東電の「地球環境大賞」はどうなった?! 原発事故現場でなぜ日本製ロボットを使わない?
東京電力に地球環境大賞はない
フジサンケイグループが、同社主宰の「地球環境大賞」(第20回)を発表したのは去る2月25日のこと。
4月5日に授賞式が予定されていたが、3月11日の東日本大震災で式・記念レセプションは延期ということになった。
間が悪いというか、あろうことかというべきか、その賞の大賞に選ばれたのが東京電力だった。
今、日本国内で最悪の企業はどこかという投票をやったら、圧倒的多数で東京電力が選ばれることは想像に難(かた)くない。
企業イメージなんて、問題を起こしたら、あっというまに下落してしまうという見本のようなものである。
不祥事を起こしたら受賞取り消しが当然
非難されるべきは、選考委員たちだろう。
「どこに目をつけていたのか」と。
したがって、選考委員たちは、
「私の目は節穴でした。かような事態は予測できませんでした。ごめんなさい」
と、わびないといけない。
世のなかにはいろいろな賞があるが、その後、不祥事を起こしたり、問題があったりした場合は、取り消されるのが普通。
地球環境を汚し、日本という国家の威信やら信用やらを失墜させた東京電力に「地球環境大賞」はないだろうというのが世論である。
震災前に決まった賞だなどとという理屈や弁明は通らない。
フジサンケイグループは東電に謝罪を要求すべき
フジサンケイグループは、直ちに東京電力の受賞を取り消すと同時に、20回を重ねたイベントの名誉を汚したことを世間にわびるよう、東京電力に強く要求すべきではないのか。
そうしないと、うやむやにしようとしていると思われ、企業イメージを落とすことになる。
東京電力に貸しをつくって、フジサンケイグループだけに新聞記事やらテレビニュースになるマル秘ネタをもらいたいのなら話は別だが、そんなことを考えていないのなら、マスメディアとしてきちんとした受賞取り消し声明を出さないといけない。
ロボット使用への東電の動きの鈍さ
原発事故にアメリカ製のロボットを投入したと報じられたのは先週だったが、私は東電が何もしないのでしびれを切らせ、3月25日の本ブログで「ロボット大国の日本が、なぜロボットを使わないのか」と書いた。
そういうことは原発事故からそう日にちがたたないうちに実行すべきである。
東電は、何でもかんでも自分たちでやろうとするから、「情報を隠蔽しているのではないか」と疑われることになる。
被ばく問題で人間が入れないとわかった時点で、ロボットを使えないかと考えるのは常識だ。
ヘリで水を入れたタンクの水を空中からデタラメな角度でぶちまけたことも、その後、建設用の無人クレーン車で直接放水できたことを考えると、無知というよりも、そういう情報収集力に欠けるということになる。
撮影ロボットや放射能などの測定ロボットの使用に関しても同じだ。
なぜ日本のロボット開発者たちは技術提供しないのか
掃除ロボット、セキュリティロボットなど、日本のロボット技術は世界の最高水準をいっている。
NHKでは毎年、高専学生たちの「ロボコン」(ロボットコンテスト)をやっている。
デジカメ、ビデオなど、日本の撮影技術は世界最高級。超小型超高性能のCCDカメラだってある。
しかし、原発に投入されたのはアメリカ製ロボットだ。
日本の技術者・学者・ロボット製品を売り出している企業は何をしているのか。
ホンダのアシモ君は使えないか?
足元が不安定で難しいかもしれないが、ホンダのアシモ君にも、人間に替わって現場に入ってもらったらどうなのか。
東電にはそういう発想がないのか。
東電は、ロボットを改造して事故対応用に仕立て直してもらうというような相談とか要請を各企業や大学の先生たちにしたのか?
東電の相談を受けなくても、日本のロボット関連企業やロボット関係の大学の先生たちは、手助けしたいと東電に伝えているのか?
日本のロボット関連企業は、今回の原発災害に対して無力だったとして、間違いなく世界的に信用を落とした。
技術立国日本としては致命的である。
タイミングは逸したが、それでもまだ技術力を発揮できる可能性は残されている。
関係者は奮起せよ!
(城島明彦)
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