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2011/01/29

飲食店の「いらっしゃいませ、こんばんは」はおかしい。順序がアベコベだ

 ◆飲食店に客として入ると、「いらっしゃいませ、こんばんは」という複数の店員の声がセットになって飛んでくる。
 元気よく迎えてもらうことに異論はないが、かける言葉の順序がアベコベである。
 「こんばんは」は顔を見たときの挨拶であり、最初にいうべき言葉である。
 「いらっしゃいませ」も店に入ってきた客を歓迎するときの最初の言葉である。
 それをセットにして続けていうから、おかしくなる。客が来店したときにかける言葉は「いらっしゃいませ」だけで十分だ。
 どうしても両方いいたい場合は、「こんばんは」を先にいうべきだ。

 ◆「こんばんは」を「おはようございます」に変え、声に出していってみると、どちらが不自然で、どちらが正しい言い方かわかるはずだ。
 「いらっしゃいませ。おはようございます」
 「おはようございます。いらっしゃいませ」

 ◆道で誰かと出会って挨拶するときのことを考えるのも手である。
 「寒いですなあ、こんにちは」などという言い方は昔からしないのである。
 「こんにちは、寒いですなあ」が普通の順序である。「こんにちは」が最初なのだ。
 厳密にいうと、顔見知りの相手と初めて会う相手とでは対応の仕方が違うが、ここではその区別をしないで話を進める。

 ◆道で出会ったとき、最初にどうするか。
 黙って会釈するか、声に出して「こんにちは」とか「こんばんは」といった挨拶をする。これが普通だ。
 出会ったときに「元気だった? こんにちは」などとセットにして同時にはいわない。言葉をかけるなら、「こんにちは」が最初で、「元気だった?」はその後だ。
 「今日はいい天気ですね」とか「寒いね」といった時候の挨拶も、「こんにちは」といった後でいう。これが日本語の使い方の常識だ。

 ◆インターホンなどなかった時代には、知りあいの家を訪ねるときは、玄関の引き戸をガラガラと開けて「こんにちは」と声をかけたものである。
 すると、奧からその家の住人が出てきて、笑顔で会釈をしながら「いらっしゃい」とか「ようこそ」といって歓迎した。

 ◆インターホンができると、家の住人がドアを開けて顔を合わせたら、客は「こんにちは」という。それを受けて、住人は「こんにちは」と返し、「いらっしゃい」と続ける。
 住人が先に「いらっしゃい」といったら、客は「こんにちは」と返し、「お邪魔します」と続ける。いずれにしろ、顔を見たら「こんにちは」である。
 これが普通であって、まともな日本語を使っている人であれば、「いらっしゃい、こんにちは」とか「お邪魔します、こんにちは」などとは絶対にいわない。最初に「こんにちは」だ。

 ◆「いらっしゃいませ、こんにちは」とセットでいうのは、いかにも安っぽい。
 「いらっしゃい」と迎えた後は、2通りの対応になる。

 ケース1……その客を案内する店では、案内役の店員が黙って会釈をしてからテーブルまで連れて行く。それで十分だ。「こんにちは」といいたいなら、そのときにいえばいい。

 ケース2……客を案内しない店では、その店員が着席し、食べるものを決め、店員を呼んだら、そこへ向かった店員がオーダーを聞く前に「こんにちは」とか「こんばんは」と普通の大きさの声で挨拶すればいいのだ。

 ◆「いらっしゃい、こんにちは」などという妙な言い方を誰が指導しているのか知らないが、日本語の使い方はもっと正しくやってもらいたいものだ。
 
 (城島明彦)

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