を連想させるかのような、暗鬱(あんうつ)な映像にあるのではないか。
政治は乱れ、景気も悪い世の中が続いている。せめて、テレビドラマの色調ぐらい、明るく美しくできないのか。
そういう単純な庶民感覚が〝親方NHK〟にはわからないのかもしれない。
人物関係のややこしさ
第16回のタイトル「さらば父上」の父上は清盛(松山ケンイチ)の父平忠盛(たいらのただもり/中井貴一)で、忠盛が清盛に家督を継がせ、後事を託して病死する話が本筋だった。
しかし、ドラマ全体では人物の相関関係がややこしく、視聴者は話に入りこめないのではないか。
皇室では、誰が実権を握るか、誰を天皇にするかという抗争が絶えずあり、摂関家でも誰が一族の長となって、政治の中枢で権力を振るうかという争いがドラマのなかで進行してきた。
天皇、上皇、法皇は、自身が思うような政治を執り行いたいから、摂関家の藤原家の力を削(そ)ごうとして、摂関家以外の貴族を登用する。
鳥羽法皇(三上博史)が、藤原家成(ふじわらのいえなり/佐藤二朗)を重用した理由のひとつは、それだった。
藤原家成は、ドラマではひんぱんに登場していないが、実はキーマンである。ただし、同じ藤原姓であっても、摂関家の藤原忠実(國村隼)、その長男忠通(堀部圭亮/関白)、次男頼長(山本耕史/内大臣→左大臣)とは別の家系である。
鳥羽法皇派の派閥は、側近の藤原家成の姻戚関係を中心に構成されている。
家成は、美福門院得子(びふくもんいんなりこ/松雪泰子)とは、いとこ同士である。
美福門院得子は、家成の父家保の兄藤原長実(ふじわらのながざね)の娘なのだ。
こちらの藤原も道長の家系とは関係ないが、鳥羽上皇の信任厚く、得子が上皇の寵愛を受け、近衛天皇を産んだことで、長実は外祖父という権力を手に入れている。
家成は、清盛の義母宗子(忠盛の正室/和久井映見)とも、いとこ同士にあたることから、平家とも密接につながっている。
しかし、家成の息子、成親(なりちか)は、やがて「鹿ケ谷(ししがたに)の陰謀」に加担して謀反(むほん)を起こそうと企てるが、発覚し、捕らえられて流罪になる。
それでも平家との絆はゆるむことなく、家成の娘は清盛の長男重盛の正室になり、平家との関係は逆に深まることになる。
これら以外にももっと複雑な人物関係があり、それらをドラマでいちいち説明していると、話が理屈っぽくなるし、説明しなければしないで、どうして親しいのか、なぜ対立しているのかがわからない。
いずれにせよ、歴史や人物関係をよく理解していないとドラマがわからない点が致命的で、それが即、視聴率の低迷にはねかえっているのではないか。
(城島明彦)
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