« 介護関係のこんな本を書いた | トップページ | NHK大河「平清盛」(第12回「宿命の再会」)は、盛り上がりに欠ける中途半端なドラマだった »

2012/03/25

鶴龍は本割で豪栄道に、決定戦で白鵬に二度「張り差し」で負けた

 また「張り差し」か

 大相撲春場所は、優勝決定戦で白鵬が鶴竜を破って優勝を決めた瞬間、テレビの電源を切った。

 同じ日に同じ力士が二度も顔面を張られて負け、優勝を逸したという例は、長い大相撲史のなかで今回が初めてではないか。

 「張り差し」は禁じ手ではないが、見ていて気持ちのいい手ではないし、横綱はやるべきではないと何度も何度も書いてきた。しかし、白鵬は、優勝決定戦で格下相手の鶴竜相手に「張り差し」を敢行した。

 「張り差し」を横綱が使うのは、みっともいいことではないし、使うべきではない。

 その理由は「子供相撲では使えない手だということ」「顔面は鍛えられないということ」の2つだ。

 顔面をバンバン張り合い、下手をすると脳震とうを起こすようなスポーツを見て、子供が憧れるかどうか、考えなくてもわかる。

 もうひとつ加えるなら、横綱や大関が相手に使うと無礼だという思いが格下の力士にあるということだ。

 
 NHKは「張り差し」が立派な手だと思っているなら、放送中に「素晴らしい」と繰り返せ 

 鶴竜は、勝てば初優勝が決まる対戦相手の豪栄道に「張り差し」をされ、一気に寄り切られた。

 白鵬は、土俵下でそれを見ていて、自分が勝って優勝決定戦に持ち込んだら、鶴竜をその手でやってやろうと決めたのではなかったか。

 支度部屋で白鵬の本割を気にする鶴竜をNHKのカメラが映していたが、頬が真っ赤になっていた。
 NHKのアナウンサーも頬が赤いことを口にしたが、その時点では、まさか優勝決定戦でも鶴竜が「張り差し」でやられるとは思わなかったろう。

 鶴竜は作戦を誤った。白鵬が脳震とうを起こすように、左右どちらかの耳に狙い定めて渾身の力を込めて張るべきだった。

 ほかの力士も、どこをどう張れば相手が脳震とうを起こすかを医者に教えてもらえ。

 引退した朝青龍が格下の相手に「張り差し」を多用して以来、モンゴル勢はそれをまねたのか、「張り差し」が多い。

 日馬冨士もよく使うが、千秋楽では張り差しはせず、でかい体の琴欧州を上手投げでブン投げた。
 小柄な力士が大きな力士を投げ飛ばすところに大相撲の醍醐味がある。

 把瑠都も、でかい手でバンバン張りたがるが、突っ張りで勝った勝負は素晴らしかった。「張り差し」にいかなくても、やればできるのだ。
 
 「顔を張らなければ勝てないような相撲なら、やめてしまえ」
 と私はいいたい。

(城島明彦)

« 介護関係のこんな本を書いた | トップページ | NHK大河「平清盛」(第12回「宿命の再会」)は、盛り上がりに欠ける中途半端なドラマだった »