赤木圭一郎の命日に聴くCD「霧笛が俺を呼んでいる」
2011年2月21日は、たった21歳でこの世を去った〝和製ジェームス・ディーン〟赤木圭一郎の50回目の命日。
霧の波止場に 帰ってきたが
待っていたのは悲しい噂
波がさらった 港の夢を
むせび泣くよに 岬のはずれ
霧笛が俺を 呼んでいる
彼のCDを聴いていると、50年という歳月が嘘のように思えてくる。
赤木圭一郎のことを知らない若い世代は、you tubeの「霧笛が俺を呼んでいる」を聴いてごらん。というより、彼の顔や姿を見てごらん。
「これが20歳やそこらの若者なのか」と、その存在感のすごさに圧倒されるはずだ。
石原裕次郎は別格として、赤木圭一郎を超える存在感のある若い俳優は、彼の死後、一人も現れていない。
錆びた錨に からんで咲いた
浜の夕顔 いとしい笑顔
きっと生きてる 何処(どこ)かの街で
さがしあぐねて 渚に立てば
霧笛が俺を 呼んでいる
作詞の水木かおるは叙情性のある詞が巧みで、この歌がヒットした昭和35年には、その年のビッグヒット曲となる「アカシアの雨がやむとき」の作詞も手がけている。渡哲也の「くちなしの花」も彼の作詞だ。
昭和35年は西暦1960年。安保の年で、安保闘争に敗れた学生たちの荒涼とした心に、西田佐知子が歌う「アカシアの雨」のけだるいような歌声がしみわたり、大ヒットしたといわれている。
当時少年だった私は、同名の映画を四日市日活で見た。観客は数人しかいなかった。主演の高橋英樹は今と違って細く、すらっとしていた。
東京で店舗数トップの立ち食いそば屋「富士そば」の丹道夫社長から直接聞いた話だが、地方から上京して間もない頃、西田佐知子の家のすぐそばに住んでいて、いつも「アカシアの雨がやむとき」の歌声が聞こえていたそうである。
赤木圭一郎は港がよく似合い、映画「霧笛が俺を呼んでいる」のマドロス姿はカッコよかった。
「霧笛が俺を呼んでいる」の相手役の女優は芦川いづみだったが、赤木圭一郎の場合は笹森礼子が定番のような感じだった。
石原裕次郎―北原三枝・芦川いずみ、小林旭―浅丘ルリ子、赤木圭一郎―笹森礼子
この後、浜田光夫―吉永小百合のコンビが青春ものを多くこなす。
ポスト吉永の期待をになった和泉雅子は、山内賢とのデュエット「ふたりの銀座」でヒットを飛ばしたが、北極探検をするといって太って登場してからかなり経つ。彼女は、いまどうしているのだろうか。
船の灯りに 背中を向けて
沖をみつめる 淋しい鴎
海で育った 船乗りならば
海へ帰れと せかせるように
霧笛が俺を 呼んでいる
(城島明彦)
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