NHKはおかしい? 竹千代(3代将軍家光)は「女嫌い」(=「オカマ」)だった。
「江~姫たちの戦国~」も次回(第46回)がいよいよ最終回。
日本シリーズの中継と途中からだぶったので、あっちを見、こっちを見した。
「南極大陸」のキムタクの眉毛はおかしい
年をとったせいか、録画してまで見たいと思わなくなった。というより、録画してまで見たいと思う番組がなくなった。ここ5年近く、そういう状態が続いている。
いいかげんなドラマが多すぎる。
鳴り物入りで登場したTVドラマ「南極大陸」も、昭和30年代前半を描いていながら、主演のキムタクの眉毛は細く、当時とまったく違っている。
時代考証という点では、前に長髪の兵隊が出てくるデタラメな映画があって驚いたことがあるが、それに近い。
たった一人そういう登場人物が出てくるだけで、映画やドラマ全体が嘘っぽく見えてしまうことを制作サイドは考えないといけない。
キムタクがどんなに熱弁をふるおうと、眉毛が昭和30年代の男ではない彼の顔を見ると、
「いつの時代の男を演じているつもりなのか」
と、しらけてしまうのだ。
昭和30年代は、太い自然な眉が凛々しく男らしいといわれていた時代で、眉尻を細く女のように整えていたのは歌舞伎の女形か当時〝シスターボーイ〟と呼ばれていた三輪明宏(現美輪明宏)のような「オカマ」くらいなものだった。
眉毛を育毛し太くする「ミクロゲンパスタ」という塗り薬が、男性誌などでさかんに太い眉の男のイラストを使った広告を打っていた。そんな時代は昭和40年代に入ってもまだ続いていたのだ。
竹千代が女嫌いだったのは有名な話
話は変わって、大河ドラマ「江~姫たちの戦国」だ。
前回(第44回)のドラマでは、竹千代が口紅をつけているのを江が見て驚き、秀忠ともども落胆するシーンが描かれていたが、 今回(第45回「息子よ」)は、江に冷たくされて寂しかったからという理由で、母の愛用している口紅をつけていたという解釈をNHKはしていた。
NHKは、歴史をねじ曲げて、きれいごとにしてしまった。
歴史的にいって、家光の女嫌いは有名な話で、それに困った乳母の春日局が大勢の女を集めた大奥をつくったのである。
「たくさんの美女を集めたら、1人ぐらい気にいる女がいるだろう」
という目論見からだ。
今風にいえば、
「男好きなら、宝塚の男役のような女を用意すればいいかもしれない」
とも考えただろう。
脚本家と演出家が上野樹里を殺した
病に倒れた家康が人払いをして、息子秀忠と二人きりになる場面があった。
そういう場合、ほかの者たちは、別の部屋へさがって控えているのが普通だが、江は例によって廊下に控え、二人の話を漏れ聞くという設定になっていた。
ドラマを盛り上げるには、そうするのが一番と考えただろう。
そういう安易さはあるにしろ、二人の話を聞いている上野樹里の表情の演技はよかった。
ここ何回か、そういう表情だけの芝居があったが、なかなかよかった。
そういう芝居ができるのなら、脚本家や演出家は、そういう場面をもっと多くしてやるべきだったのではないか。
脚本家は、どうも上野樹里を好いていなかったのではないかと疑われるような、おかしなセリフが多かった。
脚本家も演出家も、どうすれば主演女優の魅力を最大限引き出せるかという努力を怠ったのではないのか。
得をしたのは、初役の水川あさみだ。出番は少なめだったが、悪いイメージは与えなかったのではないか。
上野樹里の所属プロダクションが無能
女性が主人公ということで、上野樹里は「篤姫」の宮崎あおいの人気と比較されがちだが、〝かえる顔〟の宮崎だからというわけでもなかろうが、「アフラック」のCMでアヒルと競演し、子どもやお母さんに人気があり、コマーシャル効果にも支えられた。
上野樹里を家庭的なCMに何本も出させるべきだった。
茶々、初、江の3姉妹を演じた女優3人の出ているCMでは、主演の上野樹里のCMが一番見劣りがする。
NHKの主演が決まりそうなあたりから、CMへの起用を売り込んでいれば、もっと人気も出ただろう。
売込みを怠った所属プロダクションの責任は大きい。
ついでに毒づくと、アフラックのCMにはアヒルや猫が出てくるが、どういう商品なのかまったくわからない。
保険を単なるイメージだけで売っていいのかと、あのCMを見るたびに考えるのは私だけか?
(城島明彦)
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