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2011/03/27

テレビは被災地のトイレをなぜ映さないのか!? 被災者の女性がいいたくても、いえないのは大便の話だ。レスキュートイレを増やせ!

◆被災者にとって切実な問題は、食料や健康のことだけではない

 東日本大震災の被災地の人がテレビのインタビューでいいにくいのは、トイレのことだ。

 「トイレが詰まって」ということを口にした人もいたが、実際の様子を詳細に話すことはない。遠慮しているのだ。  昔の人はトイレのことを「はばかり」ともいったが、被災者は、テレビを見ている人たちのことが頭をよぎって、詳細に口にすることをはばかっているのだ。

 今回のように、若い人が大勢亡くなっているので、生き残った人の気持ちのなかに「助かっただけでもありがたいのに、ぜいたくはいえない」という思いがある。

 ところが、どのテレビ局も、そういう気持ちをわかっていながら、トイレ問題を声を大にして報道しようとしない。
 トイレがどうなっているのかと百万言をついやするより、映像を数秒映せば説得力があるにもかかわらず、テレビは映像を流そうとしない。

 そういう問題こそ、むしろ克明に報道しないといけないのではないか。

 どれくらいの人数がいたら、毎日、どれくらいの小便と大便が出、それを処理するにはどれくらいの水が必要で、どれくらいのトイレットペーパーが消費されるのかということを、テレビはまったく報道しない。

 テレビは、トイレのリアルな映像をバンバン流せ! ブツは、ぼかせばいいのだ。

◆阪神淡路大震災ではトイレの状況は悲惨だった

 阪神淡路大震災では、トイレは大問題だった。
 緊急避難先でも仮設トイレでも、ウンチの問題が起きた。夏場だったら伝染病が発生していたかもしれない。
 仮設トイレが増設されても、バキュームカーの台数には限りがあて、処理できないという問題もあった。

 避難先が学校のような公共の場所では、朝などトイレはラッシュになる。
 並んでいるうちに我慢できなくなり、順番が来てトイレに入ったのはいいが、ウンチング体勢が十分整わないうちに出てしまったという年寄りや子供はいっぱいいるはずだ。

 なかには下痢している人もいて、便器の周辺に飛ばしてしまうことだってあるだろう。
 あわてて紙で処理して詰まらせる場合も出てくる。
 水が不足気味だから、きれいにできない。

 使い回しされた中古の仮設トイレを、怖がる人もいる。
 和式・様式の問題もある。洋式しか知らない子供は、足腰も弱く、和式便所を汚しかねない。

 男なら、外で穴を掘ったり、そのあたりで用をすますこともできるが、女は無理だ。
 穴を掘って処理するのは一時的には致し方ないが、雨が降って流されるなどして疫病発生の原因ともなりかねず、勧められない処理方法である。

◆仮設トイレは500回でアウト
 
 人のウンチの量は、個人差があるが、平均すると約500グラム。オシッコは1回あたり300ccだから、朝起きてトイレに行き、大小便をすると1キロ(≒1リットル)近い排泄量になる。

 一方、仮設トイレの便槽(タンク)の満タン量は300~500リットルである。
 ということは、500人の被災者が朝、順番に1つの仮設トイレを利用すると、それで終わりになる。

 満タンになると、仮設トイレは、別の空っぽのタンクと取り替える必要がある。
 ウンチは1日1回ですむが、オシッコの方はそうはいかない。どんなにガマンしても1日に最低3~5回はしないと、尿毒症になってしまう。

◆仮設住宅にも「レスキュートイレ」は必要

 仮設住宅の建設が開始されたが、神戸淡路大震災時にはバキュームカー不足で処理しきれない問題は残る。 今回の地震では、罹災地の地方公共団体のバキュームカーはやられている。

 そこで注目されているのが、組み立て式の携帯型洋式トイレ「レスキュートイレ」だ。

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(写真は、製造元提供)

 こんな便利なものがあったのだ。

 被災地に食料や衣類を送るのもいいが、こういうものこそ送るべきではないのか。

 レスキュートイレを開発したのは、環境関連企業の「リブラン」という会社で、三重県桑名市に本社がある。

 開発したきっかけは、富士山が世界遺産への登録を拒まれたことだったという。
 世界遺産への登録を審査する調査団が来日し、富士山に登ったころ、あちこちに散乱する空き缶やら空き瓶、ゴミの山やら野グソに辟易(へきえき)し、不合格になり、日本はとんだ赤っ恥をかいてしまった。

 そのニュースを聞いて、リブランの社長が携帯用の簡易型トイレの開発に着手、2005年に実用化したのである。

◆犬用ペットシートを応用

 レスキュートイレは、野外で折りたたんで携帯する目的で作られたので、800グラムという軽量で、防災用としても使われ、これまでにも北海道庁、愛知県警、自衛隊などが購入して使っている。

 野外で組み立てたり折りたたんだりを頻繁に繰り返しても壊れないように、強度の強いプラスチックで作られており、体重150キロくらいの巨体にも耐えられるというスグレものだ。

 ビニール製の袋を便器にセットして、そこに大小をするのである。
 
 袋は、吸水性・消臭性・凝固性のある犬用ペットシートを応用してあるので、室内でも使える。

 小便だけなら、一袋で2回できる。

 ウンチをした場合は、袋をはずして上部をしばって密封し、燃えるゴミとして出す。
 袋は漏れ防止のために二重にしてあり、捨てるときは、外側の袋の上部をしばればよい。
 
 便器を買ったときに10袋付属しているが、スーパーなどの大きめの袋でも代用がきく。

 スーパーの袋を使った場合は、なかに新聞紙を何枚か敷くなどし、使用後、燃えるゴミとして出せばよい。

 レスキュートイレの値段は、10袋付きで5500円(送料・代引き込み)。

 袋だけを追加で買いたいときは、30枚以上という。袋1枚の値段は150円で、30枚では4500円になる。40枚、50枚と買う場合は割引すると製造元はいっている。
 ヤフーのブログ「レスキュートイレのブログ」には詳しいことが記されている。

◆参考
 リブラン株式会社のホームページ:www.rebran.com hihi@rebran.com 
 連絡先:TEL 0594-22-1939 FAX 0594-24-4173

(城島明彦)

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