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2011/06/06

NHK大河「茶々は秀吉の愛人(側室)ではない」は詭弁(きべん) (6月5日の「江~姫たちの戦国」)

「江~姫たちの戦国」(6月5日の第21回)「豊臣の妻」のストーリー

 今回のドラマは――

 「よくも姉上を手ごめにしおって」
 と、直情径行(ちょくじょうけいこう)型の江は血相を変えて秀吉のところへ怒鳴り込んでいく。
 江は、秀吉が嫌がる茶々を力づくで犯したと思い込んだのだ。

 茶々は「自分は側室になったのではない」と弁明したが、男女関係に厳しい江は、それを言下に否定し、「秀吉は父や母の仇、義父の仇」と言い続けてきた茶々の裏切りを激しく攻めた。

 初が嫁ぎ先からやってきて、そんな江を諭す。しかし、江は納得がいかない。

 しかも茶々は妊娠する。(10数人いる側室の誰も妊娠しなかったのに、おかしい?)

 一番ショックだったのは、秀吉の糟糠(そうこう)の妻おね。
 しかし彼女は、冷静沈着なおとなの女。自分に子どもができなかったこともあって、事態を冷静に受け止め、茶々に「さぞや辛かろう」と慰め、こんなことをいう。

 「命を奪われたに等しいお父上やお母上の思いを、茶々殿が秀吉の子を生むことで受け継ぐのじゃ」

 おねは、側室でないと言い張る茶々の気持ちを、こういって援護する。

 「側室ではありません。すでに秀吉の妻。豊臣の家を守るのが私。豊臣の子を生み育てるのが茶々殿。同じ豊臣の妻」

 やがて江も、初やおねに説得されて茶々を許すのであったとさ。

 ――といったストーリーであった。

 茶々が秀吉の女になったことをNHKが強引に正当化しているかのような筋書きで、私は少々白けてしまい、あと味が悪かった。

 初が嫁ぎ、茶々が妊娠し、もうじき江が秀勝と結婚するが、死なれ、徳川秀忠と再婚という展開になり、NHK大河ドラマ「姫たちの戦国」は、第2ラウンドともいうべき「妻たちの戦国」に移って行く。


茶々が「側室でない」などとなぜいわせるのか、理解不能

 NHKは茶々に「私は(秀吉の)側室ではない」といわせたが、それは心情的なものでしかない。

 何といおうが、どう説明しようが、側室は側室。正室ではない。

 秀吉には「おね」という正室(正妻)がおり、彼女がいる限り、茶々は正室にはなれないのだ。

 当時は「一夫多妻制」ではあったが、「正室」は一人で、それ以外は「側室」というケジメがあった。

 正式な婚儀を経て「正妻」となった女性を「正室」といい、彼女が早死にしたり離縁された場合に迎える「後妻」は「継室」といった。江は、最終的には徳川秀忠の継室となる。

 これに対し、「側室」は愛人。
 「正室に子が生まれないときのために用意された、家系を絶やさぬための子供を生む女」だから、必ずしも由緒正しい生まれでなくてもよい。
 
 「嫡子」(ちゃくし/長男)があとを継ぐことになっていたが、平均寿命が短い時代であり、いつなんどきいくさが勃発して死ぬかもしれない物騒な世の中だったから、城主もその家来たちも、お家存続のために側室(愛人)を何人も抱(かか)え、男の子をたくさん生ませる必要があった。

 秀吉のように天下を統一し、権力を握った人間は、自分の血を引く子どもや孫に自分の地位を引き継がせるために、男子をたくさんつくる必要があった。

 しかし、秀吉は子供に恵まれず、あせりまくって、たくさんの側室を抱え込み、夜(よ)を日(ひ)に継いで子づくりに励んだが、正室はおろか、茶々以外の側室は誰も妊娠することがなかった。

〝はげネズミ〟秀吉は、子種がなかったか、子づくりの仕方をカン違いしていた節がある、と私は思っている。

 「せっせ、せっせと房事(ぼうじ)を重ねまくると子どもができる」
 と彼は信じて疑わなかったようだが、逆である。

 頻繁にセックスすると、精液の量が減ることで精子の絶対数も減り、妊娠しづらくなってしまう。
 そのことを秀吉は知らなかったのだろう。このことは、別の折に述べる。

(城島明彦)

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