テレビ局は、被災地や被災者を食いものにするな! 「元気が出る歌」などと称して、被災者に楽しかった過去を思い出させてどうする!
どのテレビ局も、少しでも制作費を抑制しようとして、古いビデオを引っ張り出してつないだ番組を作り、被災者を励ます「元気が出る歌」などというインチキなことをやっている。
昔の歌を聞いても、被災者は元気になどなりはしない。被災者たちは、昔を回顧できるだけの心の余裕はまだない。
「歌は世につれ、世は歌につれ」というように、人は昔の歌を聞くとその歌が流行った頃の自分の姿を思い出して今の自分と重ねあわせ、よけい悲しくなるだけだ。
この手の番組はまだ早い。被者者にもっと心のゆとりができてからにすべきだ。
今の時期は、悲しみを増長するようなナツメロよりも、むしろ、思わず笑ってしまうような方が元気になれる。
笑わせるというと、テレビ局は昨今の十把一絡(じゅっぱひとからげ)のお笑い芸人を考えるに違いないが、そういう場当たり的な笑いではない。
古典落語とか「男はつらいよ」といった映画を放送すべきだろう。ただし、なぜ放送するかという理由を説明し、断ってからやることだ。
そういう番組の方がどれだけつらい時間を忘れるのに役立つか、考えなくてもわかるだろう。
(城島明彦)
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