NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」第2回目 浅井3姉妹の年齢がデタラメ
NHK大河ドラマ「江」の第2回(1月16日)は「父の仇」だった。
父は浅井長政で、仇は織田信長である。
ドラマによると、天正7年(1579年)春、浅井3姉妹は母お市の方に連れられて信長を訪ねる。
そこで3女の江は、父長政が伯父信長に城攻めされ、切腹させられたことを初めて知り、衝撃を受ける。そして江は、父を殺した理由を聞こうとして信長の居室へ行くのである。
信長が江に槍の穂先を突きつけているところへ、白装束に身を固めた長女の茶々と2女の初が、手に短刀を持って、「親の仇」とやってくる。
そこへタイミングよく、3姉妹の母、お市の方も顔を出し、
「なにごとか」
と三人を叱りつけると同時に、
兄の信長にも、
「大人げない」
と説教する。
実際には登場人物がこんなにうまく一堂に会するとは思えないが、そこはそれドラマによくあるご都合主義で、筋書きはとてもよくできており、史実かどうかは抜きにして面白い。
しかし、3姉妹の年齢がデタラメである。
3姉妹の生年には諸説あるが、長女の茶々は有力説によると1569年(永禄12年)。その時点で10歳なのだ。
次女の初は1570年に生まれで、茶々より1つ下だから信長に会ったのは9歳のときだ。
主人公の3女、江は初よりさらに3つ下だから、6歳である。
しかるに、ドラマの3姉妹は、長女の茶々を現在37歳の宮沢りえが演じ、次女の初を27歳の水川あさみが演じる。そして、三女の6歳の江を24歳の上野樹里が演じている。
その3人は、どう化粧しても立派に成人した大人の女の顔であり、体つきである。
年齢に開きがありすぎて、きわめて不自然。
えらくひねこびた3姉妹というより、あんな顔の少女はいない。
本来なら、子役が演じるべきところである。
舞台ならこういう無茶も観客から許容されるが、テレビドラマや映画では受け入れがたい。
史実を知らない視聴者の目には、3姉妹が十分大人になってから信長に会ったような誤った印象を与えてしまう。これが最大の問題だ。要するに歴史無視なのである。
「龍馬伝」でも史実無視がいっぱいあったが、今回もこれだ。いずれも、視聴率至上主義のなせるわざだろう。
織田信長が本能寺で死ぬのは1882年で48歳だが、ドラマはまだそこまで行ってはいない。
長女茶々は、信長が死んだとき13歳くらいである。
3人姉妹は、今風にいうと信長が死んだ次点で茶々が中1、初と江は小学生だ。
これからもNHKは、3姉妹が女優の実年齢に近づく場面まで、こういう無茶を続けていくことになる。
お市の方は、信長が死んだとき30代半ば。鈴木保奈美は44歳だから、20前後で浅井長政に嫁いだときはかなり無理があったから、別の若い女優が演じてもよかった。しかし、これからは次第に実年齢に近づいて行くので、違和感はなくなって行く。
NHKは、視聴率さえ取れるなら菅井きんにも20歳の乙女をやらせるかもしれない?
(城島明彦)
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