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2011/04/01

人物描写の分散化が、NHK大河「江~姫たちの戦国」低視聴率の原因

 タイトルがあいまいである。メインタイトルを「江」としながらサブタイトルは「姫の戦国」ではなく、群像劇をイメージする「姫たちの戦国」となっている。

 「江」が主人公でありながら、彼女を演じる上野樹里だけでは不安と考えてでもいるのか、NHKは残る2姉妹の存在感も同時に出そうとしているようで、その分、江の描写や存在感が希薄にならざるを得ず、その点が「篤姫」と異なる。

 3姉妹だけでなく、お市の方、信長、明智光秀、秀吉らにも描写を割(さ)いている。それぞれの人物が濃密に描かれれば描かれるだけ、江姫に割く人物描写時間が減っており、彼女の魅力が十二分に視聴者に伝わってこなくきらいがある。

 秀吉は、過去のドラマでもひょうきんな性格に描かれてきたが、今回の秀吉はそれら以上にマンガチックに描かれていることも視聴率に影響しているのではないか。

 3姉妹のうち、長女の茶々は真面目な性格に描いているが、次女の初は「お菓子に目がない姫」という設定になっている。
 コミカルに描くなら描くで、全編〝コミカル版戦国絵巻〟に徹すればいいが、そこまではいっておらず、中途半端な印象をいだかせる。

 江を主人公としてもっと前面に押し出して強烈に描くのか、そうではなく、彼女を含めた3姉妹を均等な感じで描いていくのか、そのあたりのあいまいさが、視聴率に跳ね返ってきているのではないのか。

(城島明彦)

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